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印南敦史  - ,,,  07:30 AM

夏目漱石のことばを、現代人の生き方に投影させるとうまくフィットする

夏目漱石のことばを、現代人の生き方に投影させるとうまくフィットする

漱石「こころ」の言葉


夏目漱石の代表作である『こころ』の連載が朝日新聞紙上で始まったのは、1914年4月20日のこと。先ごろ100年ぶりの再連載がスタートしたことがきっかけとなり、文庫の売上も2.5倍を記録。ここにきてまた、夏目漱石ブームが訪れています。

そんななか、絶妙のタイミングで登場したのが『漱石「こころ」の言葉』(夏目漱石著、矢島裕紀彦編、文春新書)。漱石の研究家としても知られる編者が、明治時代を生きた文豪の残した名言、金言を「自我」「学問」「未来」「自由と孤独」「正義」「覚悟」「恋愛と家族」「処世」と8つのテーマに分けて紹介した新書です。


漱石は単なる小説家である以上に、人生を探究する哲学者であり、文明批評家であり、さらには、若い門弟や友人の相談にのって的確かつ実際的なアドバイスや励ましを与える慈父のような存在でした。(「はじめに」より)


自我の捉え方、矛盾に満ちた社会との向き合い方、学問、恋愛、そして金銭にまでおよぶ実践的な処世論、日本人としての誇り、死生観、環境問題まで、視野の広さは驚くほど広範。その多くが、100年後を生きる私たちの日常にも無理なくフィットすることがよくわかる内容となっています。今日は第一章「自我」に焦点を当ててみましょう。


理想


理想のあるものは歩くべき道を知っている。(中略)諸君のうちには、どこまで歩くつもりだと聞くものがあるかも知れぬ。知れたことである。行けるところまで行くのが人生である。誰しも自分の寿命を知ってるものはない。自分に知れない寿命は他人にはなおさらわからない。(『野分』)


理想を抱き、どこまでも進むべきだという考えは、現代のビジネスパーソンの生き方にも応用できるはずです。(11ページより)


生きる目的


人間はある目的を以て、生まれたものではなかった。これと反対に、生まれた人間に、はじめて、ある目的ができてくるのであった。(中略)だから人間の目的は、生まれた本人が、本人自身に作ったものでなければならない。(『それから』)


生きる目的とは人から与えられるものではなく、与えられたとしたら「すでに生まれる時に奪ったと同じ」。自分で探しこそ、目的であるということ。(13ページより)


鶴嘴(つるはし)


(前略)すでに自力で切り開いた道を持っている方は例外であり、また他(ひと)の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとは決して申しませんが(自己に安心と自信がしっかり付随しているならば)、しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当てるところまで進んで行かなくってはいけないでしょう。いけないというのは、もし掘り当てることができなかったなら、その人は生涯不愉快で、始終中腰になって世の中にまごまごしていなければならないからです。(『私の個人主義』)


柔らかな文体ながら、「自分の鶴嘴で掘り当てるところまで進んで」いくべきだという主張には強い意志を感じます。(14ページより)


躓き(つまずき)


僕の一身にとってこの落第は非常に薬になったように思われる。もしそのとき落第せず、ただごまかしてばかり通って来たら今頃はどんな者になっていたか知れないと思う。(『落第』)


一高(旧制第一高等学校)在学中に留年を体験したことについての記述。失敗に対するこうした考え方も、私たちのさまざまな場面に当てはめることができます。(18ページより)


弱点


(前略)私は今のところ自殺を好まない。恐らく生きるだけ生きているだろう。そうしてその生きているうちは、普通の人間の如く私の持って生まれた弱点を発揮するだろうと思う。私はそれは生だと考えるからである。(『書簡』大正3年11月14日)


弱点を否定せず、それを受け入れながら生きることの大切さが、このことばには表れています。(34ページより)



なお余談ですが、「あとがき」に興味深い記載があります。『こころ』に感銘してファンレターを送ってきた小学生読者に宛てた返信。漱石の人柄がわかる内容なので、最後に引用しておきます。


《あの「心」という小説のなかにある先生という人はもう死んでしまいました。名前はありますがあなたが覚えても役に立たない人です。あなたは小学の六年でよくあんなものをよみますね。あれは小供(こども)がよんでもためになるものじゃありませんからおよしなさい》(253ページ)


慈愛に満ち、ユーモラスでもある表現に、漱石の人間性が表れている気がします。

1ページ1項目という構成になっており、どこからでも読めるところも魅力。いまの自分にあてはまるフレーズを、きっとどこかに見つけることができるでしょう。


(印南敦史)

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