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常山剛  - ,,,,  11:00 AM

ワープロでノマドしてウェブ記事作った:検証、未来の働き方

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ワープロでノマドしてウェブ記事作った:検証、未来の働き方

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温故知新エントリーです。この記事はワープロで書いて、写真はフィルムカメラで撮影してみました

今年で創業77年を迎えるリコーのスペシャルサイト「西暦2036年を想像してみた」。各界のクリエイターが想像した未来をイラスト化し、リコーの研究者がそのイラストに描かれた、2036年(つまり、今から23年後)の働き方や仕事環境について語り合うトークが紹介されています。『機動警察パトレイバー』でも有名な漫画家のゆうきまさみさんは、ARメガネを活用した「バーチャル通勤」がトレンドになるかもしれないと予想していました。

2036年はリコーが創業100周年を迎える節目の年。片や、兄弟メディア「ギズモード・ジャパン」でも指摘していましたが、世界中のコンピュータが誤作動を起こしてしまう「2036年問題」があるともいわれています。だからこそ、不安な将来像ではなく、自分たちが明るい未来を切り拓くのだというメッセージを込めて、リコーは先んじて未来の人たちのコミュニケーションや働き方を模索しているのでしょう。

さて、23年後の働き方。これを我が身に置き換えてみると、23年先どころか、2〜3年後ですら、予想するのは大変に難しいものです。そこで、今回は23年前、1990年の働き方を追体験してみました。23年前を振り返り、まずは上手に思い出してみる。すると、そこから23年後の我々が、現在の働き方に対して抱くであろう心持ちを想像できるのではないか。

では、どう追体験するか。そこで、当時のライターたちを見習って、この記事をワープロとフィルムカメラで作ってみようと考えたわけです。


ひとまず5年くらい前を思い出してみる


ライフハッカーの過去記事を例に挙げるのであれば、米国Cradlepoint社のモバイルルータ「PHS3000」を紹介したのが2008年12月。イーモバイルがWi-Fiルータ端末提供を国内で開始したのは約1年後の2009年11月。今ではスマホでテザリングまで、公式サービスとして使える世の中になっています。いわゆるノマドワークスタイルが珍しくなくなったのも、モバイルルータが普及してからの話。ここ3〜4年のことです。

通信環境ひとつを取ってもこの変わりようですから、23年後の予測は非常に難しいわけです。では、私はさらに時計の針を戻して、1990年仕様で仕事をしてみるとしましょう。



現在のライター仕事を1990(平成2)年仕様でやってみると


今回の相棒


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この写真はデジカメで撮りました。すぐに画像をチェックできるのって、やっぱり便利ですね


1990年代の機器を手配しました。リコーのカメラ「XR-X3PF(国内モデルの型番はXR-10M)」とワープロ「マイリポート NV850」。ワープロのほうは、すでにリコーのサイトにも情報がないというレベル。時代の付いた一品です。


Webがないので、まずは国会図書館で資料集め


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この記事を書くにあたり、まずは1990年代の状況を知るべく、資料調査からスタート。現在であればおもむろにブラウザを立ち上げ「働き方 90年代」「90年出来事」などと検索するところから始めますが、画像が扱える初のブラウザ「Mosaic」がリリースされたのは1993(平成5)年。1990年はググるどころか検索エンジンも無い時代。そこで、日本最大の蔵書数を持つ、国立国会図書館で下調べと資料集めです。

今でこそ、所蔵資料検索にWebが使われていますが、90年ごろはオフライン。雑誌記事索引では、たしかデータベースがCD-ROMに収められ、年代ごとにCD-ROMを切り替えて検索などしていました。雑誌掲載の論文を探す時は重宝したものです。学生時代の記憶を呼び起こしながら、昔ながらに資料の検索をすると、感覚の違いに驚きます。

求める情報があれば、コピーして、掲載誌の発刊年月をメモして、ファイリング。実際に1990年ごろのワープロムックなどを閲覧したところ、「WP」が「WordPress」ではなく「WordProcessor」の略語だったり、88年にある企業が上場企業勤務の男性300人に対して行ったアンケート調査によれば、約半数が「ワープロを使える」と回答しているが、ホームポジションを守ってタイピングができるのは2%、挿入・削除、複写といった基本機能を「一応理解しているが、たまに使う程度」と答えた人は34%、などの情報が見つかりました(実業之日本社『最新ワープロ大百科情報版 6』6ページより)。

一方、Webで調べた場合、国会図書館で資料受け渡し待ちをする時間を使って検索するだけでも、数倍の資料が見つかります。その反面、ソースの信頼性や客観性をチェックする時間がかかります。いわばネット以前には見えなかった資料が見えるようになり、玉石混交の度合いが高まったといえるでしょう。参照元は増えたけど、ノイズだらけ。本物は減る一方だが偽物は増える一方、とはよく言ったものです。


23年後の働き方:ノイズの処理が仕事になる


ここから想像するに、23年後にはさらに多くの情報を検索・閲覧できるようになるが、ノイズの量も増える。ここが働き方に影響を与えるのではないでしょうか。つまり、ノイズ処理の必要性は増し、プロのライターや編集者でさえも1人で抱えることができず、分業せざるを得なくなる、という可能性です。いわば、電話の交換手がテクノロジーの進歩によって職を失ったのと逆に、テクノロジーの進歩で扱える情報量が増え、それを扱う専門職ができる、といったことが起きているかもしれませんね。

そして、それを補うテクノロジーが新たに発達しているのではないでしょうか。もっと、人間が早く情報処理できる手法という視点で考えると、視覚ではなく聴覚を使うものとか、記憶に働きかけるものとか...。


連絡ツールが発達すると、受け手側の主導権が増す?


スマホなんてあるわけないから公衆電話


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次は、記事の構成を確認するため、ライフハッカー編集部に連絡です。これも今と23年前とを比べてみましょう。

今ならスマホを取り出して、アドレス帳を選択、メールを送れば内容は伝えられます。Facebookメッセージやグループウェアを使う手もあります。でも、それらはすべてありませんでした。だからといって手紙を送るのでは時間がかかる。

そこで、電話です。相手が出てくれさえすれば、ものの5分くらいで完了し、作業を進められます。23年前であれば、街中でふと確認したいと思い立ったら、公衆電話探しからスタート。90年は、ISDNによるデータ通信機能が搭載されたデジタル公衆電話が登場した年で、公衆電話も当時ならすぐ見つかります。しかし、現在の公衆電話台数は93年と比べて約4分の1。探すだけでも一苦労です。

編集部に電話をすると「追加の資料があるから取りに来てください!」とのことで、受け取りついでに打ち合わせすることにしました。そんな時代からすると、Skypeで顔を見ながらチャットや会話をするとか、メールで時間を選ばず連絡できるなんてのは、時間ロスの無い、素敵すぎる環境です。

しかし、23年前からあまり変わっていないのは「連絡の優先順位を受信者側が設定しにくい」点ではないかと思います。電話で呼び出される側やメールを受ける側は、内容を聞いたりメールで見たりするまで詳細がわかりません。重大な話でも、些細な話でも、それは一緒です。メールが当たり前の我々にとっては当然の話ですから、普段は無意識のうちにフィルタリングしているのでしょうね。


23年後の働き方:相手との関係性によって連絡手段を制限できる


23年後には、通信環境や機器が進歩して、疑似的に対面できるようになるかもしれません。その段階でも、用事のある側が一方的に発信できるような仕組みだったら、うるさくてしょうがありませんよね。今の感覚で言えば、無断で人の居間や書斎に上がり込むような感じかも。

極端な例ではありますが、仕事であれば「名刺交換しただけの人は音声まで」「ディスカッションしたことのある人は画面でのチャットと音声通話まで」「仕事の友人は身ぶり手ぶりまで伝えられる全画面表示と音声と周囲の音声(対面会話風チャット)」などと、Facebookの公開範囲設定のように、相手との関係性によって利用できる連絡手段が選べるのが、一般的になっているかもしれません。さらに、1つの番号に対して発信すると、着信側が設定した連絡手段でつながるようなテクノロジーが登場しているかもしれません。そうなるといいなあ。


仕事のできる「人」の取り合いから「時間」の取り合いに?


クリエイターで賑わうFabCafeで、ワープロを使って仕事する


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一般家庭において、90年ごろのワープロ普及率は約20%で、94年に発表された調査では43.7%となります出荷台数のピークが89年、出荷金額のピークが91年ですから、90年といえばワープロ最盛期ですね。

日本でのDTPの普及開始が90年代初めですが、データでの入稿が一般的になるのは、もう少し後、98年ごろになります。今回は、ちょっと時代を先取りして、ワープロ専用機を持ち出し、カフェで書き物仕事をしてみました。

MacBook居並ぶ、渋谷・道玄坂上の「FabCafe」でワープロを開き、ガチャガチャと音を立てる姿は、違和感満載...と思いきや、現代のノートPCとほぼ同じサイズなので、傍目からはあまり気づかれないという意外な展開(見ないふりをされていたのかもしれませんが)。

ちなみに、2013年3月現在でブラウン管テレビを持っている世帯の割合は19.0%で(内閣府「消費動向調査」、「主要耐久消費財等の普及率(一般世帯)(平成25年(2013年)3月現在)」より)、90年にワープロを持っていた家庭の割合とほぼ一緒です。「23年前の、90年にカフェでワープロを打つ人」を見たときの違和感は、いわば、いまの時代に、「ブラウン管をカフェに持ち込んで地上波を見ている人」を発見したときの感覚といえるでしょうか。


ワープロでドヤリング、意外に悪くないです


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さて、実際にワープロでノマドヤリングして感じたのは、文章制作に集中できること。TumblrもFacebookも見られないですから、1つの業務に没頭できます。ただ、調べ物は紙で用意せざるを得ないため、事前に資料のコピーを手元にそろえておく必要があります。ぐっと集中して、1つの仕事を終わらせるのには向いていそう。

そこから現在の、PCでの仕事シーンを考えると、文字を打つ以外にも実に多様な仕事ができるようになりました。便利になった反面、1つの作業に割ける時間が減った、ともいえます。「1人あたりのWebの閲覧時間はそんなに変わらないのに、Web媒体は増え続ける」のに似た話です。


23年後の働き方:より効率の良い時間の使い方がキーになる


23年後にこの傾向がさらに加速するとすれば、仕事を発注する側は、人の取り合いならぬ「集中力の高い時間の取り合い」になるとも考えられそうです。仕事を請ける側も、集中できる時間だけを労働にあてられたら、能率良く、時間あたりの単価も上がります。PCでの作業時間をトラッキングして、場所や時間によって「自分がもっとも高パフォーマンスで仕事をこなせる環境はどこか」が分かり、それを踏まえて、仕事を依頼したり、受注したりする。そんな仕事のやり方が今以上に一般化するかもしれません。


ウェブ用の記事を、ワープロとアナログカメラでつくって納品してきた


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と、ここまで23年前の仕事環境を追体験しながら、23年先を考えてみました。記事に必要な原稿ができあがったので、早速納品にいきましょう。


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編集部の吉川さん、このなんとも言えない表情に時の流れを感じます


ワープロで印刷した文字原稿と国会図書館でコピーした資料、リンクの指示などを書いた付箋紙、そしてフィルムカメラで撮影した写真。編集部に読み込みドライブがあるとは思えませんが、念のため、テキストデータもフロッピーディスクにて添付しております。


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ここからは編集部のお仕事です。紙焼き写真をデータ化したり、紙原稿をテキスト入力したりと、ライフハッカーにあるまじき二度手間の嵐を経て、無事にこの記事が完成しました。

後日、編集部からコメントをもらいました。「こういうの勘弁してください。時間がなく、フロッピーディスクドライブもすぐ見当たらず、結局手入力で...二度とやりたくありません。でも、昔は手書き原稿を打ち直して印刷物を作っていたと思うと、書いたそばからすぐに誰でも発表できるのは、スゴイ進化なんだと実感しました」

さて、23年前の働き方を追体験して気づいた、予測される23年後の働き方をまとめると、以下の通り。


  • 情報の量が増えすぎて、「ノイズ」が増えることで、情報をより分ける専門職が必要に
  • 通信・連絡手段が多様化し、着信を受ける側で、相手との関係性によって通信手段を選べるようになる
  • 仕事は「人の取り合い」から「集中力の取り合い」へ。自分のもっともパフォーマンスが高い時間が分かり、それを踏まえた仕事の受発注が行われる


この記事のヒントになった、リコーの「西暦2036年を想像してみた」には、瀬名秀明氏、ゆうきまさみ氏、志倉千代丸氏の、第一線のクリエイター3名による未来の働き方予想が、それぞれ独自の視点でなされています(志倉千代丸氏の回は2014年2月に公開予定)。今回のライフハッカー予測と合わせてご覧いただくと、現在の働き方を、目の前のタスクをこなすことに追われるものから、ちょっと変えるヒントになりそうです。


西暦2036年を想像してみた

(常山剛)

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