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印南敦史  - ,,,  06:30 AM

池上彰が語る「新聞の論調は偏ってもいいのか」問題

池上彰が語る「新聞の論調は偏ってもいいのか」問題

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まずインターネットの普及に伴う読者離れがあり、次いで一連の誤報問題がさまざまな反感を呼び、いまや新聞は、誰の目から見ても危機的状況にあります。このことについては冷静かつ客観的に考えてみるべきですが、いずれにしても「新聞に未来はない」という考え方は、今後も広がっていくように思えます。しかし、それを認めたうえで、『池上彰に聞く どうなってるの? ニッポンの新聞』(池上彰著、東京堂出版)の著者はこうもいいます。


確かに、今の新聞はたくさんの問題や課題を抱えています。(中略)でもそれ以上に、新聞にしかできないこと、新聞だから伝えられること、そして新聞でなければ果たせない役割がある。新聞とは本来、そんな魅力あるメディアだったはずです。(「はじめに」より)


だとすれば新聞は今後、どうすれば立ちなおれるのか。そう考えた著者はジャーナリストとして、新聞の置かれている現状を見据え、問題の本質を検証し、将来的な新聞のあり方を伝えたいという思いから本書を書いたのだそうです。きょうはそのなかから第2章「新聞の内容は偏ってもいい?」に焦点を当ててみます。


二極化する日本の新聞


新聞にはそれぞれカラーがあり、その根幹を成しているものが「論調」。そしていま、日本の新聞界は、論調によって大きく2つに割れていると著者は指摘しています。特に最近は特定機密保護法、集団的自衛権、原発再稼働など議論が分かれる問題が多いだけに、新聞ジャーナリズムの二極化はより顕著に。わかりやすくいうと、「朝日・毎日・東京」と「読売・産経」とに大きく分かれ、その間に「日経」がいるという構図になっているのです。

そして注目すべきは、論調の違いが論じられる「場」が変わってきたこと。以前なら論調の違いといえば、「社説」で論じられるものだったはず。ひとつの出来事についてその新聞がどう考えているか、どんな立場を取っているかは、社説で語られるものだったということ。「記事は客観、社説で主張」という棲み分けを軸に、出来事自体は客観的に報じながらも、社説の内容で意見を戦わせていたわけです。

ところが近年は、これまでは客観的だったはずの記事も、社説(=その新聞社の論調)に沿うように書かれることが多くなっていると著者。たとえば普天間基地の辺野古移設問題への対応が争点になった2014年の沖縄知事選挙の報道でも、基地移設反対派の翁長雄志・前那覇市長が当選したとき、朝日や毎日が一面トップで大々的に報じたのに対し、読売では驚くほど小さな扱いでした。

しかし、同じ出来事なのに新聞によって扱いの大きさが異なるのは、珍しいことではないと著者はいいます。つまり、基地移設を推進する政権(自民党系)が推薦した候補が選挙で負けたという客観的事実を、政権に批判的な朝日・毎日は積極的に報道し、政権支持する読売は小さく扱ったということ。だから選挙結果のような客観的事実の記事も、自社の論調に沿った報じられ方になる。そのようなところにも、論調による新聞の二極化が見て取れるわけです。(65ページより)


原発事故をきっかけに、論調を明確にした新聞とは


2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原発事故が起きてから、論調が明確になった新聞が東京新聞です。朝日や読売のような全国紙ではなく、中日新聞東京本社が発行する東京のブロック紙。発行部数50万部ほどの規模の小さい新聞ですが、原発事故を境に「反原発」という主張を明確化させたのはよく知られた話です。反原発デモについても積極的に報道してきたことから「東京新聞=反原発の論調」という構図ができあがり、いまやこれが東京新聞の個性となっているわけです。そして、このことについては、いろいろな理由が考えられると著者は記しています。

私たちは新聞を選ぶとき、共感できる新聞を選ぶことが多いもの。つまり「反原発」という立場をはっきりさせることにより、同じ考えを持つ人たちが、態度の煮え切らない朝日を見限って東京新聞に流れるということも考えられるというのです。さらに、新聞社にとっての大きな収入源である広告について考えても、たとえば反原発関係の書籍を発行している出版社なら、同じく反原発の論調を持つ新聞に広告を出したくなって当然。同じように、反原発の本の広告を原発推進の読売や産経に出そうとは思わないはずです。あるいは、論調も読者もはっきりしている方が効果的だろうという考えから、「最初は朝日に出そうと思っていた」広告が、東京新聞に流れてくるケースも充分に考えられるわけです。一方、電力会社関係からの広告が皆無になったという話も、一時期話題になりました。

いってみれば、反原発という論調を鮮明にしたことが、東京新聞の経営に大きな影響を与えた可能性があるということ。この事実が証明しているように、論調形成は、新聞社の経営戦略にも少なからぬ影響を及ぼすことがあるのだと著者は解説しています。(72ページより)


新聞に「個性」があってもいい


かつては社説だけで論戦を張ってきた新聞が、記事そのものにも自社の論調をにじませ、主張するようになってきた。著者はその流れをどう見ているのでしょうか?

このことについては、「それぞれの新聞に特徴が出てきた、論調が際立ってきたのは決して悪いことではない」と考えているそうです。もちろん事実はきちんと伝えるべきですが、「どう伝えるか」については、新聞によって違いがあってしかるべきだという考え方。むしろ、記者のセンスや資質、情報を切り取る力量、さらに新聞社の論調や体制によって伝え方が異なるのは当たり前のことだといいます。

そして、この基本を確認したうえで著者は興味深いエピソードを持ち出しています。著者が学生だった40年ほど前は、「日本の新聞はどれも同じだ」といわれていたという事実。新聞名を隠してしまえば、書かれていることも伝えている内容もみんな同じ。だから、新聞なんか意味がないと批判されていた時代があったのです。

象徴的だったのが、1960年の日米安全保障条約の改定をめぐる政治闘争(60年安保)のときの新聞報道。安保闘争が激化してデモ隊が国会議事堂に突入した際、機動隊と衝突してひとりの女子学生が死亡するという事件が起きたことをきっかけに、新聞各社の報道が一転したのだそうです。

朝日、読売、毎日、東京、日経、産経、東京タイムズ(当時存在していた新聞)の在京7社が「暴力を排し議会主義を守れ」という同じ文言の社説を一斉に掲載した「七社共同宣言」がそれ。日米安全保障条約の改定をめぐる社説でも意見が大きく割れていた新聞が、ぴたりと足並みをそろえた報道へと変わっていったということ。記事は客観的でも、社説では隠しが持論を主張していたはずの新聞が、社説まで主張を同じくしてしまった。そこで「言論の自由や報道の自由はどこに行った、新聞社がすべて同じになっていいのか」と、当時は相当な論争になったといいます。

話を戻すと、現在はそうした流れが変わってきているということ。どれも同じだった新聞にカラーが出て、論調や編集方針が紙面からはっきりとうかがえるようになってきたわけです。40年前に「こうあるべき」といわれていたことが、いまようやく実現しているともいえる。著者はそういいます。


世の中には多種多様な考え方があり、言論があります。独自の価値観と主張に基づいて世の中の出来事を切り取り、記事として構成していくのはジャーナリズムを謳(うた)う言論機関として当然でしょう。どの新聞もみんな一緒になって、まったく同じことを世の中に発信しましょう、となる状況のほうがとても怖いことではないでしょうか。(79ページより)


すなわち論調とは、「新聞の個性」。さまざまな領域において個性が重視される時代なのだから、新聞にもそれぞれのカラーや個性があっていい。著者はこの項をそう結んでいます。
(77ページより)



著者ならではの「わかりやすさ」が最大の魅力。気にかかっていたことの多くを、本書によって解消できるでしょう。

ちなみに著者はNHKの「週刊こどもニュース」を担当しているとき、解説委員長から「お前は解説委員になりたいっていい続けてるけど、なれないよ」といわれたことがあるのだそうです。理由は、「広い知識はあるが、専門分野がない」から。そういわれたとき「自分はなにかの専門家になれるのだろうか」と考え、「自分は"物事をわかりやすく説明する専門家"として生きていこう」という思いに至ったのだとか。それが現在、著者の最大の強みになっているのですから、なかなか興味深いエピソードだといえるのではないでしょうか?


(印南敦史)

  • ,,,,, - By

    香川博人

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