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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,  09:00 PM

伝わる文章を書く技術とは?ライフハッカー書評コーナーの印南敦史氏に聞く:後編

伝わる文章を書く技術とは?ライフハッカー書評コーナーの印南敦史氏に聞く:後編

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このほど『プロ書評家が教える-伝わる文章を書く技術』を上梓したライフハッカーの書評コーナーを担当するライター・印南敦史さんと、ライフハッカー編集長・米田の対談。「書評を書くこと」や読書について語り合った前編に続き、後編では、文章の書き方から書評とDJの類似点まで、話は盛り上がりました。


印南敦史(いんなみ・あつし)

1962年生まれ。東京都出身。ライター、書評家、コピーライター。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は多方面で活躍中。2012年より、ライフハッカー[日本版]に週約5本のペースで書評を寄稿。好評を得ている。『ブラックミュージック この一枚』『あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』(以上、光文社)、『音楽系で行こう! 』(ロコモーションパブリッシング)など著書多数。


ビジネスパーソンには、学びたいという人がたくさんいる


米田:ライフハッカーの書評についてはもう1つポイントがあると思っています。それはビジネスパーソンで、ビジネスに悩んでいない方はいらっしゃらないだろうということですね。真剣に自分の仕事をみつめればみつめるほど、現状を打破する方法とかもっと上手いやり方とか、常になにか吸収して勉強したい、成長したいっていう方っていっぱいいらっしゃる。そのことに、ライフハッカーの編集長になってから改めて気づいたんです。

印南:僕も書評を書きはじめた当初から、「読み手はどんな人か」ってことは意識してました。ちょうど時期的に盛り上がっていた読書会などの話を聞くにつけ、「みんな悩んでいて、自分が能動的になることでなんとかそこから抜け出そうとしているんじゃないかな」って感じていたんです。

米田:それは、医者と病院と病気の関係と似ているとよく思うんです。病人は常にいるし、常に医者と病院は必要じゃないですか。「医者はこんなにたくさんいるのに病気がこの世からなくならないじゃないか!」って怒る人はいませんよね(笑)。ビジネス情報とビジネスマンの関係って、そういうことだと思うんです。仕事の数だけ仕事の悩みはあるものですよね。ライフハッカーがやろうとしているのはそれに近いかもしれません。そんななかでどんなビジネス書を選ぶかという感覚って、DJやソムリエに近いような気がします。そういう感覚でセレクトしたりお勧めしたりするのが、ライフハッカーの書評コーナーであり、DJ的な印南さんの仕事だなって。


書評は感覚的にDJと同じ


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印南:僕の書評はいろんな意味で、DJに感覚が近いんですよ。たとえば、なんらかのフレーズを引用する際には、「読者が知りたがっているのは、この本のこの部分だろうな」っていうことの見極めがすごく大切だと思うんです。実際に僕はDJもやるんだけど、たとえば誰も踊ってないダンスフロアに向けてアッパーな曲をかけまくったって意味ないじゃないですか。みんなが盛り上がりたがっているのに、バラードばっかりかけるのも違うし。同じことで、読者がなにを求めているかを常に意識しなければいけない。だから、読者層のイメージは自分なりにものすごく意識しています。

米田:そんな感覚を軸に、ライフハッカーの読者像をどう捉えていますか?

印南:僕の目から見ると、読者層である今の20代、30代って、まずは知的好奇心が強い。そして、悩んでいるんだけど、できれば悩んでいることを人に見せたくない。でも、どうしたらいいのかわからない、というような感じなんです。だからそういう人たちが書評を読んで、「今日1日がんばろう」と思えるような感じだったらいいな、と思っているんですよね。

米田:本を読むってそれなりにカロリーと時間を使うことだし、全部の本は読めない。だから、なにを買うかっていうことを見極める参考になるのは、やっぱり書評ですよね。

その書評はつまりは要約なんだけど、どこを要約するかという肝がちゃんと押さえられていないと、要約したとしてもおもしろくないと思うんです。そういう意味では、ライフハッカーの書評コーナーは、日々本のある部分を切り取って、DJ的なセンスで見せてくれる。僕が直接お会いしたライフハッカー読者の多くが書評コーナーを読んだことがあると言ってくださります。

印南:そう言っていただけると、本当にうれしいです。ちなみにどこを引用するかについては、実際のDJプレイっぽくもあると同時に、ヒップホップ・カルチャーにおけるサンプリングという手法にも近いと考えているんです。「このレコードのこのパートをサンプリングして、新しいサウンドにつくり替えよう」というようなところが。

米田:サンプリングの仕方によって、曲の印象が全然変わってくるわけですからね。そういう意味では取り上げた本そのものより、書評のほうがおもしろいっていうような現象もあったりするのかなって思うんです。僕ら編集の仕事でも、取材対象や取材した作品より記事のほうがおもしろいということがよくあるんですけど、それは僕らが目指すところでもあって、腕の見せ所でもあるんです。だましているわけではないですけど(笑)。同じように書評が魅力的に見えるというのはすごくいいことだと思うんですね。

印南:同感です。「どこをカットして、どこにペーストしようか」っていう。それとまったく同じで、しかもライフハッカーの場合、そういうことがやりやすい。僕の目から見ても従来的なウェブメディアとはスタンスがまったく違うというか。だから、書き手としても気持ちがいいんですよね。

米田:先ほども申し上げたように、「情報摂取が読書体験になったとき、人は記憶していくんだ」っていうことをいろんなところで話すんですが、つまり膨大な情報が流れいくなかで、記憶されるフックを仕掛けられるウェブメディアになりたいと思っているんです。あとは通勤途中で必ずライフハッカーにアクセスするとか、人々の習慣のなかに入り込むようなことをしたいですね。

印南:そして、ウェブメディアに今の読者が求めているのも、おそらくはそういうことですよね。

米田:そう、勉強や学びに意欲的で、未来や仕事に対してポジティブな人たちなんです。2ちゃんねる以降のウェブ上の情報って、シニカルなものに対してみんなが乗って盛り上がっていく傾向がありますし、「ネットはつらくて冷たい文化だ」っていう側面がすごくあるんだけれども、ライフハッカーってちょっと違うんですよね。「ゴシップとかスキャンダルみたいなことをシェアしたり、言い合っても無駄だよね」みたいなことに気づきだした層が確実にいて、記事を読むことで少しでもポジティブになったほうがいいと考えている。そういうことができるウェブメディアにしたいし、そういう時代になってきたんだと思います。ネット上の冷笑的な情報の提供や誹謗中傷はなくならないけれど、そういうメディアはあまりに飽和状態です。だから、僕らはそういうことに踏み込まないし、踏み込まれないようにしていますね。

印南:それは書き手としても感じます。ライフハッカーに書きはじめる前までは、ウェブメディアとそのつくり手も含めてなんだけど、ある種の冷徹な雰囲気が苦手だったんです。でも、ここ数年は明らかに違ってきている。


ライフハッカーの記事とは知らないでも読まれる原稿を


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「『捨てる勇気』で英語は話せるようになる」というタイトルが印象的な『ずるいえいご』書評。マンガやイラストを取り込んだ同書の構成の説明などもあり、読者が手に取りやすくなっている。


米田:生産性を上げていこうとか、ちょっと大きなことを照れずに言うなら、「自分自身の人生を豊かにし、社会も豊かになれる方法」を記事として届けたいって思うんです。事実、そういうことのほうがシェアされている。毒舌を吐こうと思えばいくらでも吐けるけど、建設的なことを言うほうが100倍難しいし、100倍恥ずかしい。でも、そういうことを大見得切ってやっているのがライフハッカーかなって。

印南:そうですね。そういうスタンスのほうが、より多くの人に伝わるわけだし。

米田:今、ウェブの情報って拡散されていって、FacebookやTwitter、SmartNewsやグノシー、NewsPicksなど、いろんなかたちで読まれている。ということは、ライフハッカーの読者じゃない人も読むことになる。固定読者じゃなくて、ライフハッカーの記事とは知らないで読む、通りすがりの読者が多いんですよね。ですから、誰でもフラットに読めることが大切なんです。情報がどんどん拡散されていって、誰が見るかわからないような状況だからこそ、「日本語が読める人だったら、誰でも読める文章」って重要ですね。

印南:そのとおりだと思います。僕自身もそうなんですが、特に期待することもなく、ふと立ち寄ったサイトからいい情報を得ることができると気持ちが良いですからね。

米田:ただ、どちらにしろ1つだけ言えるのは、情報の裏になにかしら、読者に共感してもらえるストーリーがないといけないということですね。


値段を上げない職人として


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印南:では、今後、僕の書評コーナーに望むのはどんなことですか?

米田:「この豆腐屋、もう30年もやってるのに味が全然落ちないな」みたいな、そういうことを商業ウェブサイトでやっている人ってあまりいないと思うんです。だから、ウェブ・プロ書評家が現れてもいいと思っています。もしかしたら、この先続けていくとギネスで「 日本人でもっとも多くの書評を書いたライター」と認定されるかもしれないし、そういう高みを目指していってほしいと思います。

印南:僕もそうありたいですね。

米田:あとは今後、印南さんのなかで「こういうことやってみよう」とか、「今度はこういう、ちょっと違う書き方をしてみようか」って思うこともあると思うんですよ。同じ豆腐なんだけど、味がちょっと違ったり、微妙に変えてみたくなったり。それがどういうものなのか読者にはわからないんだけど、微妙な差異で変わったりすると、それはそれでおもしろいんじゃないかなって。

印南:そういうスタンスがいいですね。いくら味に自信があっても、1000円の豆腐は売りたくない、みたいな。みんなが気軽に良い情報を受け取れる状況じゃないと、なにも生まれてきませんからね。だからこそ、それを続けていくことが自分にとっても大事だし、読者のみなさんにとっても大事なものであっていただければ...って感じかな。


(撮影/田中勝)

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