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印南敦史印南敦史  - ,,,  07:30 AM

「理系恐怖症」でも大丈夫。科学への好奇心を高めてくれるブックレビュー

「理系恐怖症」でも大丈夫。科学への好奇心を高めてくれるブックレビュー

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きょうご紹介するのは、『サイエンス・ブック・トラベル: 世界を見晴らす100冊』(山本貴光編、河出書房新社)。その名のとおり、科学書の楽しみを伝えようという意図に基づいた「科学書のガイドブック」です。


本書は(中略)多様な広がりをもった科学の世界を散策したり、見晴らしてみたりするための手がかりがあったらいいな、という発想から生まれました。(「ご出発の前に」より)


ただ私個人は、「科学」どころか「数字」という単語を見ただけでも目がくらみそうになるほど、理数系には恐怖感を抱いている人間です。また、そうでなくともこれはガイドブックなので、書評には向いているとはいえないはずです。

しかし読み進めていくうち、そんな「理系恐怖症」の人間ですら、「なんとなくわかる」部分がいくつか見つかるのも事実だと感じました。そこで、「もしかしたら取り上げてみる価値があるのではないかな」と考えたわけです。

CHAPTER 1「宇宙を知り、世界を知る」から、個人的にいちばん響いた「04 人類はどこまで宇宙を理解したか? 大内正己」をご紹介したいと思います。


まったく印象の違う図鑑


子供の頃、私は図鑑が好きでした。特に宇宙の図鑑はお気に入りで、時間があればパラパラとめくって、面白い絵に出くわしたらそのページを食い入るように見ていました。図鑑を広げると、灼熱の太陽や漆黒の闇に包まれた冥王星、まばゆい光を放つ銀河など、宇宙の天体への旅が始まります。夜な夜な図鑑を開いては、宇宙のあちこちをめぐってきました。(中略)私のようにいろいろな世界を旅した方も多いでしょう。そんな図鑑の中で、大人になった今でも宇宙の旅へと誘ってくれるのが本書『図鑑NEO宇宙』です。(32ページより)


とてもよい文章だと感じました。なぜなら、子どものころの評者を魅了した宇宙への思い、図鑑への期待感が、とても純粋に描かれているからです。そしてラストのセンテンスから想像がつくとおり、これは天文学者である評者も執筆陣のひとりとして参画した子ども向け図鑑についてのレビューです。


とは言え、本書は子供向けの図鑑ということもあり、「所詮、子供だましだろう」と思われるかもしれません。しかし書店に行き、絵本・児童書コーナーに置かれる本書を手にしてみると、考え方が変わるかもしれません。(32ページより)


なぜなら、身近な天体である地球や月、太陽からスタートする本書は、銀河、そしてビッグバンで始まりいまなお膨張を続ける宇宙へと話を広げているから。「地球や月、太陽からスタートする」という点こそ従来の図鑑と同じですが、そこから大きく話題を広げているということです。

そして最新の天体画像を交えつつ、宇宙の姿を鮮やかに描き出している。どのページも美しい天体写真やイラストであふれているといいます。この描写には、「いかにも図鑑だな」という印象がありますが、評者によれば、それは「自分が子どものころに見た宇宙の図鑑とはずいぶん様子が違うな」という印象を抱かせるものだとか。つまり、スケールが違うわけです。


専門家も驚く最新情報満載


さらに、ふりがな混じりの短い文章を目で追っていくと、「インフレーション」「ダークマター」「暗黒エネルギー」など、最先端の天文学で議論されていることが容赦なく説明されているのだとか。

評者の研究室にいる天文学専攻の学生や若手研究員が本書を見て「そこまで知らなかった......これ本当に子ども向けですか?」と話したというのですから、いかに高度な内容を含んでいるかが想像できようというもの。

しかも、そうでありながら、忍者やどら焼き、目鼻が描かれた土星など、イラスト満載の説明がふんだんに盛り込まれている点がポイント。図鑑という根本的な部分を逸脱することなく、小学生が読んでよくわかるように工夫されているのだということです。


製作当時に出版されていた図鑑の内容は、20世紀半ばまでに分かった知識を基本にしていました。しかし、それからの半世紀で、宇宙の研究は急速に発展しました。天文学上、最も目覚ましい発展を遂げた半世紀と言っても過言ではありません。(36ページより)


たとえば、ブラックホールが宇宙に数多く存在すること、宇宙の誕生がビッグバンであったことなどがそれにあたるということです。また、新たな観測データから、これまで予想できなかったような宇宙観も明らかになっているのだそうです。


過去半世紀の間に私たち人類の宇宙観は大きく変化しました。それにもかかわらず、学校では、ごくごく限られた宇宙のことしか教えてくれません。(36ページより)


限りなく広がる宇宙像を知ってもらいたい


評者がそう明かす時期はゆとり教育全盛期だったこともあり、小中学校で習う宇宙は、月の満ち欠けや太陽系止まりだったとか。当時、「小中学校では、太陽系の外の世界はないものとして扱っている。だから、いまの子どもたちは、太陽系の橋叩きにでもなっていると想像しているに違いない」という冗談が聞かれるほどだったのだといいます。

そこで、「子どもたちに私たちや私たちの先輩にあたる研究者が発見した感動的な事実、そして限りなく広がる宇宙像を知ってもらいたい」という執筆者たちの思いから、本書が生まれたというわけです。

心を動かされるのは、この評を読んでいると、科学者たちの熱い思いがひしひしと伝わってくること。子どもたちの好奇心が純粋な気持ちから生まれているのと同じように、彼らもまた、少年のような純粋さ、そして情熱を失っていない。そう実感させてくれるからこそ、評を読み終えるころには「この『図鑑NEO宇宙』を買ってみよう。いますぐ、アマゾンでクリックしようかな? いや、リアル書店で手にとってみようか......」などと考えていたりする。

そうさせるレビューというのは、優れたレビューなのではないでしょうか? そう思えるからこそ、本書には「理系恐怖症」の人にも訴えかけるものがあると感じたわけです。


❇︎


専門的な部分も多々あるだけに、私と同じような人にはとっつきにくい側面もあります。しかし先に触れたとおり、「理解すること」と並ぶ本書の意義は「感じること」であるはず。極論をいえば、99%がわからなかったとしても、1%だけ響くところがあれば、そこに意味が生まれるということです。

そう断言できるのは、「難しいなぁ......」と思っているはずなのに、読み進める過程が、なぜだかとても楽しいから。時間に余裕のある休日などにパラパラめくってみて、興味のある部分だけを読んでみたりすると、豊かな時間が過ごせるのではないかと思います。

少しでも気になった方は、ぜひチェックしてみてください。


(印南敦史)

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