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印南敦史  - ,,,  08:00 AM

説得で「一撃で相手を仕留める」のに必要な命名の方法

説得で「一撃で相手を仕留める」のに必要な命名の方法

『「超」説得法 一撃で仕留めよ』


「超」説得法 一撃で仕留めよ』(野口悠紀雄著、講談社)の著者の、冒頭での主張は次のとおり。


『中身が重要』とは、そのとおりである。しかし、『中身さえよければ人は説得される』と考えるのは、誤りだ。中身は、説得が成功するための十分条件ではないのである。(中略)『説得』とは、相手の決定を変えさせること、あるいは、ある行動をとるよう決心させることである。社会生活をしている限り、説得という行為から逃げることはできない。

(3ページより)


そして説得するためには、「相手の関心を引き」「相手の判断を変更させ」「最後にとどめの一撃を打つ」という過程が重要であり、そこで強力な「弾丸」になるのはネーミングと比喩だと結論づけています。

前者のネーミングについて語られた第7章、「うまく命名できれば千人力」から要点を引き出してみましょう。



名前がなければ認識されない(184ページより)

「超」説得法の強みは、一撃で相手を仕留めること。そして、そのために撃ち込むべき弾丸のひとつが「名前」だといいます。「名は体を表す」という言葉どおり、適切な命名をすれば、それはきわめて効果的で重要な道具になるから。逆に実力がありながら、命名が下手なために注目されないのでは残念。少なくとも「『命名が重要』と意識しよう」と著者は提案しています。


「ごきぶりホイホイ」の強力さとトリック(188ページ)

ゴキブリが「ホイホイと捕まる」様子がイメージできる「ごきぶりホイホイ」の「ホイホイ」は、人間の深層心理に潜む密かな復讐心を刺激する「聞きたいメッセージ」。それが著者の考え方です。事実、「ごきぶりホイホイ」は大ヒットを記録しました。つまりこれが、のちのiPod、iPhone、iPadなどにも置き換えることのできる「ネーミングの妙」。

しかしその一方、「ごきぶりホイホイ」という名にはトリックが潜んでもいるのだそうです。「ホイホイ」と言われると一晩で数十匹ものゴキブリが獲れる図を想像してしまいますが、もちろんそんなことは保証されていない。そもそも「ホイホイ」は曖昧な表現で、何匹獲れるかについて語られているわけではない。だから、誇大広告にはならないわけで、ネーミングをうまく活用した好例だといえます。


タイトルは客引きのためにある(196ページより)

書名や論文などのタイトルについても、内容がわかりやすく簡潔なものが適しているといいます。たとえば「土星の輪について」は×。「土星の輪はなぜできたのか?」なら△。「土星の輪は小惑星の残骸」なら◯をつけられるとか。たしかにこれならイメージを刺激され、読んでみたいという気持ちになります。


どうやって名前を考え出すか?(204ページより)

名前を考える際のいい方法は、なにかから「借りること」。動植物の名、地名、歴史上の人名、星の名など、借りられる名は多数存在するといいます。ちなみに、命名に苦しむのは内容がないからだとか。たとえば機能性を言い表している「ウォークマン」に対し、「アクオス」「ビエラ」などは格別の機能を示していない。これは商品に差別化特性がないことの証拠で、だから商品名だけが浮き上がってしまうというわけです。


著者の文章は自信に満ちており、けれども押しつけがましさはありません。ひとふひとつの文言に説得力があるのはそのせい。この次の章の、「比喩」についての考え方も必読です。説得する力をつけるためにも、ぜひ手にとってみてください。


(印南敦史)

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