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長谷川賢人長谷川賢人  - ,,,  06:00 PM

読ませるプレスリリースの書き方:週に300通も届く中でも、なぜか読んでしまう広報さんを訪ねた

読ませるプレスリリースの書き方:週に300通も届く中でも、なぜか読んでしまう広報さんを訪ねた

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企業が製品やサービス、イベントのお知らせをするために送る「プレスリリース」。ライフハッカー編集部にもメーカー、PR会社、スタートアップ企業、個人など、日々さまざまなところからメールで寄せられています。その数はザッと週に300通ほど。

あえて正直に言いますが、僕はほとんどプレスリリースを読めていません。開かず「既読」にしてしまうことも多く、他の編集部員も似たり寄ったりな状況のようです。たしかに記事のネタになることはあっても、総勢4名のライフハッカー編集部では、ひとつずつ開いてチェックするだけの余裕や時間は取れないのがホンネなのです(ごめんなさい)。

そんな中にあって、僕が「この人のメールだけはつい開いてしまうな」という送り主がいました。株式会社小久保工業所/紀陽除虫菊株式会社で広報を務める大田哲子さんです。大田さんが書いたリリースを下敷きに、最近では「ローズの香りに包まれながら蚊を退治。『アロマ蚊取り線香』人気ベスト5を発表」「蚊取り線香の最強の使い方は『四隅において結界をつくる』」という記事をお届けしました。

大田さんの「つい開いてしまう」プレスリリースは他と何が違うのか。仮説を並べるよりも聞いてみるのが早いとばかりに、会ってきました。


早速ですが、実際のプレスリリースを見てみましょう


以下はこちらの記事の元になったリリースの抜粋です。届いた瞬間に「おや?」っと感じて開いたことを覚えています。


差出人:大田哲子【小久保工業所/紀陽除虫菊】
件名:「氷いちご」で蚊を退治?! 夏の定番に12種類の香り。「アロマ蚊取り線香」人気ベスト5

お世話になります。
紀陽除虫菊/小久保工業所 広報の大田と申します。

夏の定番「蚊取り線香」にアロマをつけたものが人気上昇中です。
花やフルーツの12種類の香りの中からランキング ベスト5を発表します。
番外の注目株にはちょっと変わったアロマも。
リリースを添付いたしますのでご高覧ください。
ぜひご紹介をご検討いただければ幸いです。

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「氷いちご」で蚊を退治?!
夏の定番に12種類の香り。注目度じわじわ上昇中↑↑
「アロマ蚊取り線香」人気ベスト5

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紀陽除虫菊株式会社(和歌山県海南市、代表取締役/小久保好章)より、
夏の定番の蚊取り線香に12種類の香りをつけた
「アロマ蚊取り線香」が好評発売中です。
ローズ、ラベンダーなどの花や、すいか、グレープフルーツなどの
果物の香りを楽しみながら、蚊を撃退できます。
手のひらサイズで2時間の小巻タイプなので使用シーンに合わせて
気軽に楽しめます。
色とりどりのアロマをその日の気分でチョイスしてみては。

「アロマ蚊取り線香」は発売から12年目のこの夏、
注目度がじわじわと上昇中です。
そこで人気のアロマランキング、ベスト5を発表します!

「アロマ蚊取り線香」人気ランキング
1位 ローズ
2位 ラベンダー
3位 いちご
4位 柚子(ゆず)
5位 青りんご
(紀陽除虫菊株式会社調べ)

<注目のアロマ>
・氷いちご
・紫陽花(あじさい)
・海風(うみかぜ)

(後略)

(※以下、商品情報や企業概要、取材受付や画像提供などのアナウンス)
(※添付ファイルとして、画像などが入ったプレスリリースのPDF版)


まるでニュースアプリで配信されてきたかのような件名に注目。普段からRSSリーダーを使って記事を「ザッと見る」チェックをする僕にとっては、Gmailの受信トレイ一覧でもすぐ目に入ってきました。メールを開いてみると、まずリード文があって、全体の内容が把握しやすいのも良いところです。紋切り型な「○○を展開する株式会社△△(代表取締役社長:□□)はこの度...」といった読み飛ばし候補筆頭の文面は記事の後半にあり、この順序にも工夫がありそうです。...さて、推測はここまで。それでは、大田さんへのインタビューをどうぞ。


蚊取り線香と入浴剤がほんのりと香るオフィスを訪ねた


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和歌山県海南市に本社を持ち、キッチン、リビング、ランドリー、トイレ・バス、ヘルスケアなどの生活用品全般を扱う小久保工業所、グループ会社である蚊取り線香、入浴剤、マウスウォッシュ洗浄剤などを扱う紀陽除虫菊。その東京営業所で大田哲子さんは広報/PR/マーケティングのマネージャーを務めています。

鹿児島県出身の現在44歳。もともとはレコード会社「東芝EMI」で営業や宣伝などを14年ほど務めていましたが、早期退職を期に不動産業界、NPO法人、スタートアップ企業などを経て、今年6月に小久保工業所に入社。「見えるようにするとやる気と焦りが出るから」と商品名を付箋に書き、デスクのカレンダーに貼ってプレスリリース配信日の目標を立てるのが大田さんなりの進め方です。


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「プレスリリースを1通書くのに3日がかりになることもあります。必ずしているのは、書き終えたら、一晩は寝かせること。カレーと一緒でおいしくなるんです(笑)。情報の不足に気づけたり、もっと響く見出しや内容を盛り込めたり、記者の方に伝わりやすい視点を入れられるんじゃないかって見直せたりもしますから」

では、前述のリリースはどのような点に気をつけて書かれたのでしょう。大田さんなりのライティング術、そして「書き続けるための」情報収集術についても伺いました。


プレスリリースを書く上で大切にしている3つのこと


1.件名は「見出し」にして、受け取った人が楽しめるようにする

時事ネタや世の中の関心ゴトに対して、意外性を持たせながら、商品の本質をどうリンクさせるかに苦心しているのだそう。大田さんがよく見るのはウェブニュースや新聞の見出し。ニュースアプリでよく見るタイトルのパターンをつかんで取り入れたり、内容が端的に伝わる新聞調の言葉にしたりと、PDCAを自分なりに組んでトライしています。


大田:いざ受け取った時に、プレスリリースでも楽しめるのが大事かなと思います。件名に社名は入れていません。弊社だと短くまとめられなかったので...。絶対にやらないようにしているのは、一瞬で内容がわからないものにしないことです。それと、ローマ字は極力入れずにカタカナで書くようにもします。商品名などでローマ字を使う場合は、必ずカタカナも併記しますね。慣れていればすんなり読める人もいれば、わからなそうだからとローマ字を読み飛ばすクセがある記者の方もいるからです。


通信社やウェブニュースなどをはじめ、500通以上を一斉に送信するという大田さんなりの気づかいが見えます。また、件名には商品名を必ずしも入れるわけではないそう。小久保工業所/紀陽除虫菊はプレスリリースが多めなので、受け取る側が「またここか」と飽きないよう、気持ちにメリハリをつけるためなのだとか。


2.ウェブを意識した写真を添える(なければ撮る)

ウェブニュースに乗った時の広がりを考え、写真の用意はしっかりと。写真はどこのメディアでも必要としているだけでなく、商品の使い方などがひと目でわかりやすく伝えられるのもメリット。「テレビ関係者であっても、撮影のイメージがつきやすくなるので、こういう商品ですよとお知らせしておく意味でも写真は大切です。適切なものがなければ自分で試したり、社内のデザイナーに頼んで撮ってもらったりもします」と大田さん。


3.内容は「商品の特長」だけでなく「使ってみて生まれた感情」も入れる

まずは、内容が端的に伝わるようなリード文から始めること。大田さんは「プレスリリースはラブレター」という言葉を意識しているそう。「記者は忙しい方が多いですし、ご挨拶を兼ねて、取り上げてくださる感謝を伝えつつ、ネタを提供する気持ちですね」。

そして、内容にはある程度の「余白を残す」のも大事。作りこみすぎると受け取り手はアレンジする余地がなく、その記者やメディアらしさを見い出しづらくなるからです。


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書きかけのリリースを前に、商品を手にしてユーザーの気持ちを想像してみる。


大田:商品の特長といった「事実」だけではなく「感情」を入れるのも大切ですね。これは前職の通販サイトで学んだことなのですが、商品だけでなく、その商品を使った先にある幸せを伝えたいんです

アスリート向けの入浴剤をPRしたときには、なぜ今この商品なのか、どういう理由があるのかということをより知るために、競合他社だけでなく、実際にスポーツ用品店を巡って、似たような商品カテゴリーはどんなものがあるのかもチェックしました。実店舗を見て、現場に足を運んで、実感値を貯めます。展示会で伺ったユーザーさんのコメントを引用してみることもあります。使う人のことを知った上で、展開を考えていくんです。


情報収集は「受け取り手の共感を呼びやすくする」ために大切


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元「ぐるなび」広報である栗田朋一さんの著書『新しい広報の教科書』は、大田さんがいまオススメする一冊。
「この中にあるエッセンスはいつも志していたいと思っています」


大田さんは普段から積極的に情報収集をしています。テレビ番組はニュースやバラエティを中心に20番組ほどを常時録画してチェック。「毎週、図書館を2館はしご」するほどの本好き。LINEニュース、Gunosy、SmartNewsといったニュースアプリ、livedoorニュースやYahoo!ニュース、Twitter、Facebookといったウェブまわりのウォッチも欠かしません。


大田:以前、アロマ蚊取り線香のプレスリリースを送った時には、最初にライフハッカーさんで取り上げていただいてから、テレビで蚊取り線香の工場ロケの様子が放送されるまで、1カ月ほどかかったことがありました。情報にはそれだけ時差があるからこそ、いろんなメディアで「どんな出方をするのか」をウォッチしています。秋のキッチングッズや大掃除などの季節ネタを拾ってリリースに絡めることもあれば、「いつもはこれくらいの時期に○○が特集されるな」と逆算して、先んじて出すこともあります。

テレビは商品のユーザーに近い層が見ていそうな『スクール革命!』や『男子ごはん』など、ニュース以外のものもよく見ます。私は「メディアも広報も『人』である」と思っているんです。記者や制作会社の方たちもひとりの人ですから、テレビやメディアといった情報を得る先を彼らと同じにすることで、より共感しやすくなるんじゃないかなと。


最後に、「大田さんにとってプレスリリースとは何ですか」と聞いてみました。


大田:「ご挨拶」でしょうか。お手紙だけど、ネタ提供もあり、読んでいるうちにちょっと面白くなっているものであり、商品の本質である「喜び」を浮かび上がらせるものでもあり。そして、ここからメディアや記者との関係がはじまる、すべての出発点ですね。


(長谷川賢人)

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