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印南敦史  - ,,  07:30 AM

交渉はジャズに近い? 臨機応変に動くためには「アドリブ」が大切

交渉はジャズに近い? 臨機応変に動くためには「アドリブ」が大切

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バルカン半島の紛争に終止符を打つ合意をまとめた故リチャード・ホルブルック大使は、交渉は科学よりジャズに近い、と語っている。「あるテーマをもとに、アドリブをするようなものだ。目的地はわかっているが、どうすればそこに行けるかはわからない。決して直線的には進まない」(「オリエンテーション カオスを受け入れよう」より)


交渉は創造である ハーバードビジネススクール特別講義』(マイケル ウィーラー著、土方奈美訳、文藝春秋)の序文で引用されているこの一節を通じ、著者はなにを伝えようとしているのでしょうか? 答えは「交渉の達人は臨機応変で、アドリブ(即興演奏)が得意だ」ということ。

交渉をテーマにした本で、アドリブの必要性に触れたものはほとんどないはずです。しかし著者によれば、現実的に交渉がうまくいっていないときには、気の利いた提案をしたり、ジョークをいったり、ときには相手を挑発することも必要。場合によっては、戦略の大転換も避けるべきではないとも。それらすべての根底にあるものが、アドリブだということです。

事実、本書でも著者は、「交渉に際してアドリブがいかに大切か」ということの説明に一章を費やしています。そして、結果的にそれが本書の強力なオリジナリティにもなってもいます。その第5講「アドリブの極意」を見てみましょう。


ジャズに学ぶ即興術


「ジャズの本当のすばらしさ、そしてその革新性は、複数の人間が集まって即興でアートを創り、お互いのやりたいことを交渉できることだ。その交渉そのものがアートなのだ」(144ページより)


この章の冒頭で、著者はジャズ・トランペット奏者のウィントン・マルサリスのことばを引用しています。なぜならそこには、交渉の真髄があるから。そして、そんな理由があるからこそ、さらにはヒップホップ・バンド、ザ・ルーツのメンバー、クエストラブとブラックソートとの関係性にまで言及し、このことを突き詰めています。


どんどんビジネスとはかけ離れていくようにも思えるかもしれませんが、そこに本書のおもしろさがあります。決して突飛な印象は受けません。


ジャズやヒップホップのミュージシャンは、対立や不確実性にただ対処するだけではない。他のプレーヤーからどんな音を与えられようと巧みに調理して、対立や不確実性をむしろ楽しんでいる。(中略)交渉をするときもまさに同じである。交渉はオーケストラを指揮するのとは違う。相手に楽譜を渡し、みんながそれに従うというわけにはいかない。交渉テーブルに着いている他の人々にも、それぞれ好みのスタイルやテンポがある。自分が花形のソリストとなり、あなたのことは伴奏者程度にしか扱わないかもしれない。(145ページより)


いわば交渉とは、予測不可能なもの。なにが起こるかわからないからこそ、なにが起こっても瞬時に対応できる"アドリブ的な"能力が求められるということです。著者が、「これは単なるメタファーではない」と念を押しているのも、そんな理由があるから。ただし、この段階において重要な意味を持つことがあるといいます。それを見極めるために、冒頭の「オリエンタル カオスを受け入れよう」に戻ります。(144ページより)


「学ぶ、変わる、変える」のサイクル


交渉で成果を出すには、「学ぶ」「変わる」「変える」のサイクルを速いペースで回していくことが必要だと著者はいいます。


この3つの言葉はとても重要だ。もちろん、たいていの交渉の過程では「学ぶ(相手や状況に着いて情報を集める)「変わる(状況に適応する)」「変える(相手の考え方に影響を及ぼす)」という作業が行われるが、残念ながらそれは偶然の結果に過ぎないことが多い。大切なのは意識的に学び続けることだ。(18ページより)


つまりそれは、自分の「期待(想定)」を常に3つのレベルで見なおしていく必要があるということ。


1.議論している問題の範囲はどこか
2.問題を解決するための最適な手段はなにか
3.交渉相手との関係はどうなっているか
(18ページより)


これらを判断するうえで重要なポイントは、臨機応変な対応ができることだとか。ふたたび第5講を見てみましょう。


率直さは創造的な交渉のカギを握る


「臨機応変な対応は、相手に注意を始まるところからはじまる」と著者はいいます。相手がことばや感情で表現していることに全神経を集中しましょう。そして、ことばの意味だけではなく、声音、表情、態度にも注意を払うのです。つまり、五感をフルに生かさなければならないわけで、ここで著者はジャズの巨匠、ハービー・ハンコックの「爪先まで耳にして聴く」という表現を引用しています。

とはいえ交渉の場においては、適切なタイミングで提案を投げかけたり、話し合いを打ち切ったりするなど、著者のことばを借りるなら「心理療法より積極的な行動」が求められるもの。しかし、そこでも重要なのはタイミングです。


トランペット奏者のマイルス・デイビスは、ジャズのアドリブで一番難しいのは、自制心を持ち、「弾けるものを全て弾いてしまわず、相手を待ち、自制をして、余白を演奏の一部とすることだ」と語っている。(152ページより)


「心理療法士やミュージシャンのような耳を持ち合わせていなくとも、交渉の場で相手が新しい、希望の持てるような発言をしたら、そのことに気づくはずだ」と著者。さらには、創造的な交渉のカギを握るのは、「率直さ」だといいます。お互いが相手の本音に注意を払おうとしなければ、手紙をやりとりするのと変わらなくなってしまうということ。そこで、瞬発力(アドリブ)を駆使して交渉に臨むことが意味を持ってくるというわけです。(149ページより)



著者は「オリエンテーション カオスを受け入れよう」において、「交渉をテーマにした本の多くはアドリブにはほとんど触れていない」と指摘しています。「しかし、交渉とは単なるはったりや駆け引きの応酬であると考えるのは大間違い」だとも。その点にこそ本書の真髄があります。

相手を圧倒するような強硬戦略や、相手と協力しながら問題解決を模索するWin-Winの戦略とはまったく異なる、本質といっていい要素が凝縮されているのです。自信を持って、一読をお勧めします。

(印南敦史)

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