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香川博人香川博人  - ,,,,  06:00 PM

緻密な戦略と独創的な感性が、ロボットと暮らす社会へと導く/ロボットクリエイター高橋智隆さん

緻密な戦略と独創的な感性が、ロボットと暮らす社会へと導く/ロボットクリエイター高橋智隆さん

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「人のカタチをした小型ロボットを胸ポケットに入れて、スマホ代わりに持ち歩く生活が数年後にやってくる」と予見するロボットクリエイターの高橋智隆氏

これまで、「ロボットと共に暮らすために必要な3つのステップ」「なぜ、人のカタチをしたロボットなのか?」について語ってもらいましたが、今回はコミュニケーションロボットが数年後に日常化するために、いかに社会へ浸透させていくのか、その課題と道のりについて具体的なお話を伺いました。


テクノロジーの普及には、ステップをデザインして、いかに刻むかが大切


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▲(左)クロイノ、(右)エボルタ


── 世の中のニーズと消費行動が大きく変わり、モノやサービスが多機能+少量多品種化するなかで、グランドキャニオンの登頂に成功した「エボルタ」、会話を通して人の心を和ませる「ロビ」など、いずれも単機能の人型自律ロボットを開発してきましたが、その理由は?

高橋氏:理想や究極のビジョンを考え、提示しても、そのまま受け入れられるわけではありません。エコカーを例にしてみると、ハイブリッド車はエンジン、4つのドアとタイヤがあり、電池切れになることがない。だからこそユーザーは、ハイブリッド車へ違和感がなく移行できるのです。

一方で、電気自動車はインホイールモーター(タイヤのホイール内部に装備したモーター)にすれば、タイヤの数を増減させたり、ロケットのような外観にすることもできます。ただ、もしもそこに合理性があったとしても、そんな極端に未来的な製品を実際に購入しようとは誰も思いません。

ロボット掃除機で圧倒的な販売実績を持つルンバは、当初はクリスマス商戦の安価な玩具として玩具量販店で売られていました。人々は半ばジョークグッズとして購入しましたが、後に十分に清掃能力が高いことに気付きます。こうして、購入者が掃除ロボットの可能性を感じたころを見計らって高額で本格的な掃除ロボットを発売したのです。この事例からもわかるように、いかに保守的な消費者を啓蒙し、スムーズにテクノロジーを浸透させていくか、そのステップを戦略的にデザインしていくかがとても重要なのです。

私が開発したロビは、コミュニケーションロボット普及へのステップという役割も担っています。

デアゴスティーニの『週刊ロビ』の創刊号は20万部ほど売れています。分割型の組み立てキットとして販売することで、ユーザーは試しに数号購入し、継続するか否かを選択することができる。だから気軽に多くの人が手にとってくれたのだと思います。また、実用性を期待せず、「おもしろそう」「かわいい」と購入してもらえた事も大きな意味を持っています。組み立て、使っているうちに「ロボットとの会話って、意外と違和感がない」「家電をコントロールするようになるのかも」と実感してもらえる。コミュニケーションロボット普及に向けた大きなステップになったと感じています。


── まったく違うプロジェクトですが、国際宇宙ステーションで若田光一JAXA宇宙飛行士と会話実験を行ったロボット宇宙飛行士「キロボ」も、コミュニケーションロボット普及に向けたアプローチでしょうか?

高橋氏:「人とロボットが会話すること」は、ロボットの価値に懐疑的な諸外国の人たちが思っているほど気持ちの悪いことではなく、ごく自然のことだということを世界に向けて発信したかったんです。これによって、世界中でコミュニケーションロボットへの理解が大きく前進したと実感しています。


▲トヨタ自動車、電通が共同開発したロボット宇宙飛行士「キロボ」は、世界で初めて国際宇宙ステーションで人と会話実験を行い、「宇宙に初めて行った対話ロボット」と「最も高い高度で人と対話したロボット」の2つのギネス世界記録(R)に認定されました。<提供:きぼうロボットプロジェクト事務局>


人の感情に訴えるインターフェースを盛り込み、新しいニーズをクリエイターの感性で提案していくことでしか革新は起きない


── コミュニケーションロボットをスマホの次のデバイスと位置づけていますが、数年後に現実化するためには、どのような課題がありますか?

高橋氏:iPhoneがどうして革命的だったかと言えば、機能の追加にともない操作がどんどん複雑になっていった携帯電話の世界に、シンプルなデザインと直感的な操作性を打ち出したことです。多くの機能を捨てたことで、当初は批判の的になりましたが、スティーブ・ジョブズ自身が発信力を高めて、結果的に思い通りのデザインにしました。この取捨選択はとても困難ではあるが一番大事なことだと思っています。私がロビの開発において、あえてネットワークへつなげる通信機能を切り捨てたのは、ネットにつなげれば何でもできそうだけど、現時点では実際何もできないことがわかっていたからです。それよりも、ある閉じられた環境の、ある限定された機能のなかで、コミュニケーションやインターフェース、デザインを人力で整えていく。それによって、次のステップであるネットワークロボットにおける機能やより自律的なコミュニケーションにつながる貴重なノウハウを得ることができました。

これはほかの工業製品についても同じことが言えます。多くの製品は、性能向上と機能付加で買い換え需要を生み続けてきました。しかし、それがもう飽和状態となり、不必要な高性能や使いこなせない高機能に、消費者は拒絶反応を示し始めたのです。

象徴的な例が、薄型テレビやガラケーです。また、ロボットへの期待の高さもあり、当初から様々な機能や拡張性を盛り込もうとすることで、市場創成段階ですでにつまずいているのが、ロボット分野の実情なのです。

一方で、iPhoneにも予想していなかった失敗があります。それは取捨選択を進め、画面に表示されるコンテンツの邪魔にならないミニマルなデザインを追求した結果、スマホ本体の価値が希薄化してしまったのです。ただの額縁になってしまったスマホ本体に我々は愛着を感じなくなり、市場の成熟と共に差別化が難しくなってきました。ガラケーは多様な外観やギミックの製品が登場し続け、私たちはそれに今のスマホよりも愛着を持っていたはずです。


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▲2015年1月20日に開催されたイベント「100ロビ」にて、パフォーマンスを披露する100体のロビ


── では、どのようにステップを刻む必要が考えられますか?

高橋氏:取捨選択しながら新しい価値を製品に見いだしていくことです。例えば、「愛着や信頼」です。これまでのほぼすべての工業製品は、人が抱く愛着や信頼など感情を活用していません。うまく使っているのは、ディズニーランドや恋愛ゲーム、フェラーリといった、人の感情を巧みにコントロールしているビジネスです。

つまり、誰も手をつけていなかった「人の感情や感性に訴えかけるインターフェース」をコミュニケーションロボットのなかにうまく取り入れていくことかが必要です。

ただ、人の感情や感性は数値化できるものではありません。それはモナリザがどうして美しいかを後で理論付けるのと同じくらい意味のないことです。

では、どうするべきか。外観のデザインや機能について、これは美しい、これはエモーショナル、これは醜悪と、クリエイターの感性で進めていくしか方法はありません

感性というと、主観的なもののように誤解されますが、決してそうではありません。例えば、iPhoneはスティーブ・ジョブズだけが持っている価値基準だったのかというとそうではない。少数の人たちであっても同じ価値基準を共有していたから製品化され売れたわけです。でも、そうしたセンスを持ち合わせていない人たちが半分以上いるのも事実です。スティーブ・ジョブズはその課題を独裁的な姿勢で貫きました。それができない、悪い意味で民主的な会社や組織には、コミュニケーションロボットはつくれないと思っています。

つまり、クリエイターが自分の感性をよりどころに、多種多様な分野の人たちと協同しながら、コンセプトの根幹やそれぞれのディテールの一貫性を守ることが必要なのです。



高橋氏は「いま思いつくニーズは安直なものである場合がほとんど。ニーズは後から勝手に生まれるもの」と言います。それは、まだこの世に存在していないコミュニケーションロボットが、やがて私たちの生活に欠かせないモノになることを示しているのだと思います。そこで次回は、高橋氏が描いている「ロボットと暮らす生活」とはどんな世界なのか、お話を伺います。


高橋智隆(TAKAHASHI TOMOTAKA)/ロボットクリエイター

150129_robot_prof_02.jpg1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し京大学内入居ベンチャー第1号となる。代表作に「週刊ロビ」「ロピッド」「FT」など。2013年、世界で初めてコミュニケーションロボット「キロボ」を宇宙に送り込むことに成功。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。「エボルタ」によるグランドキャニオン登頂、ルマン24時間走行等に成功しギネス世界記録認定。(株)ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、大阪電気通信大学客員教授、ヒューマンアカデミーロボット教室顧問。


(香川博人)

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