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印南敦史  - ,,,  06:30 AM

ソファに座らせると交渉しやすい? 触覚が思考や行動に与える影響

ソファに座らせると交渉しやすい? 触覚が思考や行動に与える影響

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私たちは多かれ少なかれ、いつもなんらかの感覚的な刺激にさらされている。さまざまな温度や触感をもった対象に触れ、心地よい香りや不快な匂いを嗅ぎ、無数の色彩を目にし、いろいろな物体の重さを感じている。私たちは(中略)自分でも気づかずに、感覚を通じて伝えられる物理的な経験から非常に強力な影響を受けることもある。(「はじめに 五感が操る私たちの世界」より)

『赤を身につけるとなぜもてるのか?』(タルマ・ローベル著、池村千秋訳、文藝春秋)は、こうした考え方に基づいて書かれています。著者は、テルアビブ大学社会科学部心理学科教授。イスラエル国防軍に在籍していた18歳のとき、地下深い場所にある基地で勤務したことから「環境が人の思考や判断に与える影響」に興味を抱いたのだといいます。そして現在も、「感覚が思考にどのような影響を及ぼしているのか」について研究中。

人はたいてい、みずからの行動を自分でコントロールしていると思いたがる。だから、一見すると関係のない環境的な要因と物理的な感覚が自分の行動にたえず影響を及ぼしていると聞くと、落ち着かない気分になる。新しい心理学によって明らかにされはじめた事実は、私たちの常識に反するものだ。だからこそ、私はそれに魅了されたのである。(同上)

きょうはビジネスにも応用できそうな第2章「手触り――商談に勝つ椅子、負ける椅子」から、いくつかのポイントを引き出してみたいと思います。


子どもも大人も「触れ合う」ことが大事


私たちはみな、状況を理解するために触覚に頼っています。しかし複数の矛盾する感覚的情報がある場合、ひとつの情報だけを頼りに重要な判断をくだすことは避けたほうがいいと著者。また、五感が伝えてくる情報に矛盾があるときは、思い込みを捨て、頭を使って考えるべきだとも。

目の前の状況の真実を見抜き、相手の動機(本人が自覚しているかいないかにかかわらず)を察知することは、ときに簡単ではないはず。なぜなら私たちは感覚を通じて受け取り、意識的・無意識的に脳で処理した情報を「真実」と決めつけてしまうから。私たちは、触感などの感覚に充分な注意を払う必要があるのです。

人間の体で最大の、そして強力な感覚器官は皮膚。その証拠に、私たちは誰かと意思の疎通を図りたいと思うとき、その人と「触れ合いたい」といういい方をします。私たちの言語のなかに触感にまつわる比喩が多いのも、触感こそ、もっとも直接的に世界を経験し、世界と結びつくための手立てだからだと著者は説明しています。

だから人類は、言語を用いるようになるずっと前から、相手の体に触れるなどの非言語コミュニケーションを行ってきたということ。赤ちゃんは、親などの大人に抱きしめられたり、キスをされたり抱っこされたりし、物理的に触れられることを通じて、まわりの世界を理解していくといいます。触れられることは子どもに安心感を与え、対人関係能力をはぐくむ効果があるわけです。

そして触感に大きく影響されるのは、子どもだけではないそうです。大人がルールを守るかどうか、利他的に振る舞うかどうか、リスクの大きな行動に踏み出すかどうかも、他人に触れられるかどうかに影響されるということ。このことについては、スーパーマーケットで行われた実験の結果が引き合いに出されています。

販売員が客を呼び止め、新しいスナック菓子の試食を勧めた際、一部の客の腕に軽く手で触れるようにすると、触れられた客は試食を受け取り、商品を購入する割合が大きかったというのです。これはおそらく、触れられることにより安心感が増すからだろうと著者は分析しています。

私たちは誰かと物理的に接触すると、他人に対する信頼感が強まり、協力的な態度をとるようになるもの。不安がやわらぎ、安心感が増し、リラックスできるようにもなるそうです。だから不安にさいなまれている人は、誰かに触れたり、手をつないだりすることが効果的。著者も仕事がキツかった日は、特に体がこっているわけでなくとも、マッサージを受けるとリラックスできるといいます。触れられることには、このように大きな効用があるのです。(35ページより)


ソファに座ると交渉姿勢も柔軟になる


他の人間とだけではなく、私たちは絶えず、なんらかの触感を経験しています。服を着たり、本やバッグやコンピュータやスマートフォンを手に持ったりするたび、硬い触感ややわらかい触感、ざらざらしたり、すべすべしたりする手触りを感じているということ。自宅やオフィス、レストランでは、硬い椅子ややわらかいソファに座ったりします。ベッドの硬さは人それぞれですし、シャワーのあとはごわごわしたタオルで体を拭きたい人もいれば、ふわふわのタオルを使いたい人もいるもの。

ことばの世界でも、触感にまつわる表現を比喩的に用いることは少なくありません。たとえば英語の「rough」という単語は、ざらざらした触り心地を表現するほか、難しくて不快な状態をいい表すことばでもあります。対する「soft」は、やわらかく、自在に形が変わる物体のように、つきあいやすい人や他人の影響を受けやすい人を形容する表現としても使われます。一方「hard」は、硬く、形を変えられない物体のように簡単には変わらない頑固な人や気難しい人を表現する形容詞です。

このような比喩表現は、物理的な感覚と人の行動や判断が、密接に結びついていることの反映なのでしょうか? 交渉相手が「強硬」「柔軟」というような表現には、なにか言葉尻にとどまらない意味があるのでしょうか? そして、物理的な触感が私たちの行動に影響を及ぼすことはあるのでしょうか? このことについて本書では、ハーバード大学、エール大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループがおこなったいくつかの実験のことを取り上げています。そのなかから、興味深いトピックをご紹介しましょう。

研究グループは、硬さとやわらかさの触感が、感じ方や判断のみならず、実際の行動にも影響を及ぼすのかどうかを知りたいと考えたそうです。そこで調べたのは、交渉の場での行動。ソフトな姿勢で交渉に臨む人は、相手を友人とみなし、合意に達したいと考えるもの。自らの最初の主張を変えることも多いといいます。それに対し、ハードな姿勢で交渉に臨む人は、相手を敵とみなし、たいていは信用しないもの。そして自らの主張を変えようとはせず、妥協を拒む。だとすれば、硬い/やわらかいという触感は、こうした交渉姿勢の違いに結びつくのであろうかと考えたわけです。

実験では、硬い木の椅子とやわらかいソファのいずれかに被験者を座らせ、自動車を買うために販売店を訪れている状況を思い浮かべさせたのだといいます。そのうえで、まずは購入希望価格を販売員に対して提示させる。次に、その提案が拒絶されたという前提で再提案をさせる。その結果、ソファに座った人は、硬い椅子に座った人より大幅に価格を引き下げる傾向があったというのです。人はやわらかいソファに腰かけると、交渉姿勢も柔軟になるということがわかったわけです。(38ページより)


性別も支持政党も「硬さ」で判断


「硬い/やわらかい」は、人間の性格や態度を形容するために用いられるだけでなく、特定のカテゴリーに属する物事の特性と位置づけられてもいるのだとか。たとえばいい例が、男性と女性というカテゴリー。これだけ社会の男性観と女性感が変化しても、いまだにある種の性質を「男性らしい」「女性らしい」と決めつける固定観念が根を張っているのがその証拠。女性は男性よりやわらかく、男性は女性より硬いというイメージを持たれているのは事実なのです。

また学問にも、「硬い」イメージの分野と「やわらかい」イメージの分野が。硬いのは「ハードサイエンス」と呼ばれる自然科学で、やわらかいのは「ソフトサイエンス」と呼ばれる社会科学だそうです。一方、アメリカの二大政党のうち、共和党は経済政策と外交政策、そして人工中絶や同性婚などの社会的な問題で強硬、つまりハードな立場をとることが多いもの。それに対して民主党はやさしくて温情があり、ソフトというイメージを持たれています。

ある研究グループは、人が他人の支持政党(共和党か、民主党か)と学問的専攻分野(物理学=ハードサイエンスか、歴史学=ソフトサイエンスか)をどう判断するかに、硬い/やわらかいという物理的な触感が影響を及ぼすかを実験したそうです。ひとつの実験では被験者に硬いボールとやわらかいボールのいずれかを握らせ、男女四人ずつの顔を見せて、それぞれの人物が共和党と民主党のどちらを支持していると思うかを尋ねたのだそうです。

その結果、やわらかいボールを握った人の方が、多くの顔を民主党支持者と判断したのだとか。また、もうひとつの実験では被験者に大学教員たちの顔を見せ、それぞれの人物の専攻が物理学か歴史学かを予想させたそうです。するとこちらでも、硬いボールを握った人は、やわらかいボールを握った人より多くの顔を物理学者と判定する傾向が強かったのだといいます。

この結果から著者は、硬い/やわらかいという触感は、人がものごとをカテゴリー分けするときの判断にも影響するといえそうだと結論づけています。物理的な硬さとやわらかさの触感は、心理的な硬さとやわらかさの概念を喚起することによって、人の感じ方と判断、行動にも影響を与えるということです。




身近な話題を出発点とした考察を通じ、感覚が人間に与える影響の大きさを無理なく理解できるはず。なお、タイトルが意味するものについて詳しく知りたい方も、ぜひ内容をチェックしてみてください。


(印南敦史)

  • ,,,,, - By

    香川博人

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