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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,,,,,,,,  10:00 AM

日本人に合った英語学習法は「データ」から生まれる。Duolingo社の日本人エンジニア、嶋英樹インタビュー

日本人に合った英語学習法は「データ」から生まれる。Duolingo社の日本人エンジニア、嶋英樹インタビュー

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世界的にすっかり名の知られた語学学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」。決められた学習内容を一方的に教えるのではなく、データを基に最適化されたコンテンツが学べるのが特徴です。

2014年、日本版アプリがリリースされた時、ライフハッカーは来日したCEOのルイス・フォン・アーン氏を取材しました。それから約1年が経過し、当時3000万人だったユーザー数は全世界で1億人を超えました。これだけのユーザーに支持される理由は、アプリ上で気軽に学習を続けられること、ゲームのように楽しく学べることに加えて、実際に学習効果が認められているからでしょう。

ニューヨーク市立大学とサウスカロライナ大学が共同で実施した第三者独立調査によると、「Duolingoで学習した34時間は、4年制大学における言語教育の1学期分に匹敵する」とのこと。

今回ライフハッカーでは、そんなDuolingoの内側に迫るべく、同アプリを開発・運営するDuolingo社で働く日本人エンジニア、嶋英樹さんにインタビューする機会を得ました。見えてきたのは、Duolingoの開発裏やこぼれ話、社内の仕組みや雰囲気など。この記事をきっかけにDuolingoにトライしてみてください。

嶋英樹(しま・ひでき)

コンピュータサイエンス分野では世界一として知られるカーネギーメロン大学の博士課程を2014年8月に卒業し、同年9月からDuolingoで働く。専門は機械学習や自然言語処理。在学中はDARPAの質問応答プロジェクトに参加したのがきっかけで、IBMワトソン研究所にも短期滞在し、当時まだ秘密プロジェクトだった質問応答人工知能「ワトソン」の研究開発にも携わる。


仕事の成果が数日で見える


── Duolingoではどんな仕事に携わっていますか?

嶋さん:現在、ソフトウェアエンジニアという仕事をしています。Duolingoでは、ユーザーひとりひとりに合わせて語学レッスンの学習メニューを作ろうとしているのですが、レッスンを動的に生成するアルゴリズムの開発や学習ログの分析などを行っています。また、Duolingoのアプリ内でテストを受ける際に答えを書くと合否が判定されるのですが、その部分の開発にも一部関わっています。


── 日本ではなく、海外で働こうと思ったきっかけは何ですか?

嶋さん:大学時代は学部から理工学部、情報学科にいていわゆるコンピューターサイエンスを学んでいました。そこで、最初のプログラミングの授業で出てきたのが1000ページくらいある英語の教科書で、衝撃を受けたんです。まず、なんで英語なんだろう、という疑問ですよね。よく考えてみると、プログラミング言語やソフトウェア会社が強いのはやっぱりアメリカの会社なんです。最新の技術が教科書になるまで数年かかり、それが日本語に訳されるまでにさらに1年かかり、その間に技術はどんどん進んでいってしまうこともあって「アメリカで勉強したほうがいいんじゃないか」と大学1年生の時点から漠然と考えていました。


── なぜDuolingoで働こうと思ったのですか?

嶋さん:当初は、なるべく大学院で学んでいた分野に近い仕事を探していました。企業の研究所などで働くことも考えましたが、大きな会社で働くとどうしても歯車の一部になってしまうことが懸念点でした。Duolingoは小さな会社なので自分がやったことがすぐにプロダクトに反映されるし、自分で実装した機能が、何百万人というスケールの人々に使われるのを見ることがモチベーションにつながると思いました。

私はずっと大学で研究を続けてきたのでわかるのですが、研究の世界は、数年経って初めて自分の仕事の成果が見えてくる世界です。Duolingoの場合はそれが数日で見える世界なので本当にエキサイティングです。


社内に日本語がわかる人はほとんどいない


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── 実際にDuolingoを使ってみて気づいたのですが、英訳や和訳のときに自分の回答を入力すると、アプリが「添削中・・・」となって、別の表現を提示することがあります。どちらも正解だとは思いますが、こういう微妙な回答に対して正誤の判断をくだすのもアルゴリズムで処理しているのでしょうか?微妙な回答は、人間では直感的にわかるものの、機械には判断が難しそうです。

嶋さん:アルゴリズムで処理しています。というかそもそも、社内に日本語がわかるエンジニアはほとんどいません(笑)。判定について、特に日本語が難しいのは、英語と比べて語順が比較的自由なところです。例えば、「私はリンゴを食べる」でも「リンゴを私は食べる」でも、どちらも正解ですよね。なので、正解になる文章の種類がかなり多くなってしまうんです。また、平仮名、片仮名、漢字と表記する文字の種類が多いので正解に「揺れ」が生じてしまうのです。


── Duolingoで一番熱心に語学を勉強しているユーザーはどこの国の人々ですか?

嶋さん:Duolingoでユーザー数、勉強時間でトップに登るのがコロンビア、メキシコといった中南米の国の人々です。彼らにとっては、英語を学習することが直接職を得ることにつながります。英語ができれば、仕事が見つかり、家族も養える。強力なハングリー精神を持っているので必死に勉強するのです。彼らは英語学習に高いお金をかけられないという事情もあり、無料アプリのDuolingoを選んでくれているのでしょう。

翻って、日本人の場合は、学校で何年も学んで大学入試に備える。でも、それ以降は英語を使わずに生きていくことができますよね。日本人ユーザーの数が中南米の国々に及ばないのは、コースの歴史や言語間の類似性によるとっつきやすさのほか、このモチベーションの違いもあると思います。


── 普段の職場の雰囲気はどんな感じですか?

嶋さん:大学の研究室を少し延長したような感じです。卓球台があったり、ビリヤード、テーブルフットボールがあったり、ソファーエリア、ハンモック、あとは、ボタン1つで高さを上下に調整できるデスクもあります。簡単にスタンディングデスクにもなるんですよ。

会社に置いてある食べ物や飲み物は勝手に食べてよくて、昼食はケータリングが来ます。あと、シリコンバレーでも流行っていると聞きましたが、ここにも「おーいお茶」が置いてありますよ。

毎週金曜日には置いてあるビールを飲みながら、CEOのルイス・フォン・アーンに自由に質問できる時間があります。会社の透明性を高めるためにやっていることで、「人が足りていないけど採用はどうなってるんだ?」とか、お金のこととか、聞きにくいことも基本的に何でも答えてくれます。


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ゆったりとしたオフィスに、社員数は40人程度。Ph.D.(博士号)ホルダー多く、大学時代に天才と呼ばれていた人も何人かいるそうです。


── 今後Duolingoはメジャー言語だけでなく、マイナー言語にも対応していく予定ですか?

嶋さん:そうですね。Duolingoではインキュベーターというプロジェクトが進んでいて、各言語のコースをボランティアの方に開発してもらっています。インキュベーターでは現在、ヘブライ語、イディッシュ語というドイツのユダヤ系の人が話すマイナーな方言などを学べるようにコース開発が進んでいます。おもしろいところでは、エスペラント語という人工言語、さらにはスタートレックに出てくるクリンゴン語のコース開発も進んでいますよ(笑)。なので、将来的には世界のマイナー言語もある程度は学べるようになっていくと思います。


語学学習は続くように教えるべき


── 語学は楽しんで学べる側面もありますが、単語をひたすら覚えたりといった「避けては通れない苦痛」も伴う学習だと思っています。「効果的な語学学習」と「楽しさ」は両立すると思いますか?

嶋さん:一般的に英語の学習が楽しくないと思われている理由の1つに、教え方が間違っているから、というのはあると思います。

日本の英語教育は漢文の教育と共通点があるような気がしています。レ点をつけて、日本語に訳して教えるのが原点にあり、英語教育でも英語のまま考えさせるのではなく、基本的には英語を日本語に訳すという教え方をしています。でも、翻訳重視ではなくて、会話などの使える英語を教えるほうが学ぶ側のモチベーションは上がります。Duolingoではまだ翻訳問題も多いのですが、その割合を減らして、会話能力を鍛える新しい問題形式を徐々に取り入れています。

語学学習は続けないと意味がありません。続くように教え方を工夫することが一番大切だと思っています


── 実際にDuolingoを使ってみて、文法を学ぶ順番が一般的な教科書とは順番が違うと感じました。例えば、関係代名詞について問う問題が学習を初めてかなり最初のほうで出てきます。一般的な英語の教科書では割と後のほうで学ぶのが普通なので意外だったのですが、これはA/Bテストを通して検証した結果、最初のほうに出題するほうが学習効果が高いと判断したからでしょうか?

嶋さん:そうですね。それは確かに意外なところかもしれませんね。でも、そもそもなぜ日本の教科書はどれも関係代名詞を後のほうで教えるのか、という疑問はあります。もしかしたら、特に根拠はないのかもしれません。

Duolingoでは、まず仮説を立てて、そこからA/Bテストで検証します。例えば、関係代名詞を後ろじゃなくて前にしてみたら学習定着率はどうなるだろう?といった仮説を立てて、実際に2つのグループでテストしてみるわけです。その後、テストの正答率といった「評価基準」を根拠にどちらが良いかを判断します。

そもそも、学校の現場でこのような検証を行うと非常に時間がかかります。まず1学期間英語を教えて、それをテストで検証して...とやっていると、1クラス分の生徒では足りないでしょう。でも、Duolingoなら1週間あれば何百万人というユーザーのデータが集まる。データ数の多さと、検証サイクルが速いので、新しい学習方法を生み出すには最適な環境なのです。

ただ、難しいところは、対象とするグループによって教え方が変わる、ということです。例えば、スペイン語には冠詞があるのでスペイン語ユーザーに英語を教えるときには冠詞はほぼ教えなくてもいいのですが、日本語ユーザーに英語を教えるときは、日本語には冠詞がないので教える必要があります。でもこれは、日本人が英語を学ぶのに最適な教え方が、時間が経つにつれどんどん改善されていくということです


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── データが意外な結果を出した例はありますか?

嶋英樹さん:A/Bテストは常にいくつもやっていて改善しているのですが、絶対うまくいくだろうと思って実装しても、うまくいかないことがあります。例えば、バグを直したのにスコアが下がってしまうこともあります。どう考えても改善だったはずなのに、逆に改悪になってしまっていたのです。

とても細かい変更が大きな違いを生むこともあります。Duolingoのマスコットに「デュオ」というフクロウがいるのですが、しばらく練習をしないとリマインドしてくれます。このとき、デュオは涙を流すのですが、この涙の数までA/Bテストで決められています。涙がどれくらいあるかで、練習に戻ってきてくれるユーザーの数が大きく変わってくるのです。


── アプリのデザイン自体も、データからアイデアを得て作っているんですね。

嶋さん:そうです。アプリ上のボタンの配置や、使用する言葉なども、データを見て決めています。

例えば、2014年の秋頃まで、問題を間違えるとハートが減っていく「ハート方式」だったのですが、現在は合格するとゲージが増えていく「パワーゲージ方式」に変更しています。これも徐々にA/Bテストを重ねながら変更していったデザインの1つです。


── 日本人のユーザーなら英語をブラッシュアップするためにDuolingoを使っている人が多いと思いますが、逆に今まで全く学んだことのない言語をDuolingoで学ぶこともできますか?

嶋さん:前提知識がない状態でもある程度であれば、Duolingoで学ぶことはできます。Duolingoの弱いところは、文法を直接教えないところです。教科書のように文法を教える時間がしっかり取ってあるわけではなく、とにかく問題を解いていくスタイルになっています。なので、全く新しい言語を学ぶ場合は、教科書で文法的な部分を補いつつ進めていくのが今の段階では効率的かもしれません。


── ライフハッカー読者の中には、いつか海外で働きたいと思っている人も多くいます。その点、アメリカで働いている嶋さんはロールモデルとして勇気づけられる存在です。最後に、そんなライフハッカー読者にメッセージをお願いします。

嶋さん:日本人は勤勉で、アメリカで働き始めたら活躍できる人が多いと思います。飛び出すまでが難しいのはわかります。でも、そこは勇気を持って飛び出してほしいなと思います。

日本人があまり海外に出たがらないのは、日本にいたほうがリスクが低いとか、モチベーションの面で他の国の人たちと比べてハングリー精神が少ないからだと思っています。やっぱり日本は住みやすいところなので。

でも、日本人の勤勉さを持っていれば活躍できると思います。ぜひ海外で働くことにもチャレンジしてみてください。


(大嶋拓人)

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