• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

印南敦史印南敦史  - ,,,,  08:15 AM

「新幹線清掃の会社」がハーバードビジネススクールから注目された理由

「新幹線清掃の会社」がハーバードビジネススクールから注目された理由

奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇り


以前、『新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?』(遠藤 功著、あさ出版)という本を紹介したことがあります。新幹線清掃をわずか7分間でこなしてしまう清掃スタッフの姿を浮きぼりにしたもの。真摯な姿勢が読者の感動を呼び、10万部のベストセラーとなりました。ご存知の方も多いと思います。

今回ご紹介する『奇跡の職場 新幹線清掃チームの働く誇り』(矢部輝夫著、あさ出版)は、その続編というべき書籍。著者は、新幹線のお掃除を担当する会社である株式会社JR東日本テクノハートTESSEIの「おもてなし創造部長」として、『新幹線お掃除の天使たち』に登場したスタッフを取りまとめた人物です。

TESSEIスタッフの7分間清掃にかける姿勢と高いクオリティは、いまでこそテレビや雑誌などでもひんぱんに取り上げられていますが、本書を読むと、そこに到達するまでの道のりが決して平坦なものではなかったことがわかります。実は私も編集、執筆協力というかたちでお手伝いさせていただいたのですが、そんな立場を差し引いても自信を持っておすすめできます。要点をいくつか拾ってみましょう。



大変な役割を与えられてしまった!


著者は、旧国鉄時代から鉄道マンとして歩み続けてきた人物。「叩き上げ」としてイチから経験を積み上げ、民営化後は中央線立川駅駅長や横浜支社の運輸部長、東京支社の指令担当部長などの要職を任されてきました。

ところが平成17年、鉄道整備株式会社(通称テッセイ)への異動を言い渡されることに。長らくキャリアを積み上げてきたからこそ、異動した当初は「なんでこんなところに...」という思いを拭うことができなかったといいます。しかも当時のテッセイは、仕事内容の地味さ、大変さに加え、「率直に言ってあまり評判のよくない会社」だったとか。事故やお客様からのクレームも多く、働いている人も覇気がなかったそうです。

しかし最終的に著者がたどりついたのは、「どうせ行くなら、楽しい会社にしたい!」という思い。


私は40年間、鉄道マンとして務め、国鉄そしてJR東日本に尽くしてきたという思いがありました。JR定年後の再就職ですから、今度勤める会社が最後になるでしょう。あまり気乗りのしない会社で、つまらない終わりを迎えてしまったら、長年JR東日本に尽くしてきた思いが無になってしまう。(42ページ)


そこで「自分の会社人生の集大成だ」と考え、テッセイに再就職することを決めたというわけです。(40ページ)


出会いを思い出に


東京駅・上野駅からJR東日本の新幹線を利用する乗客は1日に約16万人、東北・上越新幹線など5方面の新幹線全体だと1日で26万人にもおよび、お盆や暮れにはその数倍になります。つまり新幹線を利用する人の数だけ、いろいろな思いがあるはず。そう考えた末、著者は「『旅の思い出』こそが私たちにとっての商品だ!」という結論に至ります。自分達にしかできないサービスを、「テッセイ・ブランド」の思い出、商品にしてしまおうという発想です。

そこで「トータルサービスを目指す」という経営計画を発表。とはいえ、そもそもテッセイはお掃除の会社です。当初は、「新しいトータルサービスって? まさかホームでシュウマイを売れっていうことなの?」とスタッフから反発や戸惑いの声があったそうです。しかし、そんなスタッフに対して著者は「みんなの仕事は清掃業ではなく、もともとサービス業なんだ」と説得し続けます。


「失礼だがみなさんは、社会の川上から流れ着いて今、テッセイという川下にいる。でも、川下と卑下しないでほしい。みなさんがお掃除をしないと新幹線は動けないのです。だから、みなさんは、お掃除のおばちゃん、おじちゃんじゃない。世界最高の技術を誇るJR東日本のメンテナンスを、清掃という面から支える技術者なんだ」(55ページより)


このように訴えたときには、多くのスタッフたちの目がきらりと光ったそうですが、そうはいっても約700人の従業員(当時)全員を納得させるのは至難の業。そこで、お掃除をしながら本格的にお客様をサポートする「コメットスーパーバイザー」というチームをつくるなど、さまざまなアイデアを投入し、一歩一歩スタッフを「その気」にさせていきます。そのすべてをここで書くことは不可能ですが(それほど、あらゆる手段が尽くされているということ)、結果的にはそれが「やりがい」「自信」につながっていったというわけです。(52ページより)

地道な努力を8年間も続けた結果、スタッフの士気は高まり、そこからさまざまなアイデアが生まれ、それらがさらに職場を活性化させ、その取り組みは外部からも評価されることになります。たとえば質の高いサービスで有名なオリエンタルランドや東大の学生グループなど見学者が頻繁に訪れるだけでなく、ハーバード大学ビジネススクールから「教材にできないか」と連絡があったほど。なぜそこまで至ったのか、そのプロセスが本書で明かされているというわけです。

著者と接して私が実感したのは、持ち前の明るさ、前向きさ。ものごとをあまり悲観的に考えず、壁があったら楽しみながら乗り越えることだけに集中し、嫌なことは「忘れてしまう」。そんなポジティブ思考とスタッフに対する愛情があったからこそ、テッセイはここまでたどり着けたのだろうなということです。


発売直後に2万部を突破したそうですが、これはきわめて異例。しかしそれは、著者の思いが多くの人の心に響いたからこそ実現したものなのではないでしょうか? ぜひ読んでみてください。


(印南敦史)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by

Kotaku

© mediagene Inc.