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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

クノールカップスープに学ぶ「ずらし」の発想

クノールカップスープに学ぶ「ずらし」の発想

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「売り方」というと、多くの人は店頭キャンペーンや宣伝を思い浮かべることでしょう。しかし、それらは「売り方」を拡張し、加速させるための手段でしかない。肝心なのは、そうした"戦術"の前にまず、自分自身が"戦略"をじっくりと考え、方針を決め、それにふさわしい売り方を開発すること。

スープを売りたければ、パンを売れ』(山田まさる著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、「はじめに」でそう訴えています。20年以上にわたりPRを使った企業のマーケティングをサポートしているという人物。印象的なのは、「売り方」は、時代の流れに応じて変えるべきだと断言している点です。なお、「売り方」の見なおしの手順は次のとおりだとか。まず、売り方の基本をなす3つの要素を検討するわけです。


1.売りものである商品(モノやサービス+付加価値、提供できる価値はなにか?)
2.売り先である顧客(ターゲットは誰か?)
3.売り手である自社や自店(自分たちはいったい何者か?)


これらは三位一体で商売の根本をつくるものですが、まずは、どれかひとつでも見なおしのきっかけを見つけることができれば、そこから従来とは異なる売り方が見えてくるのだといいます。また、実際に売りものや売り先を変えなくても、見方や考え方を変えるだけで効果が生まれてくるそうです。

そのような観点からさまざまな売り方を紹介した本書から、きょうは第2章「『ずらし』で売る」に焦点を当ててみたいと思います。


「ずらし」で売る、とはどういうこと?


商品やサービスを世に送り出すときには、「お客様にこんなふうに使ってもらいたい」「こんな価値を提供したい」と想定しているシーンがあるもの。ところがユーザーは、こちらの想像以上の楽しみ方や使い方を見つけ出すことがあります。いってみれば、商品を提供する企業やお店が想定する、当たり前からの逸脱。著者によれば、それが「ずらし」で売るということだとか。

とはいっても突拍子もない、とんでもない使い方に飛躍するということではありません。具体的な使い方を押さえたうえで、前後・左右・斜めに少しだけ使い方を「ずらし」てやる。そうすることで、商品やサービスが提供できる価値をふくらませることができるということ。いわば「ずらし」で売るとは、商品(売りもの)の捉え方のことだというわけです。そして以後では、著者が実際に取り組んできた仕事から得たという「ずらし」の感覚が解説されています。(48ページより)


カップスープを「ずらし」で売る


1973年に発売が開始された「クノールカップスープ(味の素)」は、紛うことなきロングセラーブランド。ここで紹介されているのは、そんなクノールカップスープが2010年から3年間実施した「つけパン」「ひたパン」キャンペーンです。

2007~08年ごろ、日本の多くの食品メーカーは原価の高騰に苦しみ、製品の大幅な見なおし、テコ入れを迫られていました。クノールカップスープも同じで、徹底した商品の改良、特にコストの見なおしに取り組んでいたのだそうです。そんななか、宣伝広告においては「クノールカップスープは北海道の契約農家のとうもろこしを厳選して使っています」と品質をアピールしていたのだとか。

事実、厳しいコスト削減のなかにあっても、主原料である野菜、特にとうもろこしの品質にはこだわっていたといいます。30年以上も続いている人気ブランドですから、商品の改良に際し、変わらぬ「品質」を訴え続けたということ。しかしそれでも売り上げが伸び悩んだため、著者もクノール・チームに参加することに。なお、この時点で、ユーザーの実態調査からわかっていたのは、以下の4点。


クノールカップスープのユーザーの実態の考察

  • 圧倒的に朝食で使われている。
  • 朝食に「クノールカップスープ」を飲んでいる人の70%以上がパン食。一方で、朝食がパン食の人で、スープを飲んでいる人は10%強しかいない。
  • 圧倒的にパンとの相性がいいのに、そのことが充分にアピールできていない。
  • つまり、スープのユーザーはパンにつながっているが、パンのユーザーはスープにつながっていない。つまり、"片思い"が続いている。
(50ページより)


つまり、この"片思い"をなんとかすることが解決の糸口となったわけです。そんななか、ブランドを担当するメンバーのひとりが、以前の議事録のなかから引っぱり出してきたのが、「ディップスタイル」という食べ方提案。いうまでもなく、こんがり焼いた食パンを切ってカップスープにつけるという、ユーザー調査から見つけられた食べ方です。

その結果、「これはおもしろい!」ということになり、すぐに店頭でのテスト販売を実施することに。東京近郊の5店舗で「ディップスタイル」の店頭販売を行なったところ、子ども連れのお客様を中心として予想以上に大好評。そこで「これでキャンペーンを組み立てよう」ということになり、「つけパン」「ひたパン」キャンペーンが生まれたという流れです。「品質へのこだわり」を訴えてきたそれまでの広告を大きく変更し、ユーザーがどのようにカップスープを楽しむのか、その"わくわく感"を売り方の中心に据えたというわけです。(49ページより)


「ずらし」で売るための3つのポイント


ここからわかるのは、「ずらし」のヒントを見つけるには、実際に商品を使ってくれているユーザーの実態に目を向け、声に真摯に耳を傾けることの重要性です。そこで著者は、「ずらし」で売るための3つのポイントをまとめています。


POINT1 基本を押さえたうえでの「ずらし」である


クノールカップスープの場合、「まずパンに合うこと」「ちょっと硬くなったパンでもおいしく食べられる」「パサつかず、食べやすく、飲み込みやすい」という基本を押さえたからこそ、「ディップスタイル」(「つけパン」「ひたパン」)への発展が可能となったわけです。


POINT2 その人だからできる「ずらし」のテクニックがある


一般ユーザーとは異なる「プロシューマー(「生産者=プロダクター」)の力を借りることができれば、「私ならこう使う」というその人ならではのアイデアを見つけ出すことも可能に。ここで引き合いに出されているのはクノールカップスープとは別の例ですが、いずれにしても「プロのユーザー」の意見を上手に取り入れることも、ひとつのやり方だということ。(64ページより)


POINT3 プロではない一般人だからこそ気づくことがある


クノールのエピソードは、まさに一般ユーザーの実態から新しい「楽しみ方」が浮かび上がったケース。ここでのポイントは、「子どもならでは」「主婦だからこそ気づく」など、その立場だからこその事例があるというわけです。(以上64ページより)



クノールカップスープの話はほんの一例ですが、本書では他にも、実体験に基づくさまざまな「売り方」が紹介されています。そしてその多くは、「どう売るべきか」に頭を悩ませている人のモヤモヤを解消してくれる可能性があります。


(印南敦史)

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