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江口晋太朗(編集者)

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 - ,,,,,,  11:00 AM

MOOCを通じた学びの機会が、社会に多様性を生む:JMOOC福原氏インタビュー〜ヨーロッパでは本格的な普及期へ〜

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MOOCを通じた学びの機会が、社会に多様性を生む:JMOOC福原氏インタビュー〜ヨーロッパでは本格的な普及期へ〜

福原美三氏


MOOC」(ムーク、Massive Open Online Courses)と呼ばれる教育サービスでは、2012年より米国を中心にスタンフォード大学や MIT などの主要な大学や有名教授による講義がオープンオンライン講座として誰でも自由に視聴することができ、世界中から延べ1000万人以上が受講するほどの動きが起きています。

日本でも、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(Japan Massive Open Online Courses:JMOOC)によって、2014年春から日本版 MOOC の「gaccoによる講義が実施されます。MOOC を通じた学習の可能性や意義について、JMOOC 事務局長の福原美三氏に今回は話を伺いました。

インタビューを通じて、人生の道のりをつくる環境が、身の回りに整っていることが実感できます。自分が何をしたいのか、これからどのようにすべきなのか。そうしたことを日々考えるのが大切です。社会も、そうした個人の能力と意欲を十二分に発揮できる場を用意することが求められてきます。

自分の意志や行動次第で、未来の可能性を拓くことができるいま、明日から自分が何をすべきかを考えてみてはいかがでしょうか。


MOOCいろいろ代表的なMOOC、Udacity(ユダシティー)、Coursera(コーセラ)、edX(エデックス)ともに、2012年に運営を開始している


MOOC って、そもそもなに?


── いま、全世界でオンライン講座が行われています。MOOC は、どういった経緯で現在のかたちになったのでしょうか?

きっかけは、講義動画などの教育コンテンツをインターネット上で誰でも自由に視聴することができる、オープンコースウェアというコンセプトを2001年に MIT(マサチューセッツ工科大学)が発表し、2007年までに MIT の2000弱のすべての講義を公開すると宣言したことでした。これが大きな注目を浴び、次第に世界でオープンコースウェアの動きが起きてきました。日本でも、2005年から東大や京大などがオープンコースウェアを開始しました。


福原美三氏2一般社団法人 日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC 事務局)の事務局長を務める福原美三氏


しかし、誰でも自由に講義が見られるだけでは、学習としては不十分です。そこで、学んでいる人同士で講義に関する情報交換やディスカッションが自由にできるオンラインコミュニティをつくり、オープンコースウェアのコンテンツと連携させることで、互いに学び合う環境が生まれてきました。そこから、オープンコースウェアの講義を修了できたら、大学の単位のような社会的に認知された評価を与えるべきだという動きが世界的に起きるようになり、スタンフォード大学やMITなどで2012年から取り組み始めたのが、MOOC の始まりなのです。


── MOOCは、講義を修了したら単位や修了証がもらえるのですか?

そうですね。学習者は MOOC 内で ID 登録を行なって受講することで、学習のログを蓄積することができます。講義ではレポートなどを提出し、一定の学習到達が見込めた人に対して講義の修了証が与えられます。つまり、MOOC を通じて、学習実績を証明することができるのです。


修了証明書コーセラでの修了証。ダッシュボード上からPDFとしてダウンロードできる


もちろん、既存の大学と同様の講義を配信しているとはいえ、実質的な大学の単位ではありません。あくまで学習達成の修了証ですが、MIT とハーバード大学が提携しているエデックス(edX)では、MIT の MOOC を MITx と名称を大学名とも揃え、中身はほぼ同じであると表現しています。


MOOC は日本に何をもたらすのか


── JMOOC を立ち上げたことで、何かを学ぶツールのひとつとして MOOC が身近になってくると思いますが、日本にこれからどのような変化が起きると思われますか?

30代や40代になって、改めて歴史や哲学などのリベラルアーツを学ぼうというニーズが世界中で高まっています。一度大学を卒業した人が再度大学に入学したり、実社会をある程度経験したあとに大学に入学するという「学び直し」の人たちが、OECD 平均で2割、多い大学は4割程度の学生が占めています。また、MIT が2011年に発表したレポートによると、MIT を卒業した同窓生の半数以上が、卒業後も MIT のオープンコースウェアを使っており、継続的に知識源として大学を活用していることがわかりました。

こうしたニーズに応え、社会全体のラーニングスタイルとして、日々の活動の中に継続的に知識をブラッシュアップしたり吸収したりすることを、生活の一部にしていくために、もっとオンライン教育が当たり前になることで、時間を有効活用できるのではないでしょうか。


── そうすると、既存の大学のあり方や存在価値が、MOOC によって変わるかもしれませんね。

知識を得ることはオンラインで行ない、教室ではワークショップや議論を行ったり、わからないところを教授に質問したりする「反転学習」と呼ばれる学習方法が注目されており、教室のあり方に変化が起き始めています。ただ座って教授の話を聞くのではなく、教室はみんなでいる場だからこそ、その価値を最大化しようという発想だといえます。MOOC を活用することで、効果的・効率的な学びの場が生まれ、講義の価値を最大化することができるのではと考えています。


gaccoキャプチャJMOOC 第一弾として国内で初めての MOOC 提供サービス、gacco。教授陣の授業には、反転学習を取り入れたものも(講義一覧


MIT の新入生の35%が、高校生の時にオープンコースウェアを受講しており、講義をきっかけに MIT に進学を決めた学生がいるというレポートもあるなど、大学選択にも影響してくるかもしれません。偏差値や大学名だけでなんとなく進学してしまうのではなく、自分が何をしたいのか、どうなりたいか、実際にその大学で何を学べるかを MOOC を通じて事前に知ることができ、大学教育と学生との効果的なマッチングを図ることができると考えています。


── 米国以外にも、MOOC の動きは活発なのでしょうか?

ヨーロッパでは、すでに MOOC を行っている大学の数がスペインで28大学(151コース)、イギリスでは26大学(85コース)あり、ヨーロッパ全体ではすでに432コースもあります。

先日私が参加した European MOOCs Stakeholders Summit 2014 というカンファレンスは、ヨーロッパの MOOC に関わる関係者が一堂に集まり、欧州の大学間での学生のアセスメントや MOOC の認定、プラットフォームの相互運用性などについて議論していました。各国でプラットフォームが立ち上がっている中、日本版 MOOC の代表として参加させていただき、各国の取り組みや今後の各国同士の連携の可能性を模索したと同時に、ヨーロッパの MOOC の盛り上がりを肌で感じることができました。


欧州MOOC事情ヨーロッパのなかでもスペインでの成長が著しい(2014年2月3日現在)


MOOC を通じて教育コンテンツを世界に発信するということは、それぞれの文化を自分たちで発信していくということでもあります。日本の独特な文化を世界に届けるための、ひとつのツールとして MOOC を活用できると考えています。政府が MOOC を全面的にサポートする国もあるなど、社会インフラのひとつとして認知され始めています。言語だけではなく、教育を通じて文化やポリシーなどの相互理解を深めることは、国際協調のひとつなのだと感じます。


MOOC修了証が、出世の近道になる時代がくる!?


── 学んだスキルや知識に対する評価基準があると、就職や転職に有利になるようなことが考えられますが、MOOC の可能性についてどのようにお考えですか?

MOOC をどのように使うかは、使う人次第です。知識や教養を学ぶ以外にも、就職やスキルアップ、キャリアステップ...さまざまな方法が考えられます。お金の心配もいらないし、働きながらでも勉強でき、キャリア選択の幅が広がるきっかけにもなります。

アメリカの企業では、コーセラの修了証を一定の任用資格の中に組み込んだり、特定の修了証があると採用にプラスになる、という事例が生まれてきています。採用までは難しくても、自社の社内教育、例えば課長クラスに昇任するときには特定のコース修了を必須条件にするなど、一定の昇任基準の一部として利用することも考えられます。就業機会をつくったり企業の人材育成に利用したりするひとつのツールとして、意味ある学習環境の場を提供していきたいですね。

そのためには、コンテンツの増加と、MOOC を修了したことの社会的価値を上げていかなければいけません。多様なニーズに応え、学習者の満足度をあげるためにフィードバックをもとに改善していくことが必要です。


── 20代や30代は、自身のキャリアを考えたり人生の方向性に悩む時期でもあります。MOOC によって、さまざまな可能性が広がるかもしれませんね。

もちろん、MOOC がすべてを解決する万能薬ではありませんが、社会に多様性を生む一つの方法として機能するのではないでしょうか。コーセラのダフニー・コラー氏が、TED で「第二、第三のアインシュタインが出てくることが夢だ」とも語っていたように、MOOC で天才を発掘できるかもしれません。

もっと一般的な視点で考えると、ドロップアウトした人や教育の機会に恵まれなかった人を救う、社会全体のセーフティーネットとして機能することで多様性が生まれやすくなります。こうした学習環境が社会全体に浸透することで、大きな社会の変化が起きてくるのではないでしょうか。


ダフニー・コラー 「オンライン教育が教えてくれること」|TED


途中でやめたって、いい


── みんなが MOOC を修了する社会がでてくるかもしれませんね。MOOC も含めた教育の未来について、どのようなお考えでしょうか? 

正直に言えば、MOOC の講義はつまみ食いでもいいのです。修了するだけがすべてではありません。事実、MOOC の講義を最後まで修了した履修生は、MOOC 全体の7%程度だと言われています。しかし、仮にMOOCの講義を途中で止めても問題ありません。大事なのは、いつでも学べる環境があるという状態をつくることなのです。

大人になると、ちょっとしたことを人に聞こうと思っても、なかなか聞けなかったりしますよね。仮に講義を一度止めても、また学びたくなったら何度でも学び直してもいいのです。修了率が高くなることだけが目的ではありません。逆に、修了証コレクターがいてもいいのです。

教育の本質は、ちゃんと勉強したい人に教育を届け、疑問に思ったことや知りたいと思ったことが学べる場があることです。いつでもどこでも、誰にでも学びの場を提供し、継続的な学習社会をつくっていきたいですね。


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(江口晋太朗)

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