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長谷川賢人  - ,  10:35 PM

村上春樹が思う「真に優れた物語」~国際交流基金賞受賞スピーチより

村上春樹が思う「真に優れた物語」~国際交流基金賞受賞スピーチより

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作家の値打ちは読者の数で決まるものではありません。しかし、ひとりの作家の作品が45の言語に翻訳され、単に名前が通っているというだけでなく、本当に読まれ、愛され、多くの人を楽しませ、また多くの人を救い、励ましているという事実は、決して無意味ではないでしょう。

── 柴田元幸さんのスピーチより


毎年、国際交流基金は、学術や芸術などの文化活動を通じ、日本と海外の相互理解に貢献した個人や団体に対して「国際交流基金賞」を授与しています。過去には宮崎駿さん、平山郁夫さん、小沢征爾さんも受賞しています。40回目となる本年2012年の受賞者には、作家の村上春樹さんなどが選ばれました

本日2012年10月9日、六本木アカデミーヒルズにて授賞式が行われました。記事冒頭の言葉は、村上春樹さんゆかりの人物として登壇した東京大学大学院教授・柴田元幸さんによる村上春樹さん紹介スピーチの一節です。柴田元幸さんと村上春樹さんは『翻訳夜話』などの共著があり、交友関係があることでも知られています。柴田元幸さんは村上春樹さんの作品に対し、なぜ「無意味ではない」と思ったのでしょうか。

また、村上春樹さんのスピーチ文章からは「真に優れた物語の役割」を教えられました。「物語」だけではくくれない、強さのある言葉だと感じました。

以下、スピーチより引用します。


かつて海外の読者は、日本の文学を「日本を知るために読む」傾向があったように思います。ですが、今日の読者は村上さんの作品を日本を知るために読むのではありません。彼らはあくまで村上春樹を読みたいから村上春樹を読むのです。(中略)また、英米に出掛けても、作家であれ一般読者であれ、目を輝かせて「ハルキ・ムラカミ」の名前を口にするのに出会う度、あらためてそのことを感じます。そして、このように、日本について知ろうなどと思わずに日本文化の最良の一端に触れてもらうことこそ、逆説でもなんでもなく、日本を知ってもらう最良の方法ではないでしょうか。
── 柴田元幸さんのスピーチより


「村上春樹を読みたいから読む」という読者の存在が、日本文化はもちろん、日本にも貢献している。この面を見ても、柴田元幸さんは記事冒頭の言葉のように思ったのでしょう。

また、村上春樹さんの翻訳者としての功績にも、柴田元幸さんは「何度も感嘆の念を抱いてきた」と言います。スピーチでは共著もある柴田元幸さんだからこその、村上春樹さんの変わったエピソードも。


編集作業をお手伝いしているものとして、多少の内幕を披露させていただけば、当初はいささかそそっかしいところもあり、例えば「kidney(腎臓)」と「liver(肝臓)」を必ず逆にしてしまう奇癖もあったのですが、現在ではこのような問題を克服し、正確さと現実性の両方を兼ね備えた翻訳を通して、時には著名な作家、時には本国でも無名に近い作家が英語で書いた物語を日本語で書かれた物語とほぼ同じくらい近しいものにして日本の読者に届けています。

── 柴田元幸さんのスピーチより


では、村上春樹さん自身はどのように「翻訳」ということを捉えているのでしょうか。本人は残念ながら欠席でしたが、代読されたスピーチ文章の中に、答えのひとつがありました。


翻訳作業のひとつの役目は、文化というものが特定の地域を超え、特定の時代を超えて、力を発揮しうることを証明することにあります。(中略)物語の目的とは、いまここにある現実とは離れたところにある現実から物事を運んできて、それによって、いまここにある現実を、よりリアルに、より鮮やかに再現することにあります。その原理は、どこの国でも、どの時代でも変わりません。だからこそ、良き物語は翻訳可能であるし、翻訳されるだけの価値があるのです。ぼくはそう信じています。

── 村上春樹さんのスピーチ文章より


村上春樹さんは、少年時代にカフカの『城』という小説を読んだことで、「20世紀初頭のチェコの名もない田舎町は、ぼくにとって何よりリアルなものとして」感じた体験があるそうです。


現実のわれわれの世界には地理的な国境があります。残念ながら、というべきかどうかわかりませんが、とにかくそれは存在します。そして、それは時として摩擦を生み、政治問題を引き起こします。文化の世界にももちろん国境はあります。でも、地理上の国境とはちがい、心を定めさえすれば、私たちにはそれをやすやすとまたぎ越えることができます。言葉が違い、生活様式が異なっても、物語という心のあり方を等価交換的に共有することができます。

そのような文化的越境が、地理上の国境を凌駕していけるかどうか、ぼくにはわかりません。それについて、あまり楽観的にはなれない要因が多々あることも理解しています。しかし、夢を見ることは、私たちひとりひとりに生来与えられた権利です。そして、人々が良き夢を見ることを助けるのが、真に優れた物語の意味でもあります

ぼくは翻訳をし、翻訳されることを通して、その夢を見続けたいと考えています。

── 村上春樹さんのスピーチ文章より


村上春樹さんにとっての夢に、読者として私たちもどこかで加わっているのだと思うと、すてきなことに感じます。

では、「人々が良き夢を見る」ための「何か」を私たちは持ち得ているでしょうか。それは大それたことでなくとも、日々の仕事から家庭のことまで、きっとあるはずです。今度は自分にとっての夢について、大切なものについて、考えてみる番のようです。


国際交流基金賞について

長谷川賢人

  • ,,,,, - By

    香川博人

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