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nonoshita  - ,,,  07:00 PM

Sleipnirの中の人に聞く、ブラウザの未来とは

Sleipnirの中の人に聞く、ブラウザの未来とは

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フェンリルの柏木泰幸社長個人による開発からスタートし、今年2月で10年目を迎える国産ブラウザの『Sleipnir(スレイプニル)』。製品の特徴としては、ユーザーの使いやすさを追求したカスタマイズ性の高さがあげられますが、現在はもう一つの大きな特徴として、Windowsをはじめ、Mac、iOS、Android、そしてWindows Phoneという主要プラットフォーム全てに対応していることがあげられます。

もともとWindows版のみの開発であったところを、iPhoneの登場をきっかけにモバイル版への開発に着手。2010年12月にiOSプラットフォーム対応の『Sleipnir Mobile』を発表したのを皮切りに、翌年の2011年中にAndroid向けとWindows Phone向け、そしてMac向けと主要プラットフォーム向け全ての正式版をリリースし、Sleipnir Familyを作り上げています。

ここ数年でブラウザの利用環境はデスクトップからスマートフォンへと大きく拡がり、ダウンロードして利用するブラウザのシェア争いはますます激化しつつあります。プロダクトの評価がもっぱら軽さや速さで比較される中、異なるデバイスでも同じように快適に使えるブラウザを提供するという開発方針で独自のユーザー層を獲得しているSleipnirでは、インターネットをとりまく環境やユーザーそのものが大きく変化する中で、どのような方向を目指そうとしているのでしょうか。

そこで今回は、Sleipnirの開発を担当している自社開発部生産課課長の金内哲也さんと、同部署の営業課担当課長を務める坪内陽佑さんに、これからのブラウザあり方やインターネット全体の将来について、いろいろとお話を伺いました

 


ユーザーインターフェイスにこだわり、開発はデザイナー主導で行う

編集部:まずは、Sleipnirというブラウザの名称の由来について教えてください。

金内:Sleipnirというのは、北欧神話に出てくる8本足の馬の名前で、社名のフェンリルも、同じく北欧神話に出てくる巨大なオオカミの名前です。いずれも社長の柏木が命名しました。発音は「スレイプニール」と伸ばす感じです。ユーザーの間では「プニル」の愛称でも呼ばれていて、ちょっと変わった名前のブラウザとして憶えていただいています。

編集部:国産ブラウザではシェアナンバーワンとされていますが、具体的な数字は?

坪内:いくつかある統計を参照した結果、2~3%ぐらいだと認識しています。国産ブラウザとしては、携帯電話や組み込みなどに特化している以外で一般ユーザー向けに継続的に開発を行っているのは、当社の他はLunascapeさんぐらいでしょうか。

編集部:Windows版からスタートして、今では合計5つのプラットフォーム版があるわけですが、いつ頃からこうした展開を目指されたのでしょうか。

金内:iPhoneが登場したのが、Windows以外の開発を始めたきっかけです。10年12月に『Sleipnir Mobile』をリリースし、それが好評だったので翌年9月に『Sleipnir Mobile for Android』を、12月に『Sleipnir Mobile for Windows Phone』をそれぞれリリースしました。さらに、iOSとの親和性をという意味で11年11月に『Sleipnir 3 for Mac』をリリースしています。また、先日、 WebKit に対応した『Sleipnir 3 for Windows α版』を公開したばかりです。

編集部:現在の全社員数に対して、開発は何名で行われていますか。

金内:東京支社と合わせると社員数は約80名ですが、Sleipnirの開発並びに自社製品の開発は全て大阪本社で行っています。各プラットフォームごとにチーム体制を設け、技術を担当するエンジニアはWindows版が最も多くて4人、あとはそれぞれ1~2人で、Mac版とiOS版は同じチームです。さらに各チームに1人ずつユーザーインターフェイスなどを担当するデザイナーがいて、開発そのものはデザイナー主導で行っています

編集部:ブラウザ開発でデザイナーが主導というのは珍しいのでは?

金内:ブラウザの開発=レンダリングエンジンの開発と思われますが、当社では自社開発しておらず、Internet Explorerで使われている「Trident」、Firefoxで使われている「Gecko」、SafariやChromeで使われている「WebKit」をそれぞれベースにしています。その分、使い勝手や見た目の部分に力をいれていて、ユーザーインターフェイスの作り込みなどで他のブラウザとの違いを打ち出しています

デザイナーが判断するのは、Sleipnirならではの特性とプラットフォームの標準的な動きとが異なる場合、どちらを優先するか? などです。標準的な動きからあまり変えてしまうとユーザーが混乱を招くこともあるので、標準ではSleipnir寄りにして、オプションではプラットフォーム寄りに設定できるようにしたり、その逆にしたりしながら調整していきます。

編集部:最終的な判断基準となる、デザイン工学やセオリーのようなものはあるのでしょうか。

金内:セオリーなどはほとんどなくて、大切にしているのはいかにユーザーの立場に立てるかどうか。私も開発者ですが、自分ではやっているつもりでもデザイナーから見るとできてないところがあって、もっとこうしないとダメだとか、ああしてほしいとか、正直もうええやんと言いたくなるところまで相当こだわって開発しています。

たとえば細かいところでいえば、ジェスチャーの操作感やアニメーションのスピード、このタイミングならまだ発動しないといった細かな調整を行います。最終的には生みの親である柏木がチェックを入れて、ある部分の動きを早くするとか半分くらいにするとか、どんどん磨き上げていく感じです。そういう調整を重ねているからこそ、ユーザーに本当に気に入ってもらえるブラウザになるのだと考えています。

編集部:使ってみて初めてわかる、仕様書にないディテールにもこだわってリリース直前まで何度もやり直しさせるという点は、Appleのスティーブ・ジョブズ氏の話にも共通するところがあると思ったのですが、もしかして、最後の最後に柏木社長がひっくり返すなんてことも...。

金内:そういう話を聞いたことがないわけではないわけではありません、とここでは言うにとどめさせてください(苦笑)。


広告はほとんどなし、口コミ重視でユーザーを増やす

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編集部:各プラットフォームとも開発は順調に進んでいるようですが、ここでは、Sleipnir 3 for Windowsについて特徴を教えてください。

金内:Sleipnir 3はゼロから作り直し、時代が必要とする新しいニーズに応えようとしています。大きな点では、フルスクリーンでのブラウジングやiPhoneのようなタップ操作でタブを切り替えられること。あと、2から引き継いでいる機能ですが、ジェスチャーでのナビゲーションやブラウジング。そして、開発当初からこだわってきたタブ操作は、仕事用、調べもの用というようにグループで分類してまとめてページを開いたり閉じたりできるなど、他にも多彩な使い方ができるのが特徴です。

編集部:以前は、上級者向けにカスタマイズ性の高いブラウザであることを打ち出されていましたが、今も同じですか?

金内:ユーザーが使い込んでいくうちにどんどん便利になっていく、という感覚を大事にしていますので、今もカスタマイズ性の高さは維持していますが、以前ほど上級者向けとしていません。それぞれのプラットフォームの良いところを活かすために、ここぞという部分の開発はチーム毎に自由にやっていて、それぞれ路線が若干異なっているところもあります。そのためにも、あくまでユーザーが直感的に使えるような使い勝手を最重要課題としています

編集部:開発に活かされるユーザーの声はどうやって集められているのでしょうか?

坪内:要望受付フォームをウェブページに用意する他、2ちゃんねるが意見交流の場になっていましたが、今は主にTwitterやFacebookを活用しています。Twitterは開発者用のアカウントも作ったので、そちらで直接コミュニケーションしたり、他にもネットに書かれていることは大切な意見としてチェックしています。

コミュニティについては、現在使っているシステムが古くて使いづらいので、改善しようとしています。ユーザーミーティングも開発が忙しくてなかなか実現できないのですが、Twitterでやりましょうかと書いたところとても反響が大きかったので、できれば検討したいと思っています。さらに今後は海外の声も拾っていくつもりで、昨年からウェブサイトを多言語対応にしたり、Facebookを活用したりしようと考えています。

編集部:海外展開を進めるとなると、今後の開発にも影響する部分が出てくるのでは?

坪内:開発の上で技術的な選択や優先順位が変わってくるかもしれませんが、それについては現在調査や検討を行っているところです。使えば使うほど良いことがわかるプロダクトに仕上がっているので、全く知らないところにアピールしてもあまり目立ちません。プロモーションのために何か新しいプロダクトを考える必要性は、将来的に出てくると思います。

いずれにしても、ブランディングには以前からそれなりに力を入れていて、単純にユーザーに広く知ってもらうというより、どう知ってもらうかを最初に考えながらやっています。実は広告で集めたユーザーは定着しないと考えていて、今まで広告はほとんどやってこず、製品に満足してもらった人達に広めてもらおうという、口コミを重視してユーザーを増やしてきました。そのためにも、できるだけユーザーの声を集めてフィードバックをするという開発を積み上げてきました。


ブラウザよりユーザーインターフェイスが重要視される時代がやってくる?

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編集部:フェンリルが設立されたのは、柏木社長が個人で開発していた時代にパソコンが盗難にあわれたのがきっかけだったと聞いています。

坪内:Sleipnirは柏木が個人で02年から開発をスタートし、いろいろな賞を取るなど順調だった時にバックアップ用も含むパソコンが盗難され、いったん開発の継続をあきらめかけたようです。そこに、現在のCEOである牧野兼史が会社として運営しようと声をかけ、もう1人開発者が加わって、3人でフェンリルという会社がスタートしました。

最初はSleipnir 2を出すのに必死だったそうですが、その後も開発者が増えて着々と成長し、現在の体制になっています。ビジネスとしては、自主開発と共同開発があり、iPhoneアプリや中国からの受託事業なども増えているところ。最終的にはデザインの会社というのをアピールしていきたいと考えています

編集部:今後の開発について、もう少し具体的に進めていこうとしているアイデアはありますか?

坪内:一つはクラウドへの対応です。Sleipnir Familyのユーザー向けに「Fenrir Pass(フェンリル・パス)」(リンク先PDF)という無料のクラウドサービスを提供し、ブックマークの自動同期など、複数のデバイスを使う場合の利便性を打ち出しています。他にもいろいろな展開として、OSやデバイス、利用シーンも異なる複数のサービスを一つのパスで使えるようにしたいと考えており、今後の開発やビジネスを進める上で大事な鍵になる予定です。

いずれにしても、多様化するプラットフォームに対し、データや環境をどう共有するかはユーザーにとっては大きな問題になってくるのではないでしょうか。それに対して、クラウドはこれからも進化し、そこに対する力の入れ方でソフトウェア企業のあり方は変わってくると感じています。

もう一つ、個人的にはWindows 8』以降のマイクロソフトが、ビジネスシーンに対してどう打ち出してくるかどうかに興味があります。ビジネスの場でWindows 8への乗り換えが進むと、パソコンの登場でそれ以降の働き方が劇的に変わってしまったのと同じように、タブレットやスマートフォンの融合など、新たなビジネスシーンが登場するだろうと想像しています。WindowsはビジネスOSでは圧倒的なシェアを誇っていますから、影響力は大きいでしょうし、その時代をマイクロソフトがどう作っていくか、それに対して当社はどう対応するか、今から考えておかねばならないと考えています。

編集部:デザイン本位での開発という今の体制であれば、そうした環境や技術の変革にも対応しやすそうです。

坪内:ブラウザについて言えば、今はまさしく大きな変化のまっただなかにいるという感じです。そもそもブラウザの定義って何? という時代になってきていて、トレンドもどんどん変化するので、どんなデバイスかというより、シーンに合わせてどうやってインターネットにアクセスするかという「ユーザーインターフェイス」が重要視されるようになると感じています。極論を言うなら、ユーザーインターフェイスさえ磨いていけば、新しいメディアが登場してもそれに合わせたツールを提供できますし、以前から、そしてこれからも当社の得意分野として力を入れていきたい部分です。

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金内:ブラウザはユーザーの接触時間が最も長いソフトウェアになっていますから、それを良くするのはユーザーに寄与するところが大きく、今後も常にユーザーの声をきちんと聞いて使いやすいものを提供していくことが、ユーザーの幸せにつながると考えています

個人的には90年代から基本的に「進む」、「戻る」、「URLを入力する」という一定の形態をとってきたブラウザが徐々に変わってきていると感じています。特に変わったのは利用シーンで、今まではデスクトップ中心だったのがそれ以外でのシーンがどんどん増えていて、それに合わせた新しい外観やあり方が必要になるのではないかと思っています。そういう意味で、ブラウザは新しい可能性をもっとウェブから引き出せるものだと考えています。


今回のインタビューは、ここ数年に訪れたインターネットの変革が予想以上に大きく、その影響はまだまだこれから、という印象が強く感じられるものでした。そうした変化に、ユーザーインターフェイスを磨き上げることで対応していこうとするフェンリルの姿勢は、今まで話をお聞きしたソフトウェア開発会社にはない独自のスタンスであり、設立当初から変わらず、デザインと技術への両方のこだわりを持ち続けてきたという自負が感じられるもので、今後の動きにこれからも注目し続けていきたいところです。


Fenrir Inc.

(野々下裕子)

 

  • ,,,,, - By

    香川博人

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