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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,  12:00 PM

日本企業250社の海外進出を支援してきた男が説く、シンガポールが注目される7つの理由

日本企業250社の海外進出を支援してきた男が説く、シンガポールが注目される7つの理由

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シンガポールは、国際公的機関が発表する「世界で最もビジネス環境が優れている国」「世界で最もビジネスに適した国」等のランキングで毎年上位に位置づけていることでもわかるように、多くの外国企業が進出する国です。一時期の進出ラッシュはおさまったものの、現在でも多くの企業がシンガポールに進出して来ています。

実際にシンガポールには外国企業はどれくらい存在するのでしょうか。シンガポール統計局の数字によると、約37,000社(2014年)の外国企業が存在するとされています。そのうち日本企業はというと、在シンガポール日本商工会議所の加盟企業は803社(2014年)であり、この数は増加し続けています。在シンガポール日本商工会議所に加盟していない日本企業も多くあるので、実際にはかなりの数になっていると実感しています。

なぜかというと、私が経営に参画するシンガポールのインキュベーションオフィス「クロスコープシンガポール」の状況をみれば一目瞭然だからです。「クロスコープシンガポール」は2011年7月1日に開業し、まもなく丸4年を迎えますが、現在ご利用いただいている企業は約70社。4年間の累積で約250社に達しています。インキュベーションオフィスという名称ではありますが、皆様がよく知る大企業から、1人で起業したアントレプレナーまで、さまざまな方にスタートアップの場所としてご利用頂いています。業種においては、IT関連を中心に、製造業、サービス業、飲食業、商社等あらゆる分野にわたります。驚くべきことは、その250社の企業のうちほとんどが、当オフィス開業後の2011年7月1日以降に、現地法人、支店または駐在員事務所を設立しているということです。当オフィスだけでもこの数値なので、ここ数年で非常に多くの日本企業がシンガポールに進出したということがわかります。

ではなぜ、日本企業はシンガポールを最初に目指すのでしょうか? 我々がこれまで250社の日本企業のシンガポール進出をサポートして感じる「7つの理由」をお伝えします。


1. 全ての業種で事業を開始しやすい(少ない外資規制)


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2014年10月にシンガポールのサンテックコンベンションセンターで開催された日本食展示会。鹿児島県産の新しいコンセプトのお茶の前に、多くの人が集まった。


シンガポールは、国家の安全保障にかかわる事業以外は「出資制限」がなく、メディア関係の一定の分野を除いては「業種制限」もありません。また、1シンガポールドルあれば会社を設立することが可能で「最低資本金」もありません。「出資制限」「業種規制」「最低資本金」のこの3つの規制がほぼなく、外資100%でビジネスがスタートできるのは、東南アジアの中でもシンガポールだけでしょう。これは、最初に東南アジアでビジネスにチャレンジするにあたり、非常に良い環境です。飲食業、不動産業、人材紹介業などを始めるには監督官庁のライセンスの取得が必要とはなりますが、外国企業が参入してはいけないという規制業種ではありません。例えばタイでは、同国の外国人事業法に基づき、規制業種が3種類43業種もあり、外国資本が50%未満でなければなりません。またこの43業種には、進出が増加している飲食業や小売業等も含まれており、現地での合弁会社の設立を余儀なくされるなどハードルが高くなります。


2. 赴任者に優しい生活環境(心理的ストレスが低い)


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シンガポールではおしゃれなカフェが続々とオープン。治安は日本よりも良いと言えるレベル。


海外赴任して一番気になるのは赴任先の治安でしょう。シンガポールは東南アジアの中で最も治安の良い国と言えます。その理由としては、強盗殺人、誘拐殺人、銃器の発射行為、そして麻薬保持などは死刑であり、刑事犯罪に対して厳罰を処することにより、治安がしっかりと維持されていることがあげられます。また公共施設もしっかりと警備されており、テロ対策も万全です。第二に、日本人なら誰もが日々気にかけている自然災害です。シンガポールでは、地震や津波などの自然災害のリスクがほとんどありません。また、赤道直下に位置するため、台風すらありません。世界中の金融機関が重要施設を、IT企業がデータセンターをシンガポールに置く理由はそこにあります。

第三に、海外赴任者が直面する言葉の問題です。シンガポールの公用語は英語、マレー語、中国語、タミル語の4つですが、ビジネスのシーンでは英語が中心となります。しかし、シンガポール人の全てが欧米人のように英語を流暢に話せるという訳ではありません。大抵は4つの公用語の訛りが混ざり、主語の省略や時制の無変化など文法的にも独特な言い回しをする「シングリッシュ」でのコミュニケーションが中心です。したがって、たとえ話す英語の文法がめちゃくちゃでも、懸命に理解しようとする姿勢を感じることが多いです。そういう意味では、英語に対する心理的障壁は欧米と比べて低いです。


3. 東南アジアの情報が集約するハブである(事業構想が立てやすい)


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超高層ビルが建ち並ぶシンガポールのシティエリア。平日は多くのビジネスマンが行き交う。


シンガポールの現首相リー・シェンロンはかつて、「我々の戦略は世界、グローバルにつながること。我が国のみでは何の存在価値もない」と述べており、地理的優位性を活かして、いかにこの資源のない小国に「ヒト、モノ、カネ」を集める仕組みをつくるかということを考えてきました。古くからシンガポールは海から海に渡る貿易船における取引の要所、すなわち「物流のハブ」として栄えてきましたが、近年ではモノだけでなく、ヒト、カネ、情報の一大ハブ拠点にもなっています。巨額の商取引が行われる場所として発展することにより、世界から多くの銀行、証券、資産運用、ファンド運営、そして投資信託などの金融業界も地域統括本部をシンガポールに置くようになりました。トレーダー、ファンドマネージャー、キャピタリストといった金融分野のみならず、あらゆる業種業態におけるいわゆる「高度能力人材」が世界から集まり、同時にその人が持つ最新の業界動向や世界中の情報がシンガポールに集約するようになっています。発信される情報も英語、中国語を中心に、さまざまな言語の媒体が存在するため、今後の事業構想を立てるための情報収集を効率的に行うことが可能です。


4. 東南アジアのショーケースとして活用できる(事業展開がしやすい)


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2015年3月にシンガポールのサンズコンベンションセンターで開催されたカフェアジア。世界中から取引業者、一般客合わせて1万人が来場した。


ここ数年、シンガポールに訪れる外国人入国者数は毎年増加しています。いわゆるMICEと言われる、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、イベント、展示会・見本市(Event/Exhibition)を世界中から誘致することにより、シンガポールをビジネスの中心地にするべくさまざまな取組みが行われています。シンガポールは現在、国際会議が開催される都市としては世界トップを維持しています。すなわち、世界で最も商談機会の多い国際的な都市と言えます。例えば日本で展示会などを開催した場合、来場者のほとんどは周辺諸国の方々が占めますが、シンガポールの場合は、来場者が世界中から集うため、日本ではなかなかリーチできない多様な国のお客様と商談の機会を得られることになります。特にフランチャイズの加盟企業を求める飲食業や小売業においては、シンガポールでビジネスを成功させることは、周辺諸国の多くの方に対して良いショーケースとなり、絶好のアピールの場となるのです。


5. 優秀な外国人の登用が可能である(グローバル人事の確立)


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シンガポールは全人口の35%が外国人であり、多種多様な人種や宗教を持つ人が働いている。10年間で100万人の外国人を受け入れている。


シンガポールは世界中のトップ企業がアジア・パシフィック地域における地域統括本部を設置するような国になっています。その流れの中で、地位や収入がより高い職を求める、高度能力人材がシンガポールに集まるようになりました。高い能力があれば、高い給料が貰えるシンガポールで働きたいと思うのは、シンガポール以外のアジアで働く若者たちにすれば、自然の流れといえるでしょう。世界の先進国の中でも安くおさえられている累進所得税率も、収入の高い「高度能力人材」には魅力のひとつです。シンガポール政府は「グローバル・タレント・ハブ」になることを目標に掲げ、国策としても高度能力を有する外国人を誘致し続けています。これらの動きは、自国民の能力向上の推進の一助となるだけでなく、さらに「高度能力人材」を東南アジアおよび世界へ輩出する国家としての役割も担っています。彼ら「高度能力人材」は、自らのキャリアのピークにあわせて、自分を高く売ろうとやってきます。そして雇う側もそれを心得ているので、結果的に世界最高峰の優秀な人材を登用できる可能性が高くなります。シンガポールは、他国で自分の価値を高めてきたワールドクラスの「高度能力人材」が、自らのキャリアを更に高めるためにチャンスを掴みに来る国なのです。


6. ビジネスをするための社会インフラが充実している(安定性、事業基盤の確立)


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世界第2位の流通量を誇るタンジョンパガー港。2020年に移設拡張工事が完了し、コンテナ取扱能力が現在の2倍に増える。


シンガポールはビジネスをするための社会インフラが充実しています。例えば、チャンギ国際空港は70カ国300都市を結んでおり、1週間に5300万人の乗客を運んでいます。また、航空貨物センターは24時間運用で、書類作成や関税なしに商品の保管、移動、再包装が可能です。インターネットについても、接続速度やセキュリティにおいて世界トップレベルに整備されています。その結果、国際公的機関が発表する「世界で最もビジネス環境が優れている国」等のランキングで、常に上位にランクづけされています。企業はこれらの整備されたインフラを活用して、人口540万の小さな自国市場だけではなく、中間所得層が急拡大している人口6億人の大きな東南アジア市場の拠点として活用することが可能です。つまりシンガポールは、「東南アジア6億人マーケットのゲートウェイ(入り口)」となっているのです。


7. 低い税金と政府の外国企業に対する優遇策が多く存在する(キャッシュフローと利益率の向上)


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シンガポールの硬貨には公用語である4カ国語が表記されている。強力な政府のリーダーシップの元、積極的な外国企業の誘致が続いている。


シンガポールは日本と比較すると大きく税制のメリットがあります。シンガポールの法人税の実行税率は17%であり、課税所得のうち最初の1万シンガポールドルについては75%免税、次の29万シンガポールドルについては50%免税になります。また、キャピタルゲインや受取配当金は基本的には非課税です。またシンガポール政府は、外国企業に対して手厚いサポートを行っています。例えば、政府が管轄する施設の提供や税制優遇プログラムなどを付与して、外国企業が事業を始めやすい環境を提供しています。特に外資誘致を主導している経済開発庁(EDB: Economic Development Board)では、外国企業に対してさまざまな優遇策を提供しています。代表的なものとして、地域統括会社プログラム(RHQ)という制度があります。このプログラムが適用されると、適用された該当の所得から3年間は15%の軽減税率となります。これらはさまざまな条件を満たさなければならず、当庁の審査も必要なのですぐに活用できるものではないですが、このように外国企業でも適用される優遇策が多くあるのです。


さて、これまでシンガポールのメリットのみを書きましたが、物価の高騰(人件費、オフィスや住宅の家賃、医療費、教育費用等々)や、外国企業の駐在員に対する就労ビザの厳格化など、デメリットもあります。シンガポールは、今年建国50周年という節目をむかえ、政治や経済の多くの影響を与えてきた建国の父リー・クワンユー氏の死去もあり、大きな転機の中にいることは間違いありません。

2015年に入り、第一四半期が終了した現在も、急成長する東南アジア市場にアプローチするための日本企業のシンガポール進出は続いています。また、既にシンガポールに進出している企業の統括拠点や研究開発拠点の設立、および周辺諸国の企業のM&Aなど、東南アジアでの事業を強化していく動きも続いています。一方で、シンガポールに進出した日本コンセプトを掲げた飲食業態や小売業態が、狭いシンガポール市場の中、現地企業や日本企業同士の競争に破れ、撤退する企業も増加しています。ただ、引き続き拡大する東南アジア市場の中心として、シンガポールが世界から注目される国であることは変わらないでしょう。


【筆者プロフィール】

関 泰二(せき やすじ) 1971 年8月10日生まれ。東京都生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学修士課程修了。これまでシンガポール国際企業庁のシニアマーケットオフィサー、および、在日シンガポール共和国大使館商務部の商務官として、シンガポール企業の対日投資、日本市場進出を手がけ多くの実績を残す。現在は、シンガポールを拠点として海外進出コンサルティング会社NIHON ASSIST SINGAPORE社を設立し、インキュベーションオフィス「CROSSCOOP SINGAPORE」を合弁会社で立ち上げ経営に参画、東南アジアへの日本企業の進出、およびシンガポール企業の日本進出支援を手がける。


NIHON ASSIST SINGAPORE: http://www.nas.com.sg
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