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ゲストライターゲストライター  - ,,,,,  11:00 AM

航空整備士の仕事術〜JALの新シート設置がこんなにも効率的なワケ

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航空整備士の仕事術〜JALの新シート設置がこんなにも効率的なワケ

新シート設置


名づけて「航空整備士たちのしごと術」。

12月1日からJALのボーイング767-300ER型機に順次導入される新シート。10月某日、JALのご担当者から聞いたのは、その「SKY SUITE 767(スカイスイート767)」初号機がいままさに改修中で、しかもシートが入る前のカラの機内を見られるという話でした。「座席が設置されていな状態の機内は想像以上に広い。キャッチボールだってできますよ」というワクワクするような話も聞いて、整備場のある中国の廈門(アモイ)まで行ってきたわけです。

ところが、予定通りに廈門に到着したにもかかわらず、時すでに遅し。作業は予定よりも早く進んでおり、シートはほぼ並んでいる状態でした。事前に聞いた情報との違いに「なんでこんなに早いの...」と思いつつ状況を聞いてみると、そこには航空会社ならではの事情と理由があったのでした。



1日のズレで億単位のお金が動く


航空会社にとって、就航が1日遅れることは億単位の損失を意味します。

その便の収益が「0」になるだけでなく、大切な顧客からの信頼も失ってしまうことに。その損失を被らないために、シートの設置などを含む大掛かりな整備作業を実施する際には、特に綿密な計画と作業体制づくり、そして効率的な仕事の流れが行われているらしいのです(そして、だからこそ厦門到着時、僕は空の状態の機内を見ることができなかった...)。


JALシート設置


とはいえ中国まで行っておきながら手ぶらじゃ日本に帰れません。せめてその早さの秘密に迫ろうと思ったのですが、そこには確かに、作業を効率的にこなすためのポイントがあったのです。JALの担当者に聞いた、航空整備士たちのしごと術を紹介します。


航空整備士たちのしごと術


では、新シート設置プロジェクトの一員として廈門に滞在していた技術部のスタッフ、そして日本にいる整備関係者の証言から見えてきた「JALの仕事術」を紹介していきます。


1.交替制のチーム。でも「シャッフル」しない

まず、作業を円滑に進めるために大切なのは、チームをいかに編成するかということです。

現場の整備士は1グループにつき約30人。この中には、システム整備、客室整備、電送整備など計5つの部門に特化した担当者が所属しています。彼らがチームを組み早番・遅番・夜勤などシフト制で勤務し、配線に取り組む一方で並行して塗装を行うなど、分業制で作業を進める仕組みになっています。

シフトが早番になっても遅番になっても、つねに同じメンバーの組合せで作業をすすめるので、優れたチームワークを発揮でき、コミュニケーションも円滑になるわけです。


2.計画は綿密なシミュレートとヒアリングを経て組まれる

整備の仕事において、無駄な作業はあってはいけないこと。そのため作業前の指針を示す整備計画部(整備でも新シート設置でも、プロジェクトの計画を立てるグループ)が作成するのが「計画書」です。

この計画書を完璧なものにするために必要なのは、すべての整備内容、手順を明確にすること。たとえば、シートを外しているときは並行して尾翼の点検を行うなど、無駄のないスケジューリングを組むことが求められます。そのために実施するのが、現場の整備士に対する綿密なヒアリング。「この整備にはこれだけの人員が必要、その作業によって、新たな作業が派生していく」など、現場に出向くからこそより細かに分かる事項があり、それを計画書の内容にも反映していきます。


はたらくひとたち


3.指示は具体的に、細かく、簡潔に

シート設置など整備の実作業で指針となるものは2種類あるそうです。まずは、「ドローイング」と呼ばれる図面。現場に持ち込まれる図面には「どの場所にどのシートを設置するか、どのコードをどこに配線するか」などの詳細が描かれ、さらに2〜3ワードの簡潔な作業指示が書き込まれています。たとえば「INST-SEAT」と書かれていれば「シートを取り付けなさい(INST=install)」、逆に「RMV」は「取り外す(Remove)」ということ(航空業界では英略語が使われることが多く、なじみ深いところだと羽田を「HND」と「スリーレターコード」で表記するのもそのひとつ)。

そしてもうひとつが作業指示書。この指示書は、図面上の指示を文章に起こしたかたちで記載されます。こちらも1〜2センテンスの簡潔な作業指示が書き込まれています。そしてその指示は具体的に、かつ細かく項目に分けるのが鉄則。「シート設置」「電源をつなげる」といった内容にはじまり、「シート設置の確認」「電源をつないだか確認」と、確認する項目に至るまで作業が細かく分類されています。

今回のように新シートを設置するなど大掛かりな整備作業を行う場合、「ドローイング」は100以上にも分けられるそうで、作業中は「指示書」の指示をひとつずつこなしていき、それぞれの押印欄にチェックを入れていきます。作業が終わった後に押印、その作業を確認するのも押印と、2段階にわけて押印することでミスない作業が積み重ねられていく仕組みになっているとのことです。

細かい作業でも、ひとつずつ一文で端的に分けて書くのがポイントで、ひとつの作業が終わるごとにエクセルのスプレッドシート上の指示内容を塗りつぶしていくので、完成までの進捗状況が一目瞭然。また、指示書を共有することで作業に関わるスタッフ全員が進行を把握できるようになっています。


4.あたりまえのことを確認するための「マジックワード」

ひとつのミスが一大事に繋がりうる仕事だということもあって、「確認」と「連携」は特に大切です。

JALで用いられている言葉に"確認会話"というものがあるのですが、これは、思い込みや聞き間違いなどによるヒューマンエラーをなくすために必要な会話を意味するのだといいます。

当たり前過ぎて聞きにくいことでも、「聞いておけば」ミスのない仕事に繋がります。そのときに「確認会話(念のため聞いておきたいこと)なのですが」と前置きすることで、上司や先輩に対しても気軽に質問しやすい環境になっているそうです。

また、海外とのやり取りも頻繁にあるそうですが、そのとき大事なのが、コミュニケーション方法。メールだけでなく、可能な限りテレビ電話やSkypeなどを活用した「顔を合わせる」コミュニケーションがとられているのだとか。特に用件がないときでも週に1回は各社に対して連絡をすることで、頻繁には会えなくても信頼関係を築いていけるのだそうです。

この「顔を見合わせて」というのがポイントで、社内の連携についても同じことが言えるようです。たとえばスタッフ全員が揃わなくとも、整備計画部、技術部、現場の整備士などが、部門を越えて毎日10分でも作業の進捗状況を会って話すだけで、先に起こりそうな問題の気づきになることもあるのだといいます。


はたらくひとたち


計画の策定から、コミュニケーションまで。新シート設置がこれだけ早く進むのは作業に入る前の下地作りがしっかりしているからだと気づかされました。新シート設置前の機内を見られなかったのは残念でしたが、あらためて、仕事の正しい進め方を学べた気がします。

ちなみに新シートを搭載したボーイング767-300ER型機「SKY SUITE 767」(スカイスイート767)は2013年12月の成田-バンクーバー線、2014年1月のクアラルンプール線をはじめ、今後は東南アジア線、ホノルル線などにも広がる予定です。シートに関する詳しい内容はこちらのリンクも参考にしてもらいたいです。


(おまけ)現場は、中国の廈門でした


せっかく中国まで行ってきたので、簡単に新シート設置の手順を説明します。

東京・羽田空港を発ち、上海を経由して空路で南に約1時間半。中国・厦門には世界でも有数の航空機整備工場がありました。シート設置の手順は、次の通り。


(1)古いシートやギャレー(キッチン)から壁のパネルや床の板まで外し、機内をカラにする。


131112jal_toritsuke01.jpg

(2)天井から床まで新しいケーブル(モニタ、映画、ゲーム用など)をはわせ、フロアに配線する。


131112jal_toritsuke02.jpg


(3)壁のパネルや床を元に戻し、新しいカーペットを張る。


131112jal_toritsuke03.jpg


(4)新しいシートを搬入してていねいに並べる。


131112jal_toritsuke04.jpg


(5)シートがすべて搬入されたら、シートトラックの上に並べて固定していく。これで、シートの取り付けは完了です。


131112jal_toritsuke05.jpg


新シートに座ってみました。確かに膝前に余裕があり、足を組んでも窮屈さは感じません。座席下にスペースもできたので足も伸ばせます。ちなみにいま放映中のCMでは「プラス10cmのくつろぎを」というメッセージが印象的ですが、たった10cm変わるだけでも座ったときの印象がかなり違うのだなと実感しました。


131112jal_05.jpg


シートははじめから少しリクライニング気味なので、そのままでも寝られるし、出したテーブルにPCを置いて作業をしても、余裕を感じました。


131112jal_06.jpg


これなら長時間のフライトでも快適に過ごせそうです。スマートフォンやペットボトルがぴったりな小分けになった収納スペースも気がきいています。

ちなみにパソコン左上にあるのが僕の携帯電話。さらにUSB端子もあるのでバッテリーの心配もなし。このときはまだモニタの電源は入っていなかったのですが、タッチパネル式とのこと。日々、進化するシートに注目ですよ。


快適過ぎると話題!国際線いまどきのフライト事情まとめ|JAL国際線

(大島祐介)

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