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印南敦史  - ,,  07:30 AM

雇用、住む場所、イノベーションには密接な関係性がある

雇用、住む場所、イノベーションには密接な関係性がある

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年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』(エンリコ・モレッティ著、池村千秋訳、安田洋祐解説)というタイトル(原題:THE NEW GEOGRAPHY OF JOBS)には、ドキッとしてしまうようなインパクトがあります。しかしここには、アメリカ社会における雇用の実情、そして将来的なあり方がわかりやすいかたちで示されています。

カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授である著者は、イタリア出身の経済学者。労働経済学、都市経済学、地域経済学が専門で、現実のデータを用いた実証研究のスペシャリストとして知られているそうです。そして、教育や人的資本の蓄積が生産性や犯罪などに与える影響を明らかにした研究によって、大きな評価を得ているのだとか。そんな立場から本書で訴えているのは、21世紀におけるイノベーションの重要性と人、そして場所の関係性です。

20世紀において繁栄を手中に収めたのは、大規模な製造業を育てることに成功した都市や国でした。しかし、21世紀に重要な意味を持つのはイノベーションの価値。そして、より強まるのは場所の重要性。人は顔を合わせてコラボレーションするときにもっとも創造性を発揮できるため、ある土地に人材が集約されればひとりひとりの技能がさらに高まり、ますます多くの人材が集まってくるという考え方です。かくして、イノベーション能力に富んだ人材を大勢引きつけられた都市や国こそが、経済の覇者になるということ。いくつかのポイントを拾ってみましょう。


イノベーション産業の広がり


第2章「イノベーション産業の『乗数効果』」において印象的だったのは、本書の核というべき次の一文でした。


アメリカ経済の産業構造は50年以上かけて少しずつ、従来型の製造業から、知識、アイデア、イノベーションに関わる産業へと転換してきた。昔ながらの製造業の雇用が減り、イノベーション産業の雇用が増え続けている。近い将来、イノベーション産業は、1950~60年の製造業のようにアメリカの経済成長の牽引約になるだろう。(67ページより)


そして、ある都市でイノベーション産業の新たな雇用が生まれると、それ以外の業種の雇用もつくり出されることになる。科学者やソフトウェアエンジニア、数学者などの雇用が増えれば、タクシー運転手、家政婦、大工、ベビーシッター、美容師、医師、弁護士、犬の散歩人、心理療法士など地域のサービス業に対するニーズが高まる。地域レベルのサービス業で働く人たちは、ハイテク企業の社員たちが暮らす地域に集まり、そこで求められるニーズに応えていくというわけです。

いわば、都市にイノベーション関連の雇用がひとつ増えることには、ひとりの雇用が生まれる以上の意味があるということ。当たり前なことのようではあるけれども、実にダイナミックな事実でもあるといえるのではないでしょうか。


大卒労働者と高卒労働者の賃金格差


ところがその一方に、大きな問題が横たわっているのも事実。たとえば、大卒労働者と高卒労働者の賃金格差が大きく広がっていることがそれにあたるそうです。そしてこの部分は、日本の状況とも合致するようにも思えます。


大卒者と非大卒者の賃金の格差がこれほどまでに拡大しているなら、どうして大学に進む若者が増えないのか? この謎を突きつけられると、たいていの人は、大学の学費の上昇を理由に挙げる。(296ページより)


ただし同時に注目すべきは、「もうひとつの要因」にもあると著者は言います。それは、友だちからの影響。大学に関心を持たない友だちの間で育った若者は、大学を目差す友だちに囲まれて育った若者に比べて大学に進む確率が低いというのです。つまり経済的な事情もさることながら、大学進学率が充分に上昇しない本当の理由は、若者たちの高校時代よりも前の段階にあるということ。だから、幼児期に子どもたちに「投資」しなければ、大学に進学する若者を増やすことは難しいと著者は主張しています。

子どもへの投資、学費の問題、住むところが与える影響...。さまざなま問題が複雑に絡み合っているわけですから、なかなか解決は難しそうです。


日本が勢いを失った理由


なお、要所要所でスポットが当てられている日本についての記述にも大きなインパクトが備わっています。


1980年代、日本のハイテク産業は世界の市場を制していたが、この20年ほどで勢いを失ってしまった。特に、ソフトウェアとインターネット関連ビジネスの分野の退潮が目立つ。運命が暗転した理由はいろいろあるが、大きな要因の一つは、アメリカに比べてソフトウェアエンジニアの人材の層が薄かったことだ。(313ページより)


このように、指摘は的確かつ客観的。また、アメリカについての記述が大半を占めているとはいえ、アメリカの経済状況と日本のそれが密接に結びついていることも事実。だからこそ、さまざまな意味において参考になる部分が多い書籍だといえます。ぜひ一度、手にとってみてください。

冒頭の、「日本語版への序章 浮かぶ都市、沈む都市」に目を通せば、たちまち引き込まれると思います。


(印南敦史)

  • ,,,,, - By

    香川博人

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