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印南敦史印南敦史  - ,,  07:30 AM

1万円分のお菓子の儲けは100円。それでもやっていける「二木の菓子」の販促術

1万円分のお菓子の儲けは100円。それでもやっていける「二木の菓子」の販促術

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なぜ20円のチョコでビルが建つのか? アメ横・老舗『二木の菓子』門外不出の販促術』(二木英一著、秀和システム)は、上野・アメ横の老舗菓子問屋「二木の菓子」の専務取締役である著者が、経営・販促術を明かした興味深い書籍。


お菓子小売は驚くほど純利が少ない業界です。その中で、利益を上げ、事業を軌道に乗せていくのには、紆余曲折、さまざまな困難や、世間一般でいわれているセオリーだけでは立ち行かないことが多々ありました。(5ページより)


それにもかかわらず現在まで商いを続けてきたのは、スーパーや百貨店などの大手企業にはない、「販促の知恵」を生み出し実践してきたからだとか。では、その知恵とはどのようなものなのでしょうか? 序章「なぜ、20円のチョコで社屋が経つのか」から、基本的な部分を引き出してみたいと思います。


普通に売っても儲からない


「二木の菓子」開店当初は、「大型の菓子専門店など絶対に成立しない」といわれ続けてきたそうです。理由は、お菓子は「安くて当たり前」な商品だから。一般的なお菓子の単価は数十円から数百円、利益率は高いもので15~25%程度だといいます。

そして、仮にスナックやせんべいなど、かさばるもので10万円の売り上げをつくろうとしたら、まずは運搬のためのトラックが必要。さらに荷物を積む人、降ろす人が不可欠で、作業にも時間がかかります。また運び終わったあとも、商品を在庫して置くスペースが必要で、陳列にも人の手がかかります。加えて賞味期限があるため、期限が過ぎれば廃棄処分に。これだけでも、いかに経費のかかる商売であるかがわかりますが、利益構造のイメージは以下のようになるそうです。


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このとおり、お菓子の価格は99%以上が原価と経費で占められている状態。この計算式を見るだけでも、儲けにくいことがわかると思います。つまり業界では、1%の純利益を出すために懸命な努力を行っているわけです。ではそんな中、「二木の菓子」はどのような「知恵」を利用してきたのでしょうか?(9ページより)


隠し味は「知識」よりも「知恵」


「販促をするうえで必要なスキルはなにか?」と問われたとき、多くの人から返ってくるのは「マーケティングスキルや他者の成功事例などの知識を得て、そこから学ぶことを実践する」というようなもの。しかし、知識とは単なる道しるべにすぎず、しかも精巧な地図ではなく、標識のようなものだといいます。なにかを成すために必要な「道具」にすぎないということ。

さらに著者は、販促で大切なものは「知恵」だとも主張しています。せっかく知識を得たとしても、それを上手に活用するための知恵がなければ、価値は薄れてしまうもの。たとえば、おいしい料理をつくるために素材の産地や品質、特性などの「知識」を駆使して最高の食材を手に入れたとしても、どう調理してどんな盛りつけにするかは料理人の腕次第。販促においては、この料理人の腕の部分が「知恵」になるわけです。だからこそ、「知恵」がなければモノは売れないという考え方。(13ページより)


「二木の菓子」でなら売れる理由


お菓子の業界では、「『二木の菓子』でしか売れない商品」があり、そのほとんどが高級品やこだわりの商品だそうです。意外な気もしますが、知恵さえあれば20円のチョコと同時に、同じ店舗で、高級品やこだわりの商品を販売することも可能だと著者はいいます。

お菓子に限らず、さまざまなジャンルに「高級品」「こだわりの品」「有名人のプロデュース作品」があふれています。しかし飽和状態だからこそ、商品自体の特徴を伝えられないとしたら、消費者には「なにかにこだわってつくられた商品」「なんらかの理由で価格が高い商品」程度にしか認識されなくて当然。こだわった内容も、価格が高い理由も、消費者に伝わらないということです。

たとえば、好例として著者が引き合いに出しているのが、1月末から2月にかけて各社から登場する花粉症対策の新商品。ドラッグストアやスーパーでも花粉症対策の飴を数多く品揃えしますが、消費者には、花粉症にもっとも効果がある飴はどれなのかがよくわからないもの。しかし、ここで重要なのは「実際には多くの消費者が飴で花粉症が治るとは思っていない」ということ。一時的に鼻の通りをよくしたい、くしゃみを止めたいだけなので、そういった欲求に対して「他の商品とはなにかが違う、きらりと光る特徴」をアピールできれば、その商品は「その他大勢」から抜け出せるというわけです。(16ページより)


「販売促進のやっつけ仕事」は消費者に見抜かれる


著者によれば、いちばん重要なのは、消費者に「この商品を買うべきです。なぜなら...」と、自分がその商品を買うべき対象者であることへの"気づき"を促すこと。言い換えれば、商品と消費者の間に関係性をつくることが大切だというわけです。そして、この関係性の大切さに気づけない限り、類似品との差別化を図ることは不可能。そういうことは、「二木の菓子」の販促会議でもよく起こるといいます。

「こだわりの羊かん」を販売することになったとき、商品担当者が思い浮かべたのは「羊かん=お年寄り」というターゲット層。その層が好むことばとして「安心、安全」「お茶請けに」「高級」が挙げられ、これをキャッチコピーにして売り込めばいいという発想に至ったのだそうです。しかし結果は、当然ながら失敗。

似たようなことは他の商品でも起きやすく、特に商品がヒットしたときのイメージが強いものほどその傾向は強くなるといいます(酸素水には「ダイエット」、ショウガ関連商品には「冷え性に効果あり」など)。

これらは売る側が「この手の商品なら、このセールストークをつけておけば大丈夫」と安易に考えてしまうパターンであり、著者は「販売促進のやっつけ仕事」と呼んでいるのだとか。でも、それでは商品が売れなくても当然です。(19ページより)


売れ続けている商品の秘密


では、どうすればいいか? たとえば上記の羊かんなら、安心、安全、高級であることよりも、他の羊かんとは違った「こだわり」があったのだそうです。だとすれば、そこを前面に押し出した方が消費者に届くことになるはず。

ちなみにこの羊かんは北海道産のあんこを使用しており、寒天も国産。素材がよいからか、他の羊かんにくらべて糖分も控えめになっているそうです。ところが「やっつけ仕事」をしてしまう人は、この情報から「北海道産小豆、国内産寒天使用」とやってしまうため差別化は図れず、「その他大勢」的な扱いに。

ところが商品と消費者の関係性を重視する人は、販促の観点が違うと著者はいいます。具体的には「あなたの身のまわりに、本当は甘いものを食べたいのに控えている方はいませんか? この羊かんなら、健康面に配慮した商品だから安全ですよ」という部分をアピールするということ。羊かんひとつとっても商品によって、特徴や売り方は変わってくるもの。だからこそ、商品を安易にカテゴリー分けしてはいけないということです。(21ページより)

この時点で、著者が販促を熟知していることが推測できると思います、そして、こうした考え方を軸に、本編ではさらに緻密な解説がなされています。それらは間違いなく、お菓子以外の販促についての役立つはず。ぜひ、手にとってみてください。

(印南敦史)

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