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大嶋拓人大嶋拓人  - ,,,,,,,,,  12:00 PM

語学に適性なんていらない。Duolingo社の日本人エンジニア、萩原正人インタビュー

語学に適性なんていらない。Duolingo社の日本人エンジニア、萩原正人インタビュー

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Apple社が選ぶ「年間ベストアプリ賞(2013年)」にも選ばれた語学アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」。全世界で1億人を超えるユーザーが学ぶアプリとなった現在も、アプリは毎週のように進化し続けています。

今回ライフハッカーでは、先日ご紹介したDuolingoで働く日本人エンジニア嶋英樹さんに続いて、同じくエンジニアとして働く萩原正人さんをインタビューしました。英語、中国語も流暢なトライリンガルでもある萩原さんが語ってくれたのは、Duolingoの課題と外国語学習のコツです。


萩原正人(はぎわら・まさと)

2009年名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。Google、Microsoft Research、バイドゥ、楽天技術研究所(ニューヨーク)にて、検索エンジンおよび自然言語処理の研究に携わった後、2015 年 2 月より Duolingo にてソフトウェアエンジニアとして自然言語処理技術を活かしたバックエンドの開発に従事。統計的自然言語処理、特に、形態素解析、翻字、外国語学習、大規模コーパスからの語彙知識獲得などに関心がある。訳書に、オライリー『入門 自然言語処理』(2010)、『入門 機械学習』(2012)がある。


── 最初のキャリアは日本で積まれたのですか?

萩原:いえ、博士号を取ってからすぐに、新卒で中国の検索エンジンのバイドゥに就職しました。入社してから1週間ぐらいして、上海行きの片道切符を渡されて、バイドゥが得意としていたプロダクトの開発センターに行き、日本人ひとりで、他はみんな中国人エンジニアの同僚という環境の中でモバイル検索エンジンを開発していました。もともと海外で働くっていう体験が結構好きだったので、そのときからなかなか面白い経験をしていました。

その前にも大学院時代にGoogleのマウンテンビュー本社で2カ月間インターンに行ったのと、シアトルのMicrosoft Researchで3カ月間インターンをしたこともあります。

その後が楽天技術研究所です。バイドゥで1年半ぐらい働いたあとに転職して、そのときちょうど楽天技術研究所の新しい研究所をニューヨークに作るという話がありまして、そちらにほぼ初期メンバーとしてジョインしました。


── そのあとにDuolingoに入社されたんですよね。

萩原:そうですね。Duolingoに移ってまだ数カ月ぐらいです。転職と同時にアメリカのピッツバーグに引っ越しました。


── Duolingoではどのような仕事をされていますか?

萩原:先日インタビューされた嶋と同じチームにいまして、基本的にはDuolingoのバックエンドを担当しています。

基本的には、ある言語を勉強しているときに、レッスンで教える単語ですとか、ユーザーの現在の単語のレベルですとか、いろんなパラメーターがあるんですけども、そういういろんなパラメーターを考慮しながらどういった問題を、どういう順番で出すのが学習に効果的か、といったことを考えています。

効果的かどうか、というのはいろんな観点がありまして、そのユーザーがちゃんと言語を学べるかどうか。その単語をちゃんと習得できるかどうかとか、あとはアプリをちゃんと使い続けてくれるかどうかといった検証ですね。ここは、Duolingoのコアになる部分です。


── Duolingoにそもそも関心を持ったキッカケはなんですか?

萩原:もともとDuolingoのことは知ってはいて、面白いアプリだなと思っていた、というのはありますが、そもそも自分はスタートアップで働きたかったからでもあります。

スタートアップでは自分の仕事がプロダクトに直接反映できるというか、自分の貢献度合いが大きいというところがやっぱり魅力的です。特にDuolingoだとテストできるユーザー数が何百万人、何千万人といて、自分の変更がただちにユーザーさんに影響するので、そこはすごく楽しいですね。もちろん責任も感じますが。

その一方で例えば、大企業だと本当に大きいプロダクトのほんの少しの部分をちょっと改善するみたいな感じです。もちろん、大企業は大企業なりの楽しさがあって、インパクトという要素もあります。ただ、Duolingoの場合、やっぱりまだチームが40数人しかいなくてすごく小さいので自分が貢献できる範囲が大きいんです。あとはやっぱりとても自由です。これはちょっと言い過ぎかもしれないですけど「ユーザーにとってプラスになるなら、基本的には何をしてもいい」という感じです。

こういう機能があったら便利なんじゃないかとか、こういうアルゴリズムを実装したらいいんじゃないか、なんて思い付いたらミーティングで話して、その日のうちにコードを書いて、次の日、早いときはその日のうちにコードがリリースされる、本当にそのくらいの開発のテンポなんですよ。それが自分にとってはすごく新鮮で、そこはやっぱりスタートアップの魅力なんじゃないかと思っています。


── Duolingoで学習コースの質を上げていくためには、どんなことが課題ですか?

萩原:自分が実際にプロジェクトとして取り組んでいるのが「文法」ですね。基本的に、Duolingoは単語ベースで学習するアプリです。実際にDuolingoをお使いいただけるとわかると思うんですけど、各レッスンに対して、そのレッスンで教える目標の単語というのがあって、だいたい6つとか7つくらいなんですけど、その単語を習得すればそのレッスンは終わりという仕組みになっています。


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コース内容は項目別で、単語を覚えながら進んでいく。


例えば、動詞の現在形とか、動名詞といったそれぞれの項目のところに、この単語の強さのが出てきて、その単語をどのくらい記憶してるかを示しています。それはエビングハウスの忘却曲線に基づいて、だんだん減っていくようになっています。復習するとまた満タンになって、次はだんだん減り方がゆっくりになっていきます。このように、基本的には「単語をどれだけ記憶しているか」というモデルに基づいて設計されています。

でも当然ですが、単語を覚えただけでは語学をマスターしたとは言えません。英語の疑問文は、例えば動詞と主語の順番を逆にしますよね。そういった語順とか、どうやって文を組み立てるかっていう部分を知っていないといけないわけです。

Duolingoで出題される問題に答えて不正解になったとき、単語がわからなくて不正解になったのか、構文がわからなくて不正解になったのか、その両方なのか。構文がわからなかったらどんな構文がわからなかったのか。それは例えば、人間の英語の先生が見たらたぶんわかると思うんですよ。たぶんこの生徒はこれがまだわかってないんだな、と。でも、それをアプリ上で知るのは難しい課題です。

単語ベースのアプリの中で、いかに文法をいかに教えるか。学習者はいかに文法を習得するのか。そんなことに今、注目しています。そこを突き詰めると、人間は文法をどうやって学んで、どうやって頭の中で保持してるかっていう話になっていくのでかなり面白いトピックだと思っています。


── 単語を記憶していけば、ある程度の文法は学べるということですか?

Duolingoはスペイン語、フランス語といったヨーロッパの言語を学んでいるユーザーさんが多いのですが、そういった言語は文法項目がかなり語彙的なんです。例えば現在形、過去形、未来形とか、そういった時制に対応する動詞の活用は全部決まってるんですよね。かつ、ある主語に対して例えば、私、英語で言うとIとYou とHe、She、Weみたいにその主語に対して動詞が活用しますが、それも決まっています。

なので、スペイン語とかフランス語の学習は、「動詞の活用を覚える」というところがかなりの比重を占めていて、文法を学ぶという課題の多くが語彙の問題に帰着されるんです。それも今のところ単語ベースでDuolingoが設計されている理由の1つです。


── 学校での勉強では「文法」とされるところが、Duolingoでは単語の問題として捉えてるということですね。

萩原:そうです。そして、私が注目しているのは、単語を覚えるだけでは捉えられない文法をどうやって教えるか、ということです。例えば、関係代名詞の後ろには節(主語・動詞を含んだ文)が入りますよね。でも、節が入る、ということ自体がピュアな文法項目であるわけです。それは単語だけでは絶対捉えられないので。

同じく、語順も文法項目ですね。スペイン語もフランス語もそうなんですけど、形容詞が後ろから係るんですよね。例えば「赤いリンゴ」と言いたいときに、冠詞が付いて、リンゴが付いて、最後に赤が付くんですけども、そこがやっぱり難しい。その語順を間違えてしまうっていう誤りがたくさんあります。1個1個の単語がわかっていても、語順としてこうやって置くんだということがわからないと、きちんとその文が組み立てられないわけです。


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語学は「ダイエット」と同じ


── やっぱり普通の日本人にとって、英語は勉強してもなかなか上達しないものです。萩原さんは英語に加えて中国語もご堪能ですが、日本人が外国語を学ぶ上で何が一番重要だと思いますか?

萩原:やっぱり語学って苦しいんですよね。そして、時間もかかる。そこに対して、日本の英語教育が良くないって言う人も多いですが、そもそも英語って日本語と全然違うんです。逆のパターンで英語ネイティブの人が日本語を勉強している人を見ても、流暢なレベルまで行ける人って本当に数少ないわけです。

アメリカにForeign Service Institute(FSI)という外交官を育成する機関があるんですが、そこが公表している情報によると、英語ネイティブにとっての四大難しい言語というのがあって、それは日本語、中国語、韓国語とアラビア語なんですね。それらの言語を学ぶためには2,200時間の訓練が必要とされていて、そもそもそのぐらいの時間をかけないと言語って習得できないということなんです。そこが結構抜けていて、日本人が英語教育で英語に接する時間ってたぶんそれの10分の1にも満たない時間です。その残りの数千時間をいかに埋めるか、というのが課題なんです。

私だって、大学のときにはなかなか自然に英語をしゃべれませんでした。そのあと、アメリカで仕事をしたりとか、とにかく英語を使う時間の下積みがあって、そこがないとやっぱり基本的には外国語って使えるようにならないと思います。

言語がうまくなる過程というのは、普通の勉強とは違って、どちらかと言うと、どうやって自動車や自転車に乗るか、という問題に似ています。基本的には座学で一通り覚えたら「じゃあ実際に現地に行って運転してこい」という世界なんです。その結果、間違いながらどんどん覚えていく。

なので、語学に成功したかったらまずその言語を使う場面を早く見つけてしまうのがいい。なんでもいいんですが、その外国語を使ってでしかできないこととか、その言葉でしか話せない自分の友人だとか、そういうのを見つけるのがやっぱり一番近道ですね。車がないと行けないところがあったら車の運転覚えますよね。それと一緒の話だと思うんですよ。


── なるほど。でも、語学は上達する人と上達しない人がすごく分かれる分野でもありますよね。

萩原:向き、不向きも少しはあるっていう研究結果はありますね。実際、語学適性と呼ばれているものは確かにあって、アメリカでは言語を学ぶのが著しく困難になる「外国語学習障害」というのが認定されつつあるそうです。モチベーション、社交性、単語を覚える能力、新しい単語を一般化する能力といったスキルもかなり影響していますね。そういうところで、ある程度その人の外国語学習の成功、不成功を測れるっていうテーマはたくさん研究されています。

でも、現実問題としてほとんどの人が語学に失敗するわけです。そのほとんどの「失敗」の原因を考えると、私は語学は適性ではないと思っています。日本人のほとんどが英語ができないのは、単純に英語が必要ないからであって、適切な環境とモチベーションを与えれば誰でもできるようになると思っています。

よく私が使う例なんですが、語学ってダイエットと同じなんですよ。ダイエットとかエクササイズですね。ジムの会員になって失敗する人、全然行かなくなって失敗する人って、運動の適性がないかって言われたらそういうわけではなくて、モチベーションとか環境が原因なんです。例えば、ちょっとジムが遠かったりとか、仕事終わり通うのが嫌になってしまったりとか、そういう理由があるんです。

だから、基本的にはダイエットもエクササイズも、誰でも成功できるんですよね。ただ、それが続くかというモチベーションの問題と、あとはそれを続けるサポートがあるかどうか。

Apple WatchとかFitbitのようなフィットネストラッカーをはじめとする何らかの計測装置をつけているだけで1日に歩く量が増えるっていう研究結果もあります。そういうモチベーションって大事なんです。今日何歩歩いたかを可視化するだけで、それに対して意識し始めるから歩く量が増えて、結果的にダイエットになる。

それと一緒で、Duolingoも語学をサポートできる存在になっていると思います。そうすると、少し語学が楽になって失敗しにくくなると。


── つまり、Duolingoは「教科書」というよりも、「語学のパーソナルトレーナー」ということですね。

萩原:そうですね。まさにその通りです。でも、1つ注意点があって、ダイエットするのにダイエット自体を目的にしないほうがいいと思います。

私は運動は得意ではないんですが、水泳をちょっとやっていて、もともとはダイエットをするために、と考えていたんですが、水泳を続けているうちに泳ぐのが好きになってしまったんです。それで泳ぎ続けていたら、食べても太らない体になったんです。正確に言えば、食べても太らないぐらいに水泳してたということなんですが。

だから語学もこれと同じで、言語の上達そのものを目的とするんじゃなくて、その言語を話す国やその国の文化に興味があるとか、その言語を話す人と結婚したとか、英語を使わないと仕事で出世できないとか、その結果、言語がうまくなったっていうほうがやっぱり自然かなと思いますね。


後編に続く


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