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「非対称な洞察の錯覚」から学ぶ、人が互いにわかりあうための第一歩
私たちは、相手によって様々な顔を使い分けている一方、他人の「本音と建前」はお見通しだと思いがち。自分は他人にとって不可解なものであると信じながら、自分以外のものは読み解けると思い込んでいるのです。
『You Are Not So Smart』の著者・David McRaney氏は、これは誤った考え方だと指摘しています。
Image from the film Persona.
自分が他人に見せる顔も、他人が自分に見せる顔も、単純で理解しやすいものです。その人の特徴が端的に示されれば、誰しも相手のことをわかった気になります。しかし、実際自分が自分らしいと感じるものは内面にあるので、他人には知覚できません。
これを示す、ある研究結果があります。
研究チームが、被験者に「自分らしいと感じるのは、どんなときか?」とたずねたところ、実に78%の人々が「聴衆の前で演奏した後」や「喝采を浴びたとき」など、内面的で識別できないものを答えました。
一方で、友人や家族について「その個性を最もよく示している瞬間」をたずねたところ、内面的な感情を挙げたのはたった28%。それ以外の多くの人は、その対象の外面的なこと、例えば「トムはひどい冗談を言うとき一番トムっぽい」とか「ジルはロッククライミングしているときジルらしい」といった答えだったそうです。他人の内面的な状態は見えないので、このような結果になったのでしょう。
この非対称な洞察の錯覚という現象は、多くの問題を生み出しています。
一例を挙げると、「自分は相手の考えを理解しているので、これを完全に拒否してもいいのだ」と思う一方、「相手は自分の考えの一部でも理解できれば、自分に同意するだろう」と信じ込むことがあります。基本的に、自分は他人のことを理解でき、誰も自分のことを理解できない、と思い込んでしまうのです。
自分らしさの多くは内面にあるので、いかに正直な状態にあっても、他人に見せる顔は自分らしさを完全に表したものではありません。そして、それは他人が自分に見せる顔も同じこと。自分に見せている顔は、その人を完全に映したものではないのです。本当のその人らしさは、自分の手の届かないところにあるのだということを認識しましょう。
外見や表面的な言動でその人をわかったつもりになるのではなく、「他人には、どこまでいっても、わからないことがある」という前提の下で、少しでも理解しようと謙虚に歩み寄る。この姿勢こそ、他人とわかりあうための第一歩かもしれませんね。
The Illusion of Asymmetric Insight | You Are Not So Smart
Adam Dachis(原文/訳:松岡由希子)
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