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堀込泰三堀込泰三  - ,,,,  12:00 PM

旅は終わらない。男子3人夏物語2015~ムスコと旅する夏休み~最終章

旅は終わらない。男子3人夏物語2015~ムスコと旅する夏休み~最終章

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まるで、映画のワンシーンを見ているみたいだった。

夜明け前の海岸線に現れた、まばゆい光。にぎやかにカウントダウンしていた観衆も、固唾をのんで見守る。

やがて光は、ゆっくりと上昇を始めた。美しい海岸線を照らしながら昇るその姿は、太陽そのものだ。あまりのインパクトに、耳からの情報は入ってこない。あるいは、そこにいる誰ひとりとして、声を出すことができなかったのかもしれない。

どれぐらいそうしていただろう。遅れてやってきた轟音とともに、現実に引き戻された。バリバリと空気を引き裂く音が、これは映画などではないと主張する。距離から計算すれば、無音の時間はわずか20秒足らず。けれど僕には、もっとたくさんの時が流れたかのように感じられた。

ふと、ひざの上に座る長男(当時6歳)と目が合った。

「パパ、すごいね」

音にかき消されて聞こえないが、目と目で語り合う。次男(当時2歳)は、事態がうまく呑み込めていない様子だった。

2013年8月4日午前4時48分。こうのとり4号機を載せたH2Bロケット4号機は、国際宇宙ステーションに向けて、種子島宇宙センターを飛び立った。僕らは余韻に浸りながら、世界一美しいと言われる打ち上げ基地の夜明けを、飽きることなく見つめていた。


あの感動をもう一度


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こうのとり5号機。8月16日22時01分に打ち上げ予定だった。


あれから2年。

私は、あのときと同じ種子島の海を見つめながら、あの日のことを思い出していた。今日は2015年8月17日。28日間の旅を終えて、東京に戻る日だ。

昨夜、H2Bロケット5号機が飛ぶはずだった。でも、落雷が予想されたため、延期になった。次の予定があるので、帰りの便は変更できない。見られないのは残念だが、天候だから仕方あるまい。

それでも、2年前の美しさを忘れられない僕は、子どもたちを早朝に起こして、ビーチにやってきた。

子どもたちは、午前7時の太陽の下ではしゃいでいる。あと1時間で種子島を発つ。この旅の終わりを意識しているのかいないのか、いつにも増して楽しそうだ。


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最後のひと遊び。種子島・熊野海岸にて


――よし。

回想をやめて、僕も2人に交じることにした。あと1時間、思いっきり遊んで東京に帰ろう。

波打ち際で砂山を作る2人に合流した。波が来るたびに、山が崩れる。今度はもっと強い山を作ろうと3人で知恵を絞る。また、波に流される。めげずにまた、山を作る。

まるで、この旅みたいだと思った。どんなに計画を練ろうと、台風が来れば計画は崩れる。ならばと新しい計画を立てるが、また台風が来る。最後に計画していたロケットも、天気の影響で見ることができなかった。ならば次は、どんな山を作ろうか。

そうやって、毎年かけがえのない旅をしてきた。いや、人生そのものが、旅なのかもしれない。

――その時だった。

「雨だ!」

急に雨が降り出した。最初はポツポツだったが、あっという間にどしゃぶりになった。いつもだったら、すぐに車に避難していただろう。でも、今日は誰もそんなことはしない。僕らは全身ずぶ濡れになりながら、時間を忘れていつまでもはしゃぎ続けた。

この旅らしい最後を、かみしめるように。


旅の振り返り


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座間味島・古座間味ビーチ。ビーチの目の前に、信じられないほどの魚がいる。


8月17日に、東京に戻ってきた。まだ、波に揺られているような感覚だ。記憶が色あせる前に、旅の全容を振り返っておきたい。



7/21 船中(マリックスライン)1泊
7/22、23 徳之島(とくのしま)2泊
7/24、25 奄美大島 名瀬(なぜ)2泊
7/26 加計呂麻島(かけろまじま)1泊
7/27、28 請島(うけじま)2泊
7/29、30 沖永良部島(おきのえらぶじま)2泊
7/31、8/1,2 与論島(よろんじま)3泊
8/3、4 沖縄本島 本部(もとぶ)2泊
8/5 水納島(みんなじま)1泊
8/6、7、8 沖縄本島 那覇(なは)3泊
8/9、10 渡嘉敷島(とかしきじま)2泊
8/11 慶留間島(げるまじま)1泊
8/12 座間味島(ざまみじま)1泊
8/13、14鹿児島(かごしま)2泊
8/15、16 種子島(たねがしま)2泊
8/17 東京

合計27泊28日


渡嘉敷島で友人家族と別れてから、阿嘉島・座間味島を回り、那覇空港で妻と別れた。妻は東京へ、僕らは鹿児島へ。2週間かけて南下した、思い出がたっぷり詰まった道のりを、わずか1時間半で飛んだ。飛行機とは、何ともあっけない乗り物だろう。


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2週間かけて南下した鹿児島の島々。この距離を、飛行機はわずか1時間半で飛ぶ。


鹿児島では、指宿に足を運び、そこで漁師をしている高校時代の友人と一緒に釣りを楽しんだ。

種子島では、ロケットの延期が決まったため、最後の思い出にカヤックツアーに参加した。予算の都合上、有料のツアーにはあまり参加しないのだが、最後に奮発してよかったと思う。2人を連れて遊んでいると、どうしてもどっちつかずで中途半端になってしまうのだが、ガイドさんがいてくれたおかげで、2人のうち1人をガイドに見てもらい、それぞれとじっくり向き合うことができたから。


旅の成長は一生もの


渡嘉敷島・トカシクビーチの夕暮れ。タイムラプスで撮影。0:07からの色の変化に注目。


毎年のことながら、1カ月ぶりに我が家に帰ると、浦島太郎状態に陥る。電気のスイッチの位置、郵便受けを開ける暗証番号、ゴミを出す曜日、すべてがすぐには思い出せないのだ。それだけ濃い1カ月を過ごしたことを意味するのだろう。いつだって、再スタートは新鮮だ。

8歳の長男は、引き続きノートにゲームのネタを書き綴っている。新学期が始まったら、そのどれかを一緒に作ってみようと思う。教室に通わせることも考えたが、本を1冊買うだけでいい。時間がかかってもいいので、私も一緒に学ぼうと思うから。

4歳の次男は、サンタクロースに三線を頼むそうだ。居酒屋の店主に教えてもらって三線を弾く、お兄ちゃんの姿がかっこよかったから。これも、私も一緒に学べたらと思う。

こうやって、旅で得られた成長が、日々の生活に溶け込んでいく。この1カ月間は、2人、いや3人の中で、それぞれに生き続けるのだろう。


旅は終わらない。


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チーム男子3人で記念撮影。またこのメンバーで、旅に出よう。


8月19日、当初の予定より3日遅れて、H2Bロケット5号機の打ち上げが成功した。

僕らはそのニュースを、東京で見ていた。成功は嬉しいが、やはり、生で見るほどの感動はない。それでも、不思議と見られなかった悔しさは皆無だった。

だって、また見に行けばいいだけじゃないか。

この4週間で旅したあの島々も同じだ。また行きたくなったら、行けばいい。半日あればどこにでも行けるのだから、週末ゴロゴロしている時間があったら、飛行機に乗ってしまえばいいだけだ。

だから僕らは、何度でも旅に出る。これまでに見たことのない、新しい世界を求めて。同時に、日常のありがたみを思い出すために。

いつまでも、旅は終わらない。


~ 男子3人夏物語2015 完 ~


著者あとがき

筆者の堀込です。4回にわたりお送りした男子3人物語、いかがでしたか? 南国の風を感じていただけたなら幸いです。

私がこの記事を書きたかった理由はたったひとつ。昨年の記事にも書きましたが、「子どもがいるから好きなことができない」「自由が奪われた」と思っているママやパパに、「そっか、行ってもいいんだ!」と気づいてほしいから。私も3年前、1人のママさんに気づかされたので。

これは、旅に限ったことではありません。できないことや奪われた自由を嘆くのではなく、与えられた環境の中で、違う種類の自由を楽しめばいい。それが私の考えです。

できないことを並び立てて文句を言っているよりも、「子連れという自由」を楽しもうじゃありませんか! 私もまた、新たな気持ちで来年の旅までの11カ月間を過ごそうと思います。

この旅で出会った現地の人々、すれ違って行った多くの旅人たち、記事を書かせてくれた編集部の皆様、読んでくれた読者の皆様、毎年の旅を許してくれる妻、そして何よりも、毎年一緒に旅を盛り上げてくれるムスコたちに感謝。

かけがえのない日々をありがとう。またこのメンバーで、旅に出よう。


著者:堀込泰三

1977年生まれ。東大大学院を経て大手自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2007年長男誕生時に2年間の育休を取得。その後、子どもと過ごす大切な時間を増やすため「子育て主夫」に転身。家族でアメリカ生活を送った後、現在は日本で翻訳やライターをしながら2児を育てている。著書に『子育て主夫青春物語:「東大卒」より家族が大事』(言視舎)

Twitterアカウント:@tahotahotaho

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