• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

印南敦史印南敦史  - ,,,,  07:30 AM

人を育てることは、待つこと:スタジオぴえろの人材育成術

人を育てることは、待つこと:スタジオぴえろの人材育成術

クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか? 愛されるコンテンツを生むスタジオの秘密


クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか? 愛されるコンテンツを生むスタジオの秘密』(布川郁司著、日経BP社)の著者は、「みつばちマーヤ」「ニルスのふしぎな星」「うる星やつら」「魔法の天使クリィミーマミ」「平成天才バカボン」「幽遊白書」「NARUTO」など、有名なアニメ作品を送り出してきた老舗アニメ制作会社・スタジオぴえろ(現・株式会社ぴえろ)の創業者。

つまり本書は、そんな立場から制作のエピソードやアニメビジネスの舞台裏までを語り尽くした作品。というだけでも、アニメファンにとってはたまらない内容だろうということは容易に推測できるのではないでしょうか。

しかしもうひとつ注目に値するのは、アニメ史を俯瞰した良著であるだけでなく、ビジネス書としても機能している点。その観点から、第6章「人を育てるとは待つこと」に焦点を当ててみます。



「いなくなると困る人材」は自前で


アニメ業界の人材がとても流動的だというのは有名な話。そんな状況なので、かつては人材の引き抜きも多かったそうです。しかし著者は、ぴえろを立ち上げてから、会社を支える制作プロデューサーや現場を動かしている制作進行だけは、他社から絶対に引き抜かないと決めたのだとか。

なぜなら制作プロデューサーは、企画を決めたり、原作をおさえたりという経営の根幹に関わる部分を担っているから。そんな人が突然いなくなれば、先方の会社にとっての死活問題になるというわけです。また制作進行がいなくなっても、現場が回らなくなる。つまり、そこに手をつけないというのは、守るべきエチケットなのでしょう。

だから、「いなくなると困る人材」については自分の会社で育つのを待つしかないというのが著者の信条。「時間はかかりますが、人に投資をするというのはそういうことなのです(128ページより)」というひとことは、人材育成を考えるにあたっての重要なポイントではないでしょうか?

ちなみに、ぴえろが発展していくうえで重要な役割を果たしてきたのが、現ぴえろ代表取締役社長の本間道幸氏。制作担当だった時代にテレビ局のプロデューサーから責任を問われ、一時は会社を辞める寸前まで行ったという人物です。


本間は、『うる星やつら』がヒットしていたころに、制作進行の学生バイトで入社しました。ちょっといいかげんなところがあって、右の耳で聞いた話がそのまま左の耳から抜けているんじゃないかって思ったこともあります。まあ、いかにも当時の若者という感じでした。(129ページより)


とはいえ、このあと紹介される本間氏の進んだ道には、「待つ」ことの大切さがはっきりと反映されています。


時間をかけて大ヒットへ


1990年代の終わりから2000年代初頭にかけ、『赤ちゃんと僕』『ふしぎ遊戯』『南海奇皇(ネオランガ)』『みどりのマキバオー』『幻想魔伝最遊記』などの作品をつくってヒットを重ねていったぴえろは、着実に歩みを進めながら、どこかに登るべき高い山はないかなと探していたといいます。そんなときに引き当てた大ヒットが、2002年に放映が始まった『NARUTO』。

そして週刊少年ジャンプの人気作品である『NARUTO』のアニメ化を手がけることができたのも、本間氏の努力があったからなのだとか。地道に人脈を築き、出版社との関係を強化し、同じジャンプ原作の『ヒカルの碁』のアニメ化で成果を上げたことが、大ヒット作品の獲得につながったというわけです。(132ページより)

なお、著者が『NARUTO』のアニメ化を知らされたときのエピソードがなかなかいいので、ここに引用しておきたいと思います。


NARUTOの企画が決まった時、ちょうどわたしの母親が亡くなって、山形で葬式の準備をしていました。告別式の後にみんなで食事をしている時に本間がやってきて、わたしのところにスッと近づき、「ナルトをゲットしました」と小声で言いました。不謹慎でしたが、つい笑顔が出てしまいましたね、うれしくて。(133ページより)


人を育てるとは待つこと


作品がヒットすると人も成長すると著者は説いています。ヒットにはタイミング的な問題もあり、なかなか思いどおりにはいかないもの。しかし、これを一度経験すると、それが大きな糧になるというわけです。『NARUTO』の企画を決めた本間氏のエピソードは、まさにその典型であるといえるでしょう。

とはいえ著者は、育てるためになにかを教えようとしたことはなく、仕事は基本的に任せっぱなしだったそうです。なにかあれば相談には乗るけれど、特に指示もしなかったとか。


つまり、育つのを待つのです。待つのは、それはそれで大変ですが、人を育てるにはこれしかないと思っています。(135ページより)


この言葉には、人を育てることについての著者の確固たる信念が表れていると思います。(134ページより)


軽妙な語り口で明かされるひとつひとつのエピソードは、アニメにまったく詳しくない私が読んでも興味深いものでした。人材育成術を学ぶためにも、「アニメの現場であったこと」を知るためにも、とても読みがいのある作品だと思います。


(印南敦史)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by
  • クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか? 愛されるコンテンツを生むスタジオの秘密
  • 布川郁司|日経BP社

Kotaku

© mediagene Inc.