世界一のプロゲーマーが語る「勝ち続ける」ための哲学

年吉聡太 | 編集部員
2013.02.11 09:00

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梅原大吾の名前は、ゲーム好きならきっと聞いたことがあるでしょう。

彼は1998年に17歳にして格闘ゲーム(格ゲー)で世界一になった人物。2010年にはアメリカ企業とプロ契約を締結、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネス認定を受けました。兄弟メディア「Kotaku JAPAN」でも、梅原氏について何度か取り上げています。彼の著書『勝ち続ける意志力』(小学館101新書)を紹介します。

タイトルにも入っている「勝ち続ける」という言葉が、この本のキーワード(以前、人気ブロガーのちきりん氏も、自身のブログでこの本を紹介しています)。私たちはまず「勝つ」ことを目標としがちです。しかし実際の仕事では、継続して勝ち続ける(常に結果を出し続ける)ことが求められます。本書で一貫して述べられているのは、この「勝つ」状態から一歩進んで「勝ち続ける」ために筆者が心がけている哲学です。

格ゲーのように勝敗が明らかに決まるような仕事に就いている人は稀だと思いますが、勝ち続けるということを「常に結果を出す」ことに置き換えてみると、ゲーマーでなくとも参考になりそうです。

果たして梅原氏が「勝つ」だけではなく「勝ち続ける」ために心がけていることとは、いったいどのようなことなのでしょうか?

■勝ち続けるための「分析」

梅原氏は勝負を振り返る時、単に試合の結果だけを見て思考を止めず、あらゆる角度で分析するそうです。


例えば、一羽の鳥が飛んでいるとしよう。
勝てない人は、飛んでいるその鳥を見て「鳥は飛べるんだ」と思うだけで、そこから考えを広げようとはしない。
普通の人より少しだけ勝てる人は、もう少し考える。「鳥は飛べる。翼があるからだ。翼があれば飛べるんだ」というように。
そして常に勝てる人、常に勝ちたいと願っている人は、さらに深く考える。「なんで自分には翼がないのだろう?」とか、「翼の代わりにできるものはないだろうか?」とか。そこまで深く思考する。

(『勝ち続ける意志力』95~96ページ)


130211book01.jpgたとえばブログに置き換えてみると、単にアクセス数を取るということを目的にするなら「炎上」さえすればアクセス数を稼ぐことはできます。しかしそれは一時的なものです。常に炎上しているブログを読みたがる人は少ないでしょう。炎上によるアクセス増加は「勝つ」ことであって「勝ち続ける」こととは違うのです。勝ち続ける(=常に当たる)記事を書くには、「その記事のネタが面白かったなのか」「トップ写真がシェアされやすいものだったのか」「そのウェブ媒体自身が影響力を持っているのか」「記事の公開時間帯が適切だったのか」など、あらゆる見地からその記事を分析する必要があります。

そしてこれはすべての仕事にも当てはまりそうです。例えばプレゼンがうまい人を観察する時も、「あの人はプレゼンがうまいから...」というところで留まるのではなく、「その人のパワーポイントはビジュアルが多いのか、それとも文字が多いのか」「話すスピードが聞き取りやすいのか」「共感を得やすい話題を例にして説明しているのか」などといった具合で一歩進んだ分析ができます。特に思考停止しがちな私にとって、この梅原氏の姿勢は大変参考になりました。


ここで再び梅原氏の話です。


「僕には翼がないけど、翼に負けないこんな部分があるから大丈夫だ」
そんな答えが見つかれば、自信を持って歩みを進めることができる。

(同96ページ)


勝ち続けるには自信も必要。「自分にはこれがある」というものがあれば、結果を出さなければならない場面でも臆せずに行動できます。常日頃から結果だけを見て終わらせることなく、さまざまな角度で結果を観察する。ここに、勝ち続ける人の自信の源泉があると感じました。


■プレッシャーをはねのける「自信」について

梅原氏のエピソードを語る上では欠かせないのが、「背水の逆転劇」と呼ばれるシーン。



動画を見て頂くとわかりますが、梅原氏が操るケンの体力ゲージはほぼゼロ。攻撃どころか敵の攻撃をガードするだけでも敗北するという状況です。異国の地での完全アウェイな状況ですから、プレッシャーは相当なものだと推測できます。しかし、梅原氏はその極限の状況から奇跡の逆転をして勝利しました。

「自分にはこの部分が強い」というものを梅原氏自身が持っているからこそ、重圧に負けずに勝利できたのでしょう。


(安齋慎平)
Photo by Thinkstock/Getty Images.

  • 勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)
  • 梅原 大吾|小学館
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