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松尾仁  -   07:00 PM

前期比160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のビジネス戦略

前期比160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のビジネス戦略

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18時で全員退社、それでも160%の業績を上げ続けるECサイト「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムにみる働き方の記事は、多くの反響をいただきました。クラシコムのみなさんが理想的な働き方を実現できているのは、代表の青木耕平さんが「働き方の設計図」を丁寧に描いてきたからだと感じます。その青木さんに、今回は前期比160%の業績を上げ続ける「ビジネスの設計図」について話を伺いました。ECのみならず、幅広い事業者にとって経営のヒントがあると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。


ビジネスの成長を阻む2つの壁は、供給の壁と、オペレーションの壁


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ビジネスにおいて「常勝」の方程式は存在しませんが、やみくもに進んで成功するものでもありません。では、どうすれば成功の確率を上げることができるのでしょうか。青木さんは、ECビジネスの成長を阻む壁は「大きくは2つある」と考えているそうです。


青木さん:大まかに言えばですが、ECビジネスの壁は「供給の壁」と「オペレーションの壁」「需要の壁」の3つがあると思います。ビジネスの成長というと、「集客」や「販促」などに取り組み「需要の壁」をクリアすることばかりにフォーカスされがちな気がしますが、実際にはそれぞれの壁を順番に何度も越えていく必要があります。

たとえば幸運なことにPRやプロモーションがうまくいってたくさんお客さまが集まってくださったとしても、売れる商品の調達の限界、つまり「供給の壁」が成長を阻んだり、そもそも一度に対応できるご注文の数に限界がありますから、その限界が「オペレーションの壁」となって成長を阻んだりするものです。まずは「集客」に力を入れて「需要の壁」をクリアすることから始めることが必ずしも正解とは限りません。場合によっては初手として、売れる商品の安定供給という「供給の壁」にフォーカスすることが、結果的に需要を生み、ビジネスを成長させることもあると思います。


供給の壁のボトルネックを探り、解消するための設計図を引く


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青木さんたちも創業時は初手として「供給の壁」を乗り越えることで成長の足がかりをつくることができたそうです。具体的にどんな取り組みをされたのでしょうか。


青木さん:供給がうまくいけば、並べるそばから売れる商品ってあるじゃないですか。僕らの場合は北欧のビンテージ食器類がそういう商品でした。国内の事業者が成長阻害要因として持っていたのが供給の問題だったからです。他のお店ではいつも売り切れ。この市場でナンバー1になるためには、供給の壁をクリアすればいいと思いました。

では、何が供給を阻んでいたのか。それは商品の買い付け方でした。プロのバイヤーが現地に出かけて1つずつ選んで買い付けをするという方法をとっていらっしゃるところが多かった。しかしそれだとバイヤーの人数、1人のバイヤーがセレクトできる商材の数、そして買い付け旅行に行ける回数、などにボトルネックがあって需要に応えるだけの供給をすることが難しい。どうしようかといろいろ悩んだ末「現地に行く」ことと「プロのバイヤーに選ばせる」ことを不要にする仕組みを構築すればいいと考えました。

そこで、プロではない人をバイヤーにするマニュアル、評価システム、報酬システムをつくり、現地在住の方を中心にパートタイムバイヤーのネットワークを構築し、商品を買って送ってもらうようにしたんです。何を送ってきても、売れたら粗利に対して一定の%をお支払いする。最初はいろんな商品が届くんですけど、それも商品ページをつくって出品はする。だけど%は固定ですから、原価率を低くして、高く売れる商品でないとバイヤーにとっても実入りが少ないんですよね。すると、みなさんできるだけそういう商品を探すようになるんです。あるいは売れないとお金が入ってこない(買い付けた商品が売れた場合に発生する粗利に対して報酬が発生する仕組みだったので)ので早く売れる「人気商品」を探すようになる。また、破損しているとその分のコストが同時に送った他の商品の原価に組み込まれるので、できるだけ安全な梱包方法を試行錯誤するようになりました。

そのため、僕らは工場みたいにバイヤーから届いた商品をきれいにして、商品ページをつくって、出荷すれば運営できる体制になったんです。一時的にですが、日本で一番ビンテージ商品を供給する会社になっていたんじゃないかと思います。当時は読みものコンテンツをたくさん提供するようなECサイトのメディア化もしていませんでしたから、供給の問題を解決することで、ビンテージという小さな世界ですが、ひとつのイノベーションを起こせたと思っています。

ただ、ビンテージ商品は有限の資産です。化石燃料みたいなもので、いずれなくなるもので商売をしていることは最初からわかっていました。でも、買い付けのための信用もいらないし、商品数においてもビンテージの商品なら、新品の商品よりも最初にそろえなければいけない数はずっと少なくて済みます。そういう意味で最初に取り組む商材としては最適でした。


品薄商品を効率的に集めて売上を安定させ、クラシコムはその後各ステージで直面する「供給の壁」のうちの最初のものを乗り越えました。ポイントは、欲しい商品がなかなか手に入らなくて困っていたお客さまと、手軽に自由な時間で楽しくお小遣い稼ぎがしたかった現地在住のバイヤーになってくれた人たち、そして僕たちクラシコムの間で「三方良し」になる「仕組み」を築いたことでしょう。


1人あたりの粗利を増やすために、独自のシステムを構築する


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青木さんは「供給の壁」と向き合いながら、ビジネス規模を拡大することを視野に入れて、「オペレーションの壁」にも早い段階で取り組んでいました。


青木さん:僕としては「産業的」に事業を行いたかったので、ビンテージアイテムはロケットの第1ブースターのようなものだと考えていたんですよね。当時、妹と2人でやっている分には収益性は高かったんです。その収益で人を雇い、お客さまがビンテージ商品を求めてサイトに集まる段階から現行品を合わせて紹介することで、事業拡大を可能にする品ぞろえを構築していきました。これも「供給の壁」にフォーカスした取り組みです。

そして新たな品ぞろえが構築できて思惑通り事業が拡大し、出荷が増えれば、物流、お問い合わせ対応、受注対応、返品交換対応等のオペレーションが増大することは自明です。適切な備えをしていなければ、今度はオペレーションの限界が事業成長を阻む壁になりかねません。それらの「オペレーションの壁」問題にはかなり早い段階から着手していました。たとえば在庫管理にしても過去数カ月分の受注状況と現在の在庫を自動解析して最適な発注数を計測した上で、取引先ごとにブロードキャストで発注書を送るようなバイイング支援システムを企画して開発しました。また、受注対応や返品交換対応という、売上と共に増える業務を、システムによって効率化していきました。物流業務も早い段階で大手物流業者にアウトーシングし入庫能力、出荷能力の限界が成長を阻まないように取り組んできました。

そうした取り組みによって事業の拡大を阻む「オペレーションの壁」を取り払い、需要の増大がダイレクトに売上の増大につなげられる体制を構築してきました。こうすることで僕らの場合には初めて「需要の壁」に取り組む準備ができたと感じることができました。


ECサイトをメディア化したのは、広告戦略が飽和点に到達したため


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この「供給の壁」と「オペレーションの壁」をある程度乗り越えて初めて、「集客」「販促」といった「需要の壁」に思い切って挑む取り組みができる段階になるのだと、青木さんは続けます。


青木さん:たとえば、オペレーションの問題や供給の問題が解決できなければ、たくさんのご注文をいただいたら、品切れを起こしたり、オペレーションがパンクしたりしてせっかくの「需要」を「売上」につなげられなくなります。一定の準備ができて初めて、広告やモダンなマーケティングに取り組むことができるんです。

今、僕らは広告をほとんど使っていませんが、一時はかなり活用していました。リスティング広告にしても、インハウスで1万5000程度のキーワードを運用して取り組んでいた時期もあります。アフィリエイト広告、プロダクトリスト広告もかなり試しました。今では一部を除いて大半の広告から撤退していますけれど、モダンなマーケティングが必要だった時代もあるんですよね。この当時の取り組みのおかげで供給体制、オペレーション体制が万全に整ったところに「需要」を生み出すことができたので、事業も特に踊り場を迎えることなく順調に成長させることができました。

ところが広告の運用もある程度やりきっていくと効率的に使える広告予算はここまで、という時期が来る。売上が大きくなるとそれに応じて使える広告予算も増やせますが、ある程度以上のレベルから先は予算を増やしても、それに対する効果が減衰してくるポイントがあります。それを感じた時がウェブサイトをメディア化に振るタイミングでした。出店していた大手モールから撤退し、そこに支払っていた手数料をメディア化のための投資に充ててました。そして順次リスティング広告とアフィリエイト広告をやめ、ポイント還元率を引き下げてマーケティング予算を削り、基本的には人件費に充てていきました。


オウンドメディアで大切なのは「私」を編集する技術


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このように、それぞれの成長時期に合わせて問題を明確にし、クリアな解決策を構築していくのが青木さんのスタイルです。ウェブのメディア化を推進する際も、現在までのところは編集経験者を採用するのではなく、未経験者を育てることを選択してきました。


青木さん:うちでは編集経験者はほとんど採用してきませんでした。むしろ、文章を書いたり読んだりするのは好きだけれどそれを仕事にしてきたわけではないような人たち、カメラも一眼レフをほとんど触ったことのないような人たちを採用しています。あり方や読まれ方がまったく異なる新しいメディアをつくるには、物事を素朴な目線で「ゼロ」から問い直せることのほうがより重要だと考えたからです。今までにないものをつくるフェーズに限って言えば、経験者のアンラーン(脱学習)にかかるコストは未経験者のラーン(学習)のコストを上回ることがあります。

僕たちの仕事をお願いした時に、既存メディアで編集やライティングのお仕事をされてきた方が特に戸惑われるポイントは「自分の編集方法」についてじゃないかと思っています。比較的匿名に近い立場で取材相手のことを書いたり編集することには慣れていても、自分が当事者となり直接読者に語りかける「自分の話の編集」をすることは難しかったりする場合もあります。

自分の扱い方は非常にリスクが高く、センシティブなスキルが必要です。ひとつ間違えると、いらぬ誤解や反発を身に招いてしまうこともあります。他のメディアさんの取材を受けると、とにかくエッジを立てようすることが多いんですよね。面白くするために、「言い切り」や「極端なことをつまむ」ことになるからです。これは、自分で自分の話を編集する際には絶対にやらないこと。外部の編集者やライターの方とお仕事をするときに一番大変なのはその点なんです。いいものをつくろうという善意から「面白く」することを優先しすぎる場合がある。でも僕らのメディアの目的は「面白くすること」ではなくて読者と継続的な「良い関係」を構築し、維持することです。そうすると当然編集方針やトンマナも、一般的な既存メディアとは異なってくることが少なくありません。

リトルプレスをつくる際、社外の編集者さんやライターさんと新しい取り組みをする場合は、まず自社のあり方にフォーカスした特集を組むことをしていますが、それは、これから仕事をしていく外部の方と「自分の編集」のトンマナを共有するためなんです。この特集をつくる過程で喧々諤々と議論してそれが共有できた後は、ほったらかしでも大丈夫ですが、それを共有し共感してもらうのが一番難しい。一方で未経験者であれば教育メソッドがある程度確立しているので、入社してから実践で学んで、最初のレベルの戦力になるのに1、2カ月しかかりません。半年から1年で、1人のコンテンツエディターとして自立できることがほとんどです。

そのくらいのスピード感で自社に最適化された人材を育成できるのであれば、今のフェーズでは希少価値が高まっている優秀な経験者を無理に採用する必要はない、というのが率直なところです。ただし、これからさらに個別具体的な部分でクオリティを高めていくフェーズに入って行く際には、さまざまな分野の経験者の方が必要になってくることもあると思います。


採用で最も重視するのは、人生で培ったビジョン


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※2015年度人材採用の募集は既に終了しています。


このようにクラシコムでは編集未経験者を多く雇用していますが、では、何を基準に採用しているのでしょうか?


青木さん:採用で最も重視しているのは、その人の頭の中にあるビジュアルやコミュニケーションについての美意識、ビジョンですね。どういうスタイリングが素敵なのか、どういうコミュニケーションが気持ちよく感じるのか、どういう企画を面白いと思うのかなどその人の頭の中にすでにある美意識やビジョンが、我々のそれにフィットしているかどうかを重要視しています。

たとえば採用時に取り組んでいただくテストに、特定の商品を売るためのスタイリング写真を撮ってもらうという項目があって、最終カットと撮影履歴を提出してもらっています。ビジョンがある人は「こう撮りたい」というのが早い段階で決まっていて、バチッと撮りにいく。結果カメラの扱いに慣れていないなどの理由で写真としてのクオリティはイマイチでも、僕らが見ると「頭の中にあるこういう画を形にしようとしてるんだな」ということはすごく伝わってくることが多いです。頭の中に「画」があって、それが僕らにとっても良い「画」であるなら、それを形にする方法論はすぐに教えられるんですよね。

でも「面白いとは何か」「いいコミュニケーションとは何か」「良い風景とは何か」といった美意識やビジョンは、人生を通じて培ったインプットで培われるものなので、短期的には教えられない。その点をカバーするのは採用の分野だと割り切っています。入ってきて短期間に戦力になるのは、すでに頭の中に良いビジョンを持っていて、アウトプットの方法だけを教えればいい段階の人です。そうした人材を雇うようにしています。


会社はひとつのプロダクト。コンセプトを決めて創造する。


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求められる構造を戦略的に考えて、時代に合わせて変化してきたからこそ、クラシコムは業績を上げ続けることができたのではないでしょうか。


青木さん:事業が成長するかどうかはかなりの部分で運に左右されると思います。とはいえビジネスを成長させる過程で、直面することがはじめから容易に想像できる「壁」がたくさんあることも事実です。それにどれくらい早めに手を打っておけるか、問題が顕在化する前に対処方法を確立しておけるかが重要だと思います。ECサイトをメディア化した時には、広告費の問題を解決しないと、売上が上がり続けても苦しくなるという壁がありました。そのため、売上がいったん下がってでも広告から手を引いて、別の方法で集客をしなくてはいけなかったんです。

そしてデバイスでいえば、約3年前は「8:2」だったPCとスマホのユーザー比率が、いまではPCが2割を切っています。スマホ化の波が来るとわかった時点で、PCサイトの劣化版でもなく携帯サイトの進化版でもない、スマホだからできる、スマホで見た時にもっとも価値を感じられるのECサイトのコンセプトについて考えますよね。

大切なのは、本質的な問いかけから入ることです。今この時代においてお客さまは何を求めておられるのか、何に困っているのか。そのなかで僕らのサービスはどんな役割を果たすべきなのか。何を変えて、何を変えるべきでないのか。コンセプトもないのに行動すると厳しい結果になるので、まず必然性や各プロジェクトを貫くコンセプトを考えぬきます。コンセプトメイクに2年から3年の時間を費やすことも珍しくないんですが、「これだ!」という「鍵」が見つかったときに、バラバラに持っていたものが数珠つなぎになって一つの美しい形をなすことがあって、その瞬間だけは鳥肌が立つほど気持ちがいいですね(笑)。


北欧、暮らしの道具店」のウェブサイトを見ると、スタッフのみなさんが楽しみながら生活を紹介しているため、商品がとても魅力的に映ります。また、前回の記事でも紹介したとおり、クラシコムは、スタッフのみなさんが夕方6時に帰宅しても前期比160%の業績を上げ続けています。その理想的な環境の背景には、青木さんの経営者としての設計図がしっかりと機能していることがあるのではないでしょうか。


(文/松尾仁、写真/長谷川賢人)

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    友清哲

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