• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

「ブラックサンダー」のアイデア出しは、ラッパーのフリースタイルに近い?

「ブラックサンダー」のアイデア出しは、ラッパーのフリースタイルに近い?

151014book_to_read.JPG


本書に書かれていることは、弱者が強者にBIG PAY BACKする方法です。売れなくて一時販売終了したブラックサンダーが売れていき、ユーザーに愛される存在になり、気がついたら会社を100億円の企業に成長させたビジネスのガイドブックです。(「はじめに」より)

そう記しているのは、『30円のブラックサンダーで 100億円企業になった理由』(エムシー・ブー著、トランスワールドジャパン)の著者。「ブラックサンダー普及委員会」を設立し、各界の業界人たちとともに"ブラックサンダーのこれから"を勝手に応援しているのだそうです。

そして本書では、クリエイティブエージェンシー「アマナ」のスタッフに、ブラックサンダーのマーケティングと広告戦略、デザインなどを分析してもらい、『フクシマ論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)で知られる社会学者の開沼博氏に買い手の心理的な動向と社会的背景を取材。さらにはブラックサンダーの製造販売元である有楽製菓社長へインタビューするなど、たった30円のブラックサンダーをさまざまな角度から考察しているのです。

きょうはLesson_1「マーケティングとクリエイティブの冒険」から、いくつかのトピックスを引き出してみたいと思います。


ブラックサンダーは駄菓子のニューカマーだった!?


ブラックサンダーには駄菓子の黄金時代を生き抜いてきたようなイメージがありますが、意外なことに発売されたのは1994年。街にコンビニエンスストアが定着し、駄菓子屋が消えはじめたころに売り出されたのだそうです。つまり駄菓子の王道的な印象とは裏腹に、かなり後発。見方を変えれば、そんな理由から現在のスタイルに行き着いたと考えられる。著者はそう分析しています。

30代、40代がブラックサンダーに手を出す理由として「懐かしさ」がありますが、商品自体は決して懐かしいものではないわけです。いわば、「懐かしくないのに懐かしい作戦」が用いられている。後発組としてもっと洗練されたデザインで発売することができたにもかかわらず、あえてそこを選ばず、「郷愁」を持たせたデザインやコピーなどを通じ、「日本の古きよき文化」というような要素をきちんとうまく使い分けながら広げたということ。

いってみればブラックサンダーは、コンビニエンスストアと駄菓子屋が交代する時代のさなかに生まれた商品。本書では、発売当初に売れなかった理由も、そこにあるのではないかと考察されています。少し先に登場したうまい棒やチロルチョコのようにブラックサンダーが売れなかったことには、駄菓子屋が減っていくなかで、コンビニエンスストアへの流通もまだ確立されていなかった背景があるという考え方です。(31ページより)


学生の仕送り金額と売り上げがリンク


発売当初にはまったく売れず販売中止にもなったブラックサンダーの売り上げが伸びていったのは、2003年以降のこと。きっかけになったのは、大学生協での販売。大ヒットした「生協の白石さん」で取り上げられたり、体操の金メダル選手が大好物だと発言したことにより、急激に売り上げが伸びたのだそうです。ちなみに有楽製菓の営業マンは個人主義的で、会議などで集まるのは「月に1回あるかないか」だったのだとか。当時からノマド的だったわけで、自分たちの力量とアイデアで売り場を開拓していくなか、生協にたどり着いたのだということ。

おもしろいのは、そんななか、ブレイクしていくきっかけとなったのが学生の「仕送り」だという事実です。バブル崩壊前後、具体的にいうと1990年を境に学生の仕送りが減っていき、朝日新聞(2015年4月5日付)によれば2015年の学生の1日あたりの生活費は897円なのだとか。つまりはそんななか、ブラックサンダーをランチとして利用する学生が増えたのだということです。(34ページより)


利益よりも品質。味のこだわりコスト構成比


駄菓子はチープなものに見えますが、「利益よりも品質」をキーワードにしているのが有楽製菓の特徴。そして根底にあるのは、「商品にお金をかけて品質を確保したうえで、利益の話をする」という社内文化。利益が上がる商品企画の話をすると「こんなに利益を取るな!」と社長に怒られるそうなのですが、それはこうした理由によるものだということです。

では、駄菓子のなかでも発売時期が後発で不利だったにもかかわらず、ブラックサンダーはなぜそこでシェアを取れたのでしょうか? そのことについては、菓子やスイーツのなかで「買って満足できるデザート品質」を確保したからだと、アマナでさまざまなコンテンツを開発しているという市川純氏が分析しています。

つまり、食べた人は「おいしいのでファンになっていった」という純粋な理由。たまたま運がよくて売れたわけではなく、後発でマーケットに入ったときに品質を重視し、そこで差別化をはかったことが大きなポイントだったというわけです。(38ページより)


普通だったら定価150円! 驚きの原価率


当然のことながら、商品に対して「安くておいしいものを提供」「利益よりも品質」を追求していくと、必然的に原価率の問題に行き着きます。そこでブラックサンダーの原価率を調べてみると、非常に興味深いことがわかったのだそうです。

一般的に売られているチョコレート菓子は、(企業や商品によって差はあるものの)だいたい定価の10パーセントくらいで製造されています。しかしブラックサンダーの原価率は、ナショナルブランドより数倍高いのだそうです。通常、定価30円の商品の原価率は10パーセント。つまり原価は3円ということになります。

ところがブラックサンダーの品質のよさと原価率を考えると、定価150円くらいの商品である必要があるのだとか。150円で売るべき商品を30円で売っているわけで、そこにも成功のポイントが隠されていそうです。(40ページより)


クリエイティブ経営で突破


テレビやメディアを使い、宣伝費をかけて広告を売ってコンビニエンスストアの棚を取りに行くというのが、従来のブランドのやり方。しかしブラックサンダーは宣伝費をかけず、自社で奇抜なデザインとクリエイティブを手がけることで、売り場のニュースをつくって成功しているのだといいます。

有楽製菓の河合社長はとてもクリエイティブな人で、商品の広告プロモーションのアイデアをすべて「社内のクリエイティブ力で突破する」のだそうです。ナショナルブランドのように広告代理店やクリエイティブ企業に外注したりせず、社内のアイデア力で突破してきた文化があるということ。「広告予算なし」が認識ベースにあり、社員がアイデアを考え、自分たちでプロモーションも「考えて、それを自分たちで仕切るわけです。

パッケージデザインについても同じ。社内にデザインルームがあるわけでもなく、マーケティング会議なども仕事中の雑談からはじまるというのですから驚き。そもそもマーケティング部ができたのは、最近の2011年8月だといいます。

「会社は、日々発想やアイデアを出す場所」という認識が行き渡っているため、プロモーション会議も月に2回程度で、セッティングはあまりしないのだとか。たまたま集まって、仕事の合間にみんなで休憩していたら、「次のあれ、どうする?」というような感じで話し合いがはじまる。そして、おもしろいネタを出し合って社長に持っていき、「おもしろい」「おもしろくない」とジャッジしてもらうというのですから、ある意味で理想的な環境だといえます。

もちろんブラックサンダーらしくないと、ダメだったり、トーン&マナーがあるなかでだと思いますが、いきなり始まってネタ勝負的なところはラッパーのフリースタイルに近いのかもしれないですね。(42ページより)

「お金をかけずに、実施できる発想力とみんなが話題にしてくれるアイデア」を考えることが社風。だからこそ、実際に自分たちで運営できる内容でないとダメなところもあり、また「下ネタはNG」という明確なポリシーもあるのだといいます。「なんでもあり」のように見えながら、有楽製菓として大切にすべき部分は守り通しているということで、これはさまざまな業種にも応用できそうです。(61ページより)




なお著者は、90年代に結成された脱線3というグループのラッパーで、ニューヨークのヒップホップ・グループ、ビースティー・ボーイズとも交流を持っている人物。また本書のサブタイトル"Big Pay Back"も、ヒップホップ・グループ、EPMDの名曲タイトルを引用したものです。そんな、ヒップホップのアティテュードとブラックサンダーを結びつけたスタンスもまたユニークです。


(印南敦史)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by
    
    
    
  

Kotaku

Recommended

© mediagene Inc.