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佐藤ゆき佐藤ゆき  - ,,  01:00 PM

凄まじい成長ぶりが話題の「Box」を創業したカリスマ起業家、アーロン・レヴィとは何者なのか?

凄まじい成長ぶりが話題の「Box」を創業したカリスマ起業家、アーロン・レヴィとは何者なのか?

アーロン・レヴィ


Inc.:現在、アメリカで大きな注目を集めているスタートアップが、クラウド環境のストレージサービス「Box」です。創業者のアーロン・レヴィは、現在28歳。2005年、20歳のときに南カリフォルニア大学の学生寮でBoxを立ち上げました。同社の収益は毎年倍増という凄まじい成長ぶりで、2013年末には1億ドルに達する勢い。従業員は900名を超え、オフィスはカリフォルニア州ロス・アルトス、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、ミュンヘンとグローバルに展開。来年、レヴィと共同創業者・最高財務責任者のディラン・スミスは同社の株式公開を計画しています。

このスタートアップ企業に3億ドル(約315億円)の投資が集まり、同社の価値が12億ドル(約1260億円)と評価された事実は、Boxに対する期待の大きさと同時に、クラウドコンピューティングの市場がついに成熟したことを示しています。IT分野の投資家と専門家に対して行われたある調査によると「回答者の65.6パーセントが、クラウドは2013年にもっとも投資された分野であると答えた」とのことです。



レヴィのもつ変化を見極める力、「クレイジー」なことに挑戦する大胆さ


しかし、こうした数字だけでは、アーロン・レヴィが米メディア Inc. の「2013年の起業家」に選ばれた理由として十分ではないでしょう。むしろ、レヴィの将来の変化を見極める力、そして短期的には端からクレイジーに見えるものの、長期的には革新的に見えることをやってのける大胆さに、その理由があるのです。

クラウドストレージというのは基本的には差別化の難しいコモディティです。レヴィはこの点を早い段階で理解し、Boxのターゲットユーザーを一般消費者から法人顧客へと変更しました。そして、彼は最高のデザインを徹底的に追求しました。また、彼はモバイル端末向けにすぐに対応しました。敢えてリスクをとり、従来のアイデアやモデルに縛られることなく、自分の正しいと思う決断を実行してきました。

テクノロジーの根本的なシフトは、10~15年単位でしかやってこないとレヴィはしばしば口にします。彼のような起業家についても、同じことが言えるかもしれません。レヴィは、業界のカリスマに期待されるような知性と情熱を持ち合わせており、同時に議論好きなスタートアップ創業者らしく24時間休むことなく、仕事に取り憑かれているかのように動き回ります。Boxに投資をしたベンチャーの1つであるAndreessen Horowitzの経営者、Scott Weiss氏は、彼のことを「闇の中でも光っている」起業家であると描写します。「独特の存在感を放っている。彼と5分でも会話すれば、なにか面白いことや鋭い考えを聞ける。カリスマ性があるんだ」


徹底したユーザーエクスペリエンスへのこだわり


Boxでは、ユーザーエクスペリエンスが何にもまして優先されています。2010年、レヴィは、企業用のプラットフォームで今後成功の要因となるのはデザインと携帯性だと予測しました。まさにITの大衆化を加速させた2つの要因です。大衆化とはつまり、たとえ仕事に使うためのものでも、ビジネス向けに特化したハードウェアを拒否することを意味しました。消費者は、クールな一般消費者向けのデバイスを求めたのです。

それまで何年か予測されていたことですが、2011年、ついにスマートフォンの出荷数がPCの出荷数を上回りました。そして、タブレット端末の売上が急速に伸び始めました。リサーチ企業のIDCは、2013年にはタブレット端末の出荷がノートパソコンの出荷数を越えるであろうと予測しました。こうしたモバイル端末の急速な普及は、ソフトウェア業界の戦略にも大きな影響を与える結果となりました。

「お粗末なソフトウェアはもはや受け入れられなくなる」Boxの最高情報責任者、ベン・ヘインズはこう話します。「速くて、質の高いユーザーエクスペリエンスを実現しなければならない。そして、ユーザーはどこにいても情報にアクセスできることを期待している。使いこなすためのトレーニングに4週間も必要なアプリケーションを開発しているとしたら、それはなにか間違っている」

マイクロソフトのSharePointのような、以前から存在する共同作業プラットフォームを使ったことがあれば、Boxの使い心地の良さがよく実感できるはずです。たとえば、同僚と共有したい文書ファイルが大量にあったとします。ワード文書かもしれませんし、エクセルのスプレッドシート、動画ファイルかもしれません。Boxにログインして、すぐにファイルをアップロードし、関連情報をタグ付けします。Box上のあなたのネットワークにいるユーザーは、自分のアカウントでログインをして、ファイルをダウンロードし、好きなように他のユーザーと共有することができます。また、Boxのプラットフォームは、Salesforce、NetSuite、Zen-Deskなどといった他のソフトウェアサービスも統合されているので、作業画面を切り替える必要がありません。サイトはライトブルーをアクセントカラーとして用いており、ニュースフィードもあります。最近までは「いいね!」ボタンまであり、あたかも「Facebookの仕事用バージョン」という感じでした。


企業内部からユーザーを増やしていく「トロイの木馬」作戦


Facebookと同じく、Boxの初期ユーザーは、友人や同僚が使っているからという理由で、Boxを使い始めました。口コミでBoxの評判は広がっていきました。他のファイル共有サービスとは違うし、なによりも他より優れていたからです。Boxを使うことで、以前よりも簡単にファイルを送れ、さらに同僚との共同作業もより迅速に進められるようになりました。些細な変化ながらも、仕事がより楽しくなったのです。

過去数年にわたって、SharePointの堅苦しく退屈なユーザーインターフェイスに幻滅していた社員、また単に重いファイルをメールで送る作業にイライラしていた社員が、Boxを使い始めるようになりました。切り替えは簡単でした。Boxはベーシックユーザーは無料で使用できたのです。そして、サインアップするユーザーが増えると、重要な社内文書が不正に流通するのを防ぎたいと考えるIT管理者がBoxの存在に目を留め始め、Boxの有料プランに登録するようになりました。

それはまさに「トロイの木馬」作戦でした。企業にこっそり潜りこみ、内側から勢力を拡大させていくのです。今日、Boxの収益の拡大の背景にあるのは、こうした法人ユーザーが口コミで増えていった点にあります。リニューアルのたびに、さらに多くのIT管理者が有料プランに登録していきました。個人事業主や中小企業向けの「ビジネス」プランはユーザー1名につき15ドル(約1570円)であるのに対して、法人プランはユーザー1名につき35ドル(約3670円)です。


上からは使うなと言われてるけど、本当は使いたいと従業員が思っているものをつくる


こうしたユーザー拡大に至るまでの経緯は、法人向けのソフトウェア事業を始めようとしている起業家に、大切なことを教えてくれます。つまり、従業員が上からは使うなと言われているけれども、本当は使いたいと思っているものをつくるべし、ということです。レヴィは当初、IT部門の担当者を営業対象にしませんでした。彼はまず、無料の素晴らしいプロダクトをつくって、初期採用者であるアーリーアダプター層を惹き付けたのです。初期採用者がBoxを気に入ると、さらにBoxを使いたくなります。そして、IT担当者が購入を迫られるのです。現在、Boxには300名以上のセールス担当者がいますが、彼らは世界中からのインバウンドコールに対応しています。


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iPadの登場時、来るべき市場の変化をいち早く捉える


Box本社の二階には「ジーニアスバー」「ITデスク」と呼ばれる場所が設けられています。そこにあるのは、ずらりと並べられたモバイル端末。AndoroidスマートフォンからAppleのタブレットまで、さまざまなモバイル端末が木製のスタンドに並んでいます。

2010年、AppleがiPadをリリースしたとき、Boxのライバルである大手企業たちはタブレット端末をただの一般大衆が生活で使う端末だろうと軽視していました。iPadについて熱狂的に語るテックブロガーも中にはいたものの、多くの人はタブレット端末のその大きな意義を理解していませんでした。当時マイクロソフトのビジネス部門担当プレジデントだったスティーブン・エロップは、2010年4月のインタビューで、iPadに対応するソフトウェアに関する今後の戦略を尋ねられたときには「状況を見て判断したい」と答えました。そして、驚くに値しませんが、マイクロソフトの動きを常に追随する傾向にある他企業のIT部門もまた、その読みを受け入れていました。

ベンチャーキャピタルDraper Fisher JurvetsonのディレクターであるJosh Steinもこのように語ります。「iPadが初めて登場したときには、IT部門の最初の反応は "我々はサポートしない" というものでした。しかし、エンドユーザーの反応は異なりました。 "まあ、そんなこと言われても僕たちは使いますよ。iPadを仕事で使いたいし、IT部門が許可しようがしまいが使いますよ" といったかんじです」

レヴィ氏はこの変化を予測していました。2010年1月、スティーブ・ジョブズがステージ上でiPadを発表したとき、彼はこのタブレットが全てを変えるであろうことを確信しました。そして、彼はBoxの開発者を会議室に集めて、命じます。iPadが店頭に並び始めるまでに間に合うようにBoxのiPadアプリをつくってほしい、と。

「アーロンは経営会議の場に入るなり、言った。 "僕たちはこのタブレットに会社を賭ける"」とStein氏は振り返ります。「それは、素晴らしい賭けだったよ」

2010年3月24日、iPadがリリースされる1週間前。レヴィが開発者たちにBoxのiPadアプリをつくるように命じてから2カ月後のこと。レヴィはツイッターに投稿しました。「たった今、未来を見た。もはや紙は一切いらない場所だ。#boxipadapp 」


セキュリティに対するユーザーの不安をいかに払拭するか


技術的な観点から言えば、会社のファイルを送るためのモバイルプラットフォームをつくることは、それほどハードルが高いことではありません。ただ、もっとも難しい点は、送信する情報が安全に守られることを証明する点にあります。いつでも誰とでもファイルを共有できるようにするというアイデアは非常に魅力的ですが、同時にそれは多大なセキュリティ上のリスクが生じます。特に、クレジットカードの番号や個人の健康情報の履歴など、繊細な顧客情報を取り扱う場合には。それは、IT部門の担当者にとっては、莫大な不安の種となっていました。しかし、レヴィはそれをチャンスと捉えました。

「問題は どうやったら彼らをクラウドに引き寄せられるか? つまり、クラウド上のセキュリティを担保する方法はあるか、だった」とレヴィはいます。「Boxの使用許可を出すためにチェックボックスを用意するのではなく、ユーザーがクラウドに文書を預けたいと思う理由が必要だったんだ」


医療系プラットフォームサービスと提携した理由


最高のセキュリティを確約するというBoxの姿勢が、drchronoというスタートアップがBoxと提携した背景にあります。drchronoは医者と患者向けの医療プラットフォームを提供するスタートアップ。最近のシリコンバレーの医療テクノロジー分野のカンファレンスでは、drchronoの創業者とCOOのDaniel Kivatinosは、実際に医者がdrchronoのiPadアプリを使って、患者の治療履歴や関連の画像、エコー図、レントゲン写真といった情報をすぐに引き出す様子を見せました。同社は自社のサーバーからそうしたデータを引き出しているのではありません。Boxを情報管理システムとして使っていたのです。

Boxがdrchronoのような企業にサービスを提供できる背景には、2013年4月にHIPAAと呼ばれる電子医療情報を保護するための業界基準を取得したことがあります。HIPAAを取得することで、公的に医療情報をオンライン上で保護するためのいかなる手段も採ることができるようになります。一方、HIPAAの取得手続きは非常に煩雑で、時間と費用を要することで有名です。(ちなみにSharePointはHIPAAを取得していますが、他の競合サービスの中には取得していないところもあります)しかし、HIPAAの取得はBoxにとってまさに英断となりました。2013年、医療業界での売上が81パーセントも伸びたのです。

さらに、現在は3万ものサードパーティーのデベロッパーがBoxのAPIを使用しています。ひと月のAPIの呼び出し回数が7億件を記録した月もありました。


「セキュリティに対するユーザーの不安」という壁は高い


一方で、共有したデータが外部に漏れるのではないかというユーザーの不安はいまだ存在し、それがBoxの成長の足を引っぱってるのも事実です。重要な社内情報が書かれた文書をクラウド上に置くことにまだ納得していない大手の法人ユーザーもいます。ましてや、それがまだ8歳のスタートアップのサーバー上だなんてリスクが大きすぎる、と。Boxを使用する企業の多くは、自社のシステムを完全にBoxのサーバーに統合させているわけではありません。ファイルをアップロードし、共有するにあたってBoxのプラットフォームを使用しているものの、だからといって従業員が全ての社内文書を自由に投稿したり共有できるというわけではありません。

「この市場はまだ成熟していない」と語るのはアナリスト兼ライターであるKrishnan Subramanian氏。ユーザー側のセキュリティに対する不安がいまだにあることから、Subramanian氏はBoxを12億ドルと評価するのは過大評価だと言います。せいぜい、10億ドル近くだろうと。セキュリティに対するユーザー側の懸念は、Boxやクラウドを利用した情報管理サービスだけが直面している問題ではなく、ソフトウェアサービス業界全体が抱えている問題であるとも語ります。


「落ちこぼれ」としての挑戦


レヴィはそうした課題も自覚しています。実際、レヴィといくらか時間を共に過ごすと、あることに気付きます。それは、Boxのすさまじい成長や評価額、そしてレヴィ自身が1億ドル以上の価値があるという事実にも関わらず、レヴィは自分自身のことをある意味落ちこぼれであると、心の底から考えているという点です。それは、市場においてという意味ではなく、もっと広大で哲学的な意味でです。

レヴィが好きな文筆家のひとりであるマルコム・グラッドウェルは、かつて落ちこぼれについて「普通の人が成し得ないことをやりとげる力がある。物事を異なる視点で見ているから」と言いました。

レヴィが、最先端の法人向けソフトウェアを販売する会社をつくっていると公言したのは、彼が23歳のときでした。彼はその市場におけるゲームのルールさえも理解していませんでした。自分自身が破壊しようとしているソフトウェアを使ったことさえもなかったのです。しかし、グラッドウェルの語りに倣えば、ルールを知らないということ、もしくは単にルールを受け入れないということが、レヴィの持つ最大の強みなのかもしれません。そして、彼とBoxの前に立ちはだかる困難は、彼が挑戦を止める理由にはなりません。むしろ、挑戦を続ける理由になるのです。


Don't Bet Against Aaron Levie|Inc.

Eric Markowitz(訳:佐藤ゆき)
Photo by Robert Scoble,@Photo.

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