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大嶋拓人大嶋拓人  - ,,,,  10:00 PM

仕事の効率を上げるには官僚主義の排除から。EvernoteのCEO、フィル・リービン氏インタビュー

仕事の効率を上げるには官僚主義の排除から。EvernoteのCEO、フィル・リービン氏インタビュー

フィル・リービン


全世界のユーザー数が1億人を超えたウェブサービス「Evernote」。優れたUIデザインと機能を兼ね備えた同社のサービスは、日本だけでなく世界中で受け入れられています。昨年は、IT企業がリアルなものを売り出すユニークな試みとして「Evernote Market」を発表し、世界を驚かせました。

シリコンバレーで生まれた同社のCEOを務めるのが、フィル・リービン氏です。親日家としても知られる彼は、日本に頻繁に訪れています。今回、ライフハッカー[日本版]では、そんなフィルに独占インタビューをする機会を得ました。フィルが教えてくれたのは、フィル自身のEvernote活用法から、効率的なオフィスの作り方、仕事選びの哲学まで、多岐に渡りました。

世界的企業となったEvernoteから、私たちは何が学べるでしょうか? フィルの考えに耳を傾けてみましょう。


Evernoteの使い方は、友達から教わるのがベスト


── Evernoteのアカウントは作ったけど、どう使ったらいいかわからず、モヤモヤしている人も多いと思います。どんな使い方から始めるのがオススメですか?

ユーザーにどうやってEvernoteの使い方を伝えるか。これは、Evernoteにとって、今まで大きな課題でした。ローンチしたばかりの頃は、使い方についてのヘルプはほぼありませんでしたが、今はチュートリアルもあり、改善はしていると思います。ただ、それでもまだまだです。Evernoteの使い方を知るベストな方法は「友達に教えてもらうこと」です。なので、シェア機能など、友達からEvernoteを勧めて使うような仕組みを取り入れています。使い方だけを知りたいなら、Evernoteに関する本もたくさん出ています。ただ、「説明されなくても使い方がわかる製品」が理想だと思っています。

Evernote初心者で実用的なイメージが湧かないなら、まずは「名刺管理アプリ」として使ってみてください。Evernoteは使えば使うほど味が出てくる製品なのですが、名刺管理として使うならわかりやすいし、便利さが実感できるはずです。


── 昨年、リアルな製品を売り出す取り組み「Evernote Market」を始めました。ウェブサービスの会社がリアルなものを売る意図は何ですか?

Evernote Marketは「デザインの訓練」としての意味合いが強いです。今後数年の間に、ウェアラブルデバイスの登場によって世界は大きく変わります。電子機器の使い方も今とは全く違うものになるでしょう。そんなウェアラブル時代において、リアルなモノをデザインできない会社は、新しいユーザー体験を生み出すのが難しくなります。Evernote Marketでは、ソフトウェアのデザイナーがパートナー企業と協力してリアルなモノをデザインしています。この経験は、ウェアラブル時代の商品開発に役立つと考えています。


── フィル自身は、Evernoteをどのように使っていますか?

使っているというより、Evernoteと一緒に住んでる感覚ですよ。例えば、来週ボードメンバーとの会議があるのですが、その時に使うノートブックを会社の役員と共有しています。会議のタスクを入力したり、プレゼンテーションに使ったり、他の社員が書いた内容にコメントしたりもしています。プライベートでも税金のことを記録したり、自宅の改装デザインについて、アイデアやコスト等の情報をデザイナーと共有しています。他にも、Evernote Foodで食べ物の記録もたくさん取っています。


官僚主義的な慣習を排除する


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── 社員の生産性を高めるために、取り組んでいることはありますか?

組織においては、官僚主義的になることで生産性が低下するケースが多いと思います。なので、Evernoteでは官僚主義的な仕組みを極力排除するようにしています。例えば、Evernoteには休暇日数の規定がありません。いわゆる「無制限の有給休暇」なのですが、この制度を設けている理由は、休暇日数を決める意味がないと考えているからです。職場は刑務所ではないので、「あと何日働かなくてもいいか数える」なんて意味がないことです。会社としても、疲れた状態で働いてもらうより、しっかり休みをとって次の日に効率良く働いてもらったほうが好都合です。また、休暇の申請を出して、それを承認して...といった官僚的なシステムも排除できます。

他にも、カリフォルニア州には電気自動車専用の車線があって、電気自動車で通勤すれば通勤時間が削減できます。そこで、実質無料で電気自動車を購入できる制度を作りました。社員の通勤時間を減らして、その分仕事をしてもらったり、余った時間で家で家族と過ごしてもらったりしたほうがいいからです。


どんな製品にも、会社の文化が映り込む


── そのような生産性を高める姿勢は、頭ではわかっていてもなかなかできないことですよね

シリコンバレーの企業なら、このような姿勢を持っている会社はたくさんありますよ。ただ、「会社が作り出す製品を見ればその会社の社風が読み取れる」と理解している人は少ないかもしれません。

どんな製品にも、その会社の文化が映り込みます。美しい製品を作りたいなら、美しい会社を作らないといけないのです。私がEvernoteで意識していることは、「製品を作り込むように、会社の文化も作り込んでいる」ということです。もちろん、会社の文化はCEOだけが作るものではありません。Evernoteで働くデザイナーは、Evernoteという製品だけでなくEvernote社の文化もデザインしていると考えるべきです。Evernoteでは、どんなプログラミングをするか、どんな会議室にするのか、ランチで何が食べられるか、といったことも、製品の仕様を決めるときと同じくらい慎重に決めています。


── Evernoteは製品デザインに強いこだわりがあるように思えます。デザインの完成度はどう高めていますか? 何か特別な意思決定の仕組みがあるのですか?

会社によっていろいろな考え方があると思いますが、Evernoteの場合、CEOとしての私の役目は、「トップとして何かを決断する」というよりも「正しい決断ができるように社員をサポートすること」だと思っています。ただ、Evernoteとしての方向性はしっかり伝える必要があります。

例えば、何かのデザインを決める会議があったとします。社員がいくつかのアイデアを出して調べ上げ、5つの候補としてまとめて私に提出します。あとは、CEOの私が決めるまで待つ。私は社員にこのプロセスを踏んでほしくありません。代わりに、5つの選択肢に絞った後、自分で決定までしてほしいのです。5つの候補から、この案にして、すでに進めていてほしい。もし私が納得できなければ話し合います。上司の承認を得るために待っている必要はありません。社員にとって、決定をするのは怖いかもしれませんが、こちらのほうがずっと効率的なのです。


日本文化の素晴らしい特徴は「ユーザー目線で物事を考える姿勢」


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── 親日家とお聞きしましたが、日本の何が一番好きですか?

食べ物ですね。他にも、たくさん好きなことがあります。例えば、日本にあるものはすべて、ユーザーの体験を考慮して設計されています。自動で開くタクシーのドアがいい例です。日本では乗客のタクシー体験を少しでも良くしよう、という姿勢があるからこういうサービスがあるんだと思います。パリの地下鉄は、スーツケースを持っている旅行者にとっては不便でしかありません。あのシステムを設計した人は、実際に地下鉄を使う人がどう思うか、なんて気にも留めてなかったのでしょう。反対に、東京の地下鉄は、乗客が快適に使えるように随所に工夫が見られます。日本文化の根底には、こうした「使う人目線で物事を考える」という姿勢があると思います。


── 東京に来たときの行きつけの店はどこですか?

いくつかあります。しゃぶしゃぶの「豚組」。今日の夕食もここで食べる予定です。あと、銀座の「煙事」。ここのハンバーガーは世界最高ですよ。ハンバーガーだけじゃなく、他の薫製料理も素晴らしいんです。焼き鳥なら「バードランド」ですね。日本で好きな飲食店は50軒以上はありますよ(笑)。


── 「座右の銘」はありますか?

いい質問ですね。誰もが知っている有名な言葉ではないですが、(米マイクロソフト社元CEOの)スティーブ・バルマーが教えてくれたことがありました。


ほとんどの人は、死ぬまでに自分の人生に大きな影響を与える100人に出会います。重要なことを決める時に相談するのも彼らだし、一緒に行動を共にする仲間かもしれない。この100人は、人によっては200人かもしれないし、30人かもしれない。ただ、この人数枠は決まっているのです。だから、この枠に誰を入れるか、よく考えないといけない。


これはとてもいいアドバイスだし、さまざまなことを考えるきっかけになりました。


職種ではなく、会社を選べ


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エバーノート日本法人のオフィスにて


── 日本がシリコンバレーから学ぶべきことは何だと思いますか?

シリコンバレーでは、最初から世界をマーケットに見据えて会社を設立します。だから、シリコンバレーだけが市場のスタートアップなんて存在しません。シリコンバレーには、グローバルなスタートアップが存在するだけです。ただ、日本には、日本だけを市場としている「ジャパニーズスタートアップ」が多いと感じます。このマインドは変えたほうがいいと思います。

とはいえ、日本のスタートアップも、シリコンバレーのスタートアップも本質的には変わりません。日本にも素晴らしいスタートアップはたくさんあります。ただ、投資家は大きく違います。シリコンバレーの投資家は、長期間利益を生まなくても、これだと信じたビジネスがあれば惜しみなくお金を出します。でも日本の投資家は、「利益が出ないならビジネスじゃない」といった考え方があるので、短期間で「ビジネスの利益化」を求める傾向があります。安全に利益が出るビジネスが歓迎されるのです。でも、シリコンバレーでは、多少リスクがあっても投資は集まります。

シリコンバレーではビジネスを利益化する圧力が少ないので、失敗する企業が多いとも言えます。ただ、その中で成功する企業は巨大な成功を収める。日本の場合、安定したスタートアップは多いのですが、巨大な成功を収めるスタートアップは少ない。スタートアップ設立から早い段階で利益化を求められるために、保守的なメンタリティになっているからだと思います。


── 最後の質問です。日本の若者にアドバイスするとしたら、何を伝えたいですか?

職種ではなく、会社を選べ」と言いますね。一般的に、「仕事」と聞くと「職種」を指すことが多いですが、職種より会社のほうがずっと重要です。仕事を探す時は「この世に存在する価値がある」と思える会社を選んでください。「この会社があるから、世の中は良くなっている」と思える会社です。世の中には、お金のためだけに商品を作っている会社もたくさんあります。そんな会社だとわかったら、どんな職種をオファーされても断ってください。反対に、世の中を確実に良くしている、世界が必要としている、と思える企業があったなら、どんな職種でも引き受けて、その会社で働いてください。私は、広告会社で上級副社長として働くより、テスラ・モータース社やスペースX社で清掃員として働くことを選びます。世の中にこれ以上広告が必要とは思えないからです。でも、電気自動車や宇宙ロケットは必要だし、社会にとって、人類にとって大きな意味があります。

それに、清掃員として働き始めたとしても、能力を高めればもっと大きな仕事を任せてもらえるようになります。そうやって、その会社でどんどん上に上がっていけばいいんです。私ならそういう仕事の選び方をしますよ。


フィルが語ってくれたことで、とても印象的な一言がありました。「エバーノートはウェブサービスの会社だから、厳密に言えば日本に物理的なオフィスを作る必要はない。それでも、日本にオフィスを作ったのは、日本の企業やクリエイターと関わることで刺激されたいからなんだ」

常に新しい刺激を求め、新しいことに挑戦する。そんなスタートアップらしい姿勢が「エバーノートの原点」と言えそうです。

あなたはどのメッセージが一番心に響きましたか?
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7/11(金)と7/12(土)には、「記憶の未来」をテーマに著名人の講演が聞けるイベント「EVERNOTE DAYS 2014 TOKYO」が、日本科学未来館にて開催されます。ライフハッカー[日本版]もブースを出店し、7/11(金)16:00からは編集長の米田智彦がトークショーに登壇する予定です。テーマは「編集長会議 ー 記録と記憶。メディアが僕たちの暮らしに残せるもの」と称した「これからのメディア」について。「ハフィントンポスト日本版」編集長の松浦茂樹氏と、『WIRED』編集長の若林恵氏もお招きし、3人の編集長が徹底討論します。

他にも、MITメディアラボで副所長を務める石井裕氏や、脳科学者の茂木健一郎氏を始めとしたさまざまな著名人が講演を行う予定です。時間があればぜひ足を運んでみてくださいね。


(文・聞き手/大嶋拓人)

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