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堀込泰三堀込泰三  - ,,,  06:00 PM

ジョブズの真似に意味はない。「偉人の神話」とのより良い付き合い方

ジョブズの真似に意味はない。「偉人の神話」とのより良い付き合い方

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99u:ベン・フランクリンが毎日のルーチンを厳格に守っていたことや、マヤ・アンジェロウがホテルの一室で執筆していたことなど、過去の偉人の生産性ハックを紹介しているブログはたくさんあります。若きスティーブ・ジョブズが、極限までにモノを持たない生活をしていたという逸話も、そこかしこで紹介されています。これに倣い、何千人ものテッキーが、最小限の生活スタイルを追求してきました。

この種のヒーロー賛美は、悪いことばかりではありません。少なくとも、迷ったときの指針を与えてくれるのですから。でも、人生を過剰にシンプルにすることに意味はありません。たしかに、「ウォーレン・バフェットのように考える8つの方法」や「ソクラテス式グレートリビングのススメ」などの見出しに飾られた記事は、多くのリツイートやクリックを稼げるかもしれません。

もぎ取られた偉人たちの「瞬間」は、ブログや、場合によっては書籍にまで抽出され、意識の高い読者が、それを成功への鍵だと思い込んでしまうのです。


「ハック」と「神話」は使いよう


おかげで、wantrepreneur(起業したいと言いながらいつまでも実行に移さない人)やarmchair creative(クリエイティブを自称しながら自分で動かない人)が増えています。偉人たちを真似た「生産性ハック」に夢中で、実際の仕事がおろそかになっている人たちです。

現代の大物たちも、例外ではありません。Squareの創設者であるジャック・ドーシー氏は、滑稽なまでにスティーブ・ジョブズを真似しています。そうすることが、より良い起業家への道だと信じているのでしょう。ニック・ビルトン氏は、著書『Hatching Twitter』において、ドーシー氏の執着ぶりを記しています。


ジョブズが自分自身をCEOではなく「編集者」と考えていたという話を耳にしたジャックは、すぐに自分を「SquareのCEO兼編集者」と自称するようになりました。ある従業員との会話で、「私はこれまで、この仕事の編集者としての性質に従って話をしてきた。私は、自分をただの編集者だと思う」と述べたこともあるそうです。そして、事あるごとに「これまでに誰もこれをやっていない」と言うようになりました。これは、2010年にジョブズがカンファレンスでのインタビューで語った言葉そのものです。さらに、Squareの機能について説明するとき、「magical」「surprise」「delightful」など、ジョブズの言葉を使うようになりました。いずれも、ジョブズがAppleのイベントで多用していた言葉です。


ナシーム・タレブ氏は、ベストセラー『ブラックスワン:不確実性とリスクの本質』(原題:The Black Swan)において、私たちが、いかに実在しない講釈の創作に執着しているかを描いています。特に、その講釈が自分の見解を裏付ける場合は、その傾向が顕著になります。成功する起業家は必ず昼寝をするという話は、明らかにマーク・ザッカーバーグが午後2時のシエスタを好むというバイオグラフィに基づくものでしょう。そのような「成功者」の逸話は、あちこちに転がっています。

タレブ氏によれば、「ひとたび一つの世界観を持ってしまったら、私たちはその世界観が正しいと示す例ばかり見るようになる。逆説的に情報があればあるほど自分の考えが正しいと感じるようになる」のです。タレブ氏はさらに、私たちの講釈への欲求について、こう書いています。


芸術の追求も科学の追求も、ものごとの次元を減らして秩序を持ち込みたいという私たちの欲求に応えて生まれた。まわりの世界を考えてみるといい。枝葉末節でいっぱいだろう。描写しようとすると、語っているうちに話に筋をつけようとしているのに気づく。小説、物語、神話、伝説、どれも役割は同じだ。複雑な世界を避け、ランダム性から逃れさせてくれる。神話は、人間の認識の混乱や、認識された「人間の経験の混乱」に秩序を持ち込んだものだ。


スタートアップにまつわる神話はたくさんあります。「ガレージでの起業」「成功者する企業家は、週に80時間働く」「成功するデザイナーは、ごく細部にまで執着する」など。これらの「成功の鍵」は、実際の成功とはほとんど無関係な行為にもかかわらず、文化と神話を生み出します。さらに悪いことに、ムリに偶像の行動を取り入れようとするあまり、自分の本当の気質を抑えつけてしまうことも。そっちの方が、あるべきマインドセットだったかもしれないというのに。


偉人は単純化できないからこそ「偉人」なのだ


マーク・ザッカーバーグ式スタートアップや、ステファン・サグマイスター式アートは、もう不要です。私たちに必要なのは、新しいアイデアと視点。それらは、自分の個性を認めることで生まれるのではないでしょうか。

あまりにも単純化された偉人の解釈は、ただの人間を、達成不能な基準へと押し上げます。スポーツのパフォーマンスにとって、早寝が重要だと言われますが、あのタイガーウッズなら、深夜すぎまでパーティをしていても好成績を収められるでしょう(実際、ある意味そうしていた)。書き物にはきれいな環境が必要? ボブ・ディランにビール6本セットとノートを渡して、ミニバンの後部座席で曲を書かせたら、最高の曲を書くでしょう。

ブログや書籍は、夢をかなえるために必要な「ひとつのこと」をアドバイスしてくれますが、それはただ、有名なXさんがしたことに過ぎません。そのような記事が存在する理由は、「ただ仕事をする」だけでは、たくさんの称賛やFacebookのいいねを集めることができないからなのです。


バルザックは運が良かっただけ?


もっとややこしいことがあります。「Xのように成功を収めたければYをすべし」的な結論を導き出すとき、私たちはタレブ氏が言うところの「物言わぬ証拠」を無視していることになります。テック業界には、ジョブズのような最低限の生活を営み、燃え尽きていった起業家がたくさんいます。アンジェロウのように執筆専用の場所を確保して、けっきょく1冊の本も出版できなかったライターもたくさんいます。そのような習慣を「成功の鍵」として賛美するストーリーは、まったく同じ習慣を実践しながらも無名のまま消えていった数えきれない人々について、掘り下げて紹介することはまずありません。

以下、再び『ブラックスワン』より。


たとえば19世紀の小説家、オノレ・ド・バルザックが成功したのは、彼の優れた「リアリズム」「洞察」「感受性」「登場人物の扱い」「読者を惹きつける能力」といったもののおかげだと思ったとしよう。そういう特徴が優れた業績をもたらす「優れた」資質だと言えるのは、私たちが能力と呼ぶものに欠けている人たちにはそうした特徴も欠けている場合であり、かつその場合に限られる。
でも、同じように素晴らしいのに失われてしまった古典がたくさんあったとしたら? それに、先ほどの理屈で言えば、実は同じような特徴を持っているのに出版されなかった原稿がたくさんあったとしたら? 残念ながら、あなたのアイドル、バルザックは同業者に比べてとても運が良かっただけの作家ということになる。彼をひいきするのは、ほかの作家に不公平だ。
もう一度言うが、私はバルザックに才能がないと言っているのではない。ただ、彼の才能は私たちが思っているほど特別ではないと言っているのだ。


成功者の人生をさらっと見ただけで、その人の性格と成功を結びつけることは不可能です。そのような過剰な単純化は、何もかもに講釈をあてはめたい私たちの欲求を満たすだけであって、害以外の何物でもありません。たった数個の「ヒント」を集めるだけで成功できるかのように主張することは、本の背表紙を見ただけで、その本を読んだと言っているのと変わらないのです。

私たちの住むこの複雑な世界では、成功や達成への道のりは、決して平たんではありません。暗闇の迷路の中、自分の力で、自分なりの道を見つけるしかないのです。偉人たちも、そうやって神話を築いていったに違いありません。ヒントが箇条書きされた記事に従うだけの人生に比べたら、かなりの困難が伴うでしょう。でも、その方がずっと楽しいと思うのは、私だけではないはずです。


The Narrative Fallacy: Why You Shouldn't Copy Steve Jobs | 99u

Sean Blanda(訳:堀込泰三)
Photo by Thinkstock/Getty Images.

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